第5話 ワゴン車

 私が日曜の真っ昼間に出会ってしまった話だ。



 その日はスーパーに行くついでに神社をひと回りした。


 神社の境内にはワゴン車が一つ停まっており、荷台には段ボールが積み重なっている。


 木の伐採が目的であろうその車には運転手はおらず、その場に静かに佇んでいた。


 通り過ぎるその瞬間、荷台に誰かの顔が映った。


 男の子。


 こちらを見つめている。


 通り過ぎるその時まで、異変には気づかなかった。


 その十数秒の間、その子が瞬きをしなかったこと。


 荷台には人の入れる隙間はなかったこと。



 あのとき以降、その子は見ていない。

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