第19話 トイレ

 職場から帰る人気のない一本道。昔、その傍らには公園と公衆トイレがあった。

 そのトイレにはセンサー式のライトがあり、中に入るとライトがつくようなシステムになっている。

 場所のせいなのか、利用者は少なく変な噂も流れていた。


「つけたライトが消えない」


 人がいなくなったトイレは暫くの間ライトに照らされ、その内暗くなる。にも関わらずライトが消えないのだ。

 気味が悪かった。


 あれから公園にはアパートが建ち、噂は聞かなくなった。ただ時折、居住者と管理人がアパートの前で口論しているのを見る。盗み聞きをすると、こうだ。

「枕元に誰か立っている」


 新しい建物だからって、何も出ないとは限らないんですよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る