カクヨム作品をテーマ別で紹介！

イマ猫｜作品紹介エッセイ

他人の職場を見学するのは楽しい！　フィクションではあるけど、現実的な描写が多くて社会勉強になる！　というわけで、完結済みのお仕事系小説を紹介します。

ヒーローは眠らない

https://kakuyomu.jp/works/4852201425154962127

作者さま：伊丹央

文字数：154,108文字

あらすじ

大手映像制作会社「東光」の女性プロデューサーである主人公。今までは映画やオリジナルビデオを手掛けていたが、ある日突然、子供向け特撮ヒーロードラマのチーフプロデューサーに任命される。テコ入れのために伝説の老監督を起用するが、悪意を持つ正体不明の何者かがネットの巨大掲示板を使い中傷を開始して……！？

紹介

特撮ヒーロー番組の制作進行が細かくリアルに説明されています。プロデューサーと監督の関係性、撮影現場の動き、オーディションによる選抜……独特の世界に触れることができておもしろい。あと老監督の長門清志郎さんが良い味しまくり。実際にモデルがいらっしゃるんでしょうか？　ストーリー的には犯人の動機が意外というか、現実にありそうすぎて何とも味わい深い。

この財産、差押えます！

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882779520

作者さま：飛野　猶

文字数：135,347文字

あらすじ

県庁には、高額税金滞納や悪質滞納を専門に扱う専門部署がある。その名も「財務局徴収部機動課」。主人公たちは滞納者たちと悪戦苦闘、しかし滞納者たちにも複雑な事情があって……

紹介

滞納者たちを安易に「悪」として書かない優しい視線が心を打つ作品。本文から引用すると

～～～

「どの案件もさ。どの人も。人生には良い時も悪い時もあったはずで。俺たちは、その人の人生の一番どん底の部分で、関わってるだけなんだろうな」

～～～

すばらしい言葉でしょう！　そして、交渉・差し押さえのシーンは具体的かつ緊迫感があって引き込まれます。

物性理論大学院生の日常〜研究室は解散しました

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882886305

作者さま：新井パグナス

文字数：123,028文字

あらすじ

グループリーダーだった准教授が、大学から任期延長を打ち切られて研究室は解散。そして、主人公は大学院修士課程の一年生。代わりの研究室は見つかるのか？　無事に卒業できるのか？　就職先は……？　理系研究者が直面する、日本の不安定な労働環境。

紹介

予算不足＆不安定な労働契約……日本の研究環境の悪さがありありと伝わってくる。主人公をめちゃめちゃ応援したくなりますね……

また理系大学院生の修士→博士の過程が具体的に書かれていて、珍しい世界を見学することができて興味深い。理系なので研究内容は難しく、たぶん多くの読者は理解できない。しかし、雰囲気を追いかけているだけでも十分楽しめるはず。文章は淡々としながらユーモアがあるし表現力も高い。最後の博士論文をされる考査シーンとか実にダイナミック。

以上、お仕事もの作品完結３選でした。苦労しながらも自分の仕事に誇りをもって良い結果を出す、現代社会の英雄譚とすら言えそう。