White Town
石上あさ
第1話
空を覆う鉛が
鈍いグレーの灰を落とす
人々は縮こまり
すきま風に病んでゆく
すべてのドアは閉ざされ
凍りついたように静まり返る
僕は
童話の中のジャケツのことを
考えている
※
繋いだこの手に 通った温度を
僕たちは分かち合おう
手放さなくちゃいけないものも
人生にはあるけど
僕は君を愛してる
空はじょじょに溶けだし
白い光の粒が踊る
氷像は動きだし
雪だるまが微笑んだ
ドアから人が出てきて
明るい笑い声 弾けて光る
赤い
ジャケツが町の呪いを
解いたかのよう
※
通わぬ心を 隔てる距離さえ
噛みしめて共に行こう
諦めなくちゃならないことも
世の中にはあるけど
僕は人を信じてる
雪の声を瞳で聴いた
詩人の言葉は魔法となって
やがて詩人も言葉になった
言葉の中で永遠(とわ)に生きた
※
かじかむ心を 溶かしたぬくもり
それをこそ唄とよぼう
押し殺してたいろんなものは
薪にくべて火を灯し
寒い夜を照らそう
繋いだこの手に 通った心を
いつまでも覚えてよう
諦めなくちゃならないことも
人生にはあるけど
僕は君を愛してる
僕は君と愛してる
人の夢を愛してる
White Town 石上あさ @1273795
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