[縺薙>縺、谿コ縺咏オカ蟇セ縺ォ縺カ縺」谿コ縺呎判謦?□逶エ縺。縺ォ逶ク謇九r迚ケ螳壹☆繧......]


 SOSが暴走してる!?

 それもあちこちのSOSに伝播して、えっ、囲まれてる......!?


「おいどうすんだよ!」


「こんなもん俺一人で十分だ」


「なんかいい方法でもあんのか?」


「一機残らずぶちのめしてやるよ」


 ゴリ押し戦法かよ!

 無理に決まってる。いや、いけるか!? 所詮は小っちゃい機械、けど壊したとしたら修理費はいくらになるんだ!?


[社会秩序執行モード...... 対象ヲ特定シマシタ]


「はっ?! 」


 SOS ((Social Order System)社会秩序システム) は真実を象徴する鏡と、善悪の選別を象徴する天秤から成る、可愛らしい姿形をしたマスコットキャラクターだ。

 そんな可愛らしいマスコットキャラクターが今、禍々しい形相に変わった。


 こんな姿は初めて見た。


「待って、これヤバくね......?」


 お前が言うな!


「おい、あいつどっからそんな手が出てくるスペースがあるんだよ...... 」


 確かに、あの薄っぺらいデザインからどうやってナウシカの巨神兵のように変化するのか不思議だ......


[執行シマ[執行シマ[執行シマス......]]]


 相手できるのか? こんな公共の場で......

 これはちょっとマズいな、てかあいつは?


「おい、大丈b」


「うわぁあ゛あ゛あ......」


 ......あ、詰んだ。




 *




「痛゛っ! おいコラ! 」


[只今ヨリコノ先二週間北都図書館ノゴ利用ヲ禁ジマス]


「は? ふざけんな待て! 」


「大丈夫だったか? 」


 どうやら、執行されたのは彼だけだったようだ。なので、特に俺自身にペナルティを課せられることもなく難なく難を逃れた。


「クソっ! ......ちなみに、お前は大丈夫だったのか? 」


「ん? まぁ、何とか」


「そうか、ならよかった」


 よかったのか......?


「そういや、お前ここらに引っ越して来たって言ってたよな」


「あぁ」


「なんか俺しばらく図書館出禁になったし、この後も暇だから良かったらこの街を案内するけどどうよ? 」


 誘いを断って図書館に戻る選択肢もあるが......まぁ、確かに予定はこれと言ってないし、街を案内してもらうのもいいかもしれない。


「そうだな、お願いしようか」


「おけ。そういや、名前聞いてなかった。お前何て言うのよ? 」


とばり 進夜しんや。お前は? 」


「......あぁ、天照あまてら脩造しゅうぞう。えっと、天を照すって書いてそのまま脩造だ。よろしく」


「脩造か、よろしくな」


「......おう!」


 熱いやつ、第一印象はこれだ。

 熱いやつは嫌いじゃないんだが、少々俺には熱すぎる。勢いに気圧されてしまう。


「進夜さ、ここの都市構造についてはもう理解してるか?」


「いや、まだ。駅近くの電子案内板を見てなんとか第二層のあの図書館には来れたけど」


「じゃあ説明するわ。まずここは北都の中心部で、第四層に別れてんのよ」


「まだ上もあんのか」


「第一層は、主に市街地や、中小企業とか、まぁいわゆる一般の人々が暮らしてる。そして、俺たちが今いる第二層は、ちょっと大きめの商業施設とか、公共施設とか、一般の人々が集う場所で、いろいろと便利な所だよ。

 そして、第三層は大企業や金持ちとか、まぁ一般の人々とは無縁の奴らが住んでいる。

 最後に第四層は政府の重要機関が置かれてて、まぁ、一般の人々とは遠くかけ離れてるな」


 要するに、第一層は市街地や中小企業。

 第二層は商業施設や公共施設。

 第三層は大企業。

 第四層は政府の重要機関が置かれてるってわけか。


 見上げると第三層、第四層は俺たちの背後の遥か彼方に重々しくそびえ立っている。

 ビルとビルの間からは第一層の閑静な住宅街の家たちが俺をチラ見していた。


「そういや、どうして進夜はここに来たの?」


「あ、えっと......聞いちゃう?」


「おぅ、教えろよ」


「ここに北都大学ってあるじゃん」


「あぁ、あの頭良い大学か」


「そこに行くんだよね」


「え!? すげぇじゃん」


「いや、どうかな」


「ちなみに俺そこの主席」


 ん? は?

 嘘だろおい。


「え、本当なの?」


「もちろん。これからもよろしくな」


 この国変えるって、案外こいつなら本当にやりかねない気がしてきたぞ。


「そうだ、ここに俺のオススメの店あんだけどそこに行かね?」


「おう、いいよ......」


 着いていけねぇ。




 *




 今日一日でこんなにも疲れることはなかった。オシャレなカフェにでも連れてってくれると思ったら、食べ放題の店に連れてかれたし......豪快というか、この先が見えない。


「日はだんだん延びてきたのに、もう暗くなってきてんな」


 確かにそうだ。おまけに少し寒い。


「俺さ、時折この空が鳥かごに見えて仕方がないんだよね」


「どういうこと?」


「この空の向こうに何があるのか知ってる?」


 空の向こう......?

