第5話 はだかの王様




「最近、社員が失踪するという件はどうなったのかね?」





「それに関しては、まだ調査中です。そもそも失踪したのかさえ分からなくなってきたわけでありまして」


「おいおい しっかりしてくれよ、はは」




社長がオフィスを歩くと

皆が振り向き、お辞儀をする。


絶対的な支配者としての威厳それを見せつけること


それこそが

組織の規律を保つために必要な事なのだ。


社長は胸を張り、笑顔でそのお辞儀に対して会釈する。



執務室でお茶を飲む。

ふと、すぐ前に何かが横切るのを感じた。



「?」



何かぬるっとしたものが、体に巻きついて、

自分の体から魂のようなものが抜けるのを感じた。

そして大きなトカゲがゆっくりと逃げていく姿が見えた・・・




(なんだ、今の影は?)




疲れているのかもしれない、

社長は気を取り直して秘書に話しかける。


「では、例の資料をみせてもらえるかね?」


「?」


「どうした?」




「・・・あのどちら様でしょうか?」




「はははは、なんの冗談かね」



「あいにくですが、このフロアは役員の方以外立ち入り禁止なので・・・お引き取り願えないでしょうか?」




「・・・え?」



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