第7話 かがみ

 鏡ってどの家にもあるじゃないですか。それに付随する怪談もよくある話で。

 僕の話もそんな話なんだと思いますがね。


 僕がまだ受験生だった頃、大学に合格した先輩からシャープペンを貰いまして。よくある三色ボールペンとシャープペンがくっついたやつですよ。

 先輩曰く


「こいつは集中して勉強するのに適してる」


 そんなことを言われながら押し付けるように渡してきまして。

 なかなか渋い見た目でしてね。黒いボディに所々鏡面加工がされてましたよ。


 受験生なんで夜遅くまで勉強するわけですよ。確かに集中して勉強できるんだ、これが。誰かに監視されてる感じがするおかげでね。

 まあ、分かりますよね。横目でシャープペンを見たら、自分がこっちを見てたんですよ。横目じゃないですよ。しっかりこっちを見てた。


 大学に合格したあとは後輩に押し付けましたよ。あの時の先輩と同じやり口でね。


 残念なことに、未だに鏡面に写る自分はこっちを見つめてくるんですけどね。

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