 茜色の空にほんのり色づく街並み、その空の向こうに何があるかなんて考えたこともなかった。


「習ってないし、そもそも興味ないね」


「あの空の向こう側に行ってみたくないか」


「いや、特に」


 ここで生きていくために空の向こうなんて知る必要どこにもないし、むしろそれよりも優先してやるべきことがたくさんある。


「今あることに囚われて、未知の世界に羽ばたこうとしないなんて、まるで鳥かごの中の鳥じゃないか」


「第一、鳥かごの外なんてあるのかよ」


「それは行ってみないと分からないさ」


 午後5時にもなると、家に帰る人たちで辺り一面ごった返しになった。


「流石に人が多いな」


「前住んでいたところはどうだったの?」


「全然人はいなかったよ」


「これから毎日が大変になりそうだな」


「はは」


 ふと、小学生か、一人で歩いている男の子が目に入った。それは天の川に呑まれた小さな星が自分の居場所を知らせるために懸命に光っている、そんな錯覚を覚えるものだった。


「あの子、もしかして迷子か?」


「かもしれないな、行くぞ」


 決断が早いな。


「おいガキ、もしかして迷子か?」


 いや、言い方......


「もうちょっとやさしく言った方が」


「はい、家に帰るために一層に降りることができる北都駅に向かいたいのですが」


 わお。ハキハキしゃべっててちょっとびっくりした。礼儀も正しいし、ちゃんと教育が行き届いているな。


「あー、この先を右に曲がって、二つ目の交差点を......」


「えっと、これで教えて欲しいのですが」


 携帯を差し出すとは、なかなか現代っ子だ。


「あぁ、ここだ」


「ありがとうございます」


「連れてってやろうか?」


「いえ、もうあなたたちは用は済みなので」


 そんな言葉を吐き捨てるなり、サッと遠くへ行ってしまった。礼儀正しいなと思ってたら、結構生意気なやつだ。


「まぁ、子どもなんて大体こんなもんだろ」


「そうなのか? てか、あの子この先左に曲がったけど大丈夫か」


「え?」


「方向音痴かな」


「念のため着いて行くぞ」


「おう」


 あの子の後を着いて行くことにしたのはいいが、どこに行った? 人の波に押し流されてどこか遠くへ見失ってしまった。


「おいガキどこだ!」


「多分やみくもに探しても見つからんぞ」


「じゃあどうすればいいんだ」


「SOSか、警察に連絡するのはどうだ?」


 実際頼れるかどうかは分からないが、有効な手であることは間違いないだろう。


「名案だ。でも、あのガキの名前なんて知らないし、ガキにとっても俺たちは今日あっただけの見ず知らずの人間だ。正確な個人情報も無しに協力を得られるなんて到底不可能だろうよ」


 それもそうだな。もし俺があの子の立場ならどうする......? いや、そもそも迷子になったことがないからどうすかなんて分からない。

 脩造の場合ならどうするんだろうか? 聞いてみるか。


「仮に脩造が迷子になったとして、誰にも頼れない状況になったとき、お前ならどうする?」


「俺か。やっぱり、自分の居場所を知るためにとにかく歩き回るだろうよ。それか目立つ目印がある場所や、高い所に行くだろうな」


「ここら辺に特に目立つ場所や高い所はあるか?」


「電波塔か、デパートだな」


「どっちが近い?」


「デパートだな」


「じゃあそこに絞ろう。まだそんなに遠くに行ってないはず」


「でも俺の勘が当たってる保証なんてどこにもないぞ」


「しらみ潰しに探すよりも何倍もマシだ」


「了解。最短ルートで行くぞ」


 行動も早いし、なんなら足も速い。死ぬ気で着いていかないと置いていかれそうになる。


「あの子が俺たち以外の人に頼ることってありえると思うか?」


「無いと思う。人って窮地に追い込まれれば追い込まれるほどバイアスがかかるもんだ。俺はなんとかなるってな。それに、あのお年頃はプライドが邪魔して聞くにも聞けないだろうよ」


 こういう時ほど頼ってほしいものである。


「着いたぜ」


「いるか?」


 メインホールをぐるっと見渡すが、あの子の気配がない。手詰まりだ。電波塔に行く手もあるが......


「例えば俺たちがあの子を見つけられなかったとして、何か事件に巻き込まれるなんてことがあると思うか?」


「確率的には低いだろうよ。街にはSOSがうじゃうじゃいるし、悔しいが6時にでもなればあのガキは補導の対象となる。何か特別な理由が無ければな」


「残り30分か。だとすると、もうSOSに任せたほうがいいだろうよ。そもそも俺たちがあの子を助ける義理なんてどこにもない」


「かもしれないな。だがそれだったら......」


 彼は何か言いたそうにみえた。


「俺たちも帰ろう。なんせ明日は入学式だ。お前は主席だろ?」


「......そうだな」


 渋々了承はしてくれたが、こだわりでもあるのだろうか? 頭の良いやつの考えることは全くもって分からん。


「そんなに落ち込むな、善意さえあれば十分だよ」


「善意だけじゃ誰一人救えない」


 ......顔見ればわかるが、相当キテるなこれ。日と一緒に脩造の気持ちまで沈んでる。あそこにも沈んだ顔したやつがいるし......って、


「......あれ? さっきの子じゃね......?」


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朝追う物語 _湯_野察氏 @hal_kaku_wvvwvvwvvwvvwvvww

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