日月(にちげつ)の交わり

作者 @naka-motoo

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11人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

【ゆかしい】
読み終えたとき、コメントを書いているとき、『作品』という言葉を使った瞬間に違和感が走った。これは作品などという言葉では到底言い表せないなにか……そう、『世界』だと感じた。
だからまず先に言っておきたいのは、私が今から行なうのは『作品紹介』ではなく『世界案内』である。

【性らかしい】
さて、この『世界』はフィクションだろうか。小説の本質は虚構であり、その虚構の中に真実を構築していく行為だが、この『世界』はどうか。
私はボーイミーツガールから始まった、世界救済の史実だと考えている。
写実的に描かれた世界の全容。登場人物たちの運命。それらすべてがとても虚構のこととは思えない。
これは、世界で静かに起きていた人類存亡の危機を、ただただ静かに解決するべく、二人が独力によって切り開いた未来。
起きたことすべてが、テレビに取り上げられるわけでもなく、ノーベル賞にノミネートされるわけでもなく、社会が無関心で無反応であれば、事実であっても事実として認識されない。
だがそうであってはいけない。彼と彼女の命懸けの善行が誰にも知られず歴史に忘れ去られるという事態は、世界滅亡の再発に繋がりかねないのだ。
そこで神が、一人のweb作家にこの『神の書』を書かせたのだとすれば、なるほど辻褄が合うではないか。

【抱きたい】
翡翠さんを抱きしめたい。思わず抱きしめたくなるお方だ。
ギリギリの精神状態で、けれどもあっけらかんと笑う。笑うのだけれども、「ははっ」という笑い声が余りに切なくて、心に爪を立てるものだから、思わず抱きしめたくなってしまう。
多分その欲求は彼女を救いたいのではなく、どうしようもない空虚さに満たされた自分自身を彼女のついでに抱きしめてしまいたいという、自己防衛本能から来るものだ。そう、彼女の傍に居ると、心を丸ごと持っていかれるような不安と焦燥に駆られる。しかしそれでも傍に… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

結論から書きます。
この物語は、凄い。
文章力、表現力、テーマ、エピソードごとの構成、スケール、心情、異常さ、真摯さ……。

そして、ヒロインの造詣。

なにをとっても言うことはない。他作品とは一線を画す強烈な個性。これまでに読んだことがない物語を楽しみたい方は、ぜひ本作を開けられることをお勧めします。

それでは、本作構成の紹介です。

巨大商社に所属しながらうつ病を患う主人公、賢人。
『神の絵』に心を委ね世界を救おうとする若きヒロイン、翡翠。
二人は病院で出会い、それからなにを示し合わせることもなく全ての行動をともにするようになります。時には互いに失望し、怒り。時には互いの身体を求め(ちょっと精神的にやらしいシーンもあるよ。18禁ではないけどね。でも筆者はこういうシーンやセリフを描くのがとてもうまい!)。時には一つの価値観と信念を共有し合って世界の果てまで進もうと決意する。
その二人の行動は日本全国から、伝承・伝説、さらには宇宙の真理にまで波及します。セカイ系なようでセカイ系でなく、これは完全に「真」と「心」の物語です。

一番の読みどころは、翡翠ちゃん!
これがもう、さいっっっっっっっっっこう! のヒロイン!!
naka-motooさん、あなたはよくこのヒロインを生みだした! 翡翠ちゃんをこの世に送り出した! もうそれだけで「爪痕」です。「影響」です。世界を一つ輝かしくさせてくださいました。皆さんにはこの翡翠ちゃんの一挙手一投足、話す言葉の全てを読んでいただきたい。

もう、傑作ともいえるこの物語。
読んでホラーと思うか。
読んで宗教ものと思うか。
ヒューマンドラマと思うか、救いの物語と思うか。
それは自由。
ただわたしは最後にこう行き着いた。

これは、心が編みこまれた後の、着地点の物語であると!