おまじない

石上あさ

第1話

靴ヒモを結びなおすとき

変なものが目についた

思わず笑って

遠い灯火を胸に描いた


ずっと

友だちみたいに大事にしてた

ぬいぐるみのように

見守ってくれる思い出がある


年をとるほど

立ち上がるのにかかる時間は

長くなるけど

「もう終わりだ」なんて

焦りすぎてただけさ

落書きに笑いかけた



道筋を見失ったなら

心に尋ねればいい

たぶん正解は

思うよりもっと 多くあるから


むかし

おばあちゃんが手渡してくれた

あのお守りみたいな

優しい言葉が支えてくれる


知れば知るほど

一番いい答えなんてもの

分からないけど

「ぜんぶ無駄だ」なんて

どうってことないだろ

今さらな話だろう?



‘ねえ おまじない

ただの気休めだけど

つま先にかけといたから

うつむいたときは

思い出して

一人じゃないこと’



年をとるほど

立ち上がるのにかかる時間は

長くなるけど

下手な歌を唄い

少しだけ力抜けば

それだけで歩いてゆける


知れば知るほど

一番いい答えなんてもの

分からないけど

何事でも たぶん

なるようになるだけさ

これからも 続いてく

物語 続いてく

この旅は 続いてゆく




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