田舎へ・・・

勝利だギューちゃん

第1話

生まれ育った田舎を出てから、10年。

僕は、久しぶりに帰ってきた。


懐かしい故郷へ・・・


ここを出たのは、中学卒業と同時。

なので、今は25歳になっている。


高校と大学、そして会社は、東京で過ごした。


しかし、僕は体を壊してしまった。

もともと丈夫でなかった僕は、都会のすさんだ空気には、耐えられなかった。


そして、Uターンして戻ってきた。

しばらくは、この故郷で静養をすることになる。


そして、戻ってきた理由はもうひとつ・・・


で、その田舎であるが、駅から下りた時の印象は、


全く変わっていなかった。

まるで、時代から取り残されたかのように、昔のままだった。


とりあえず、歩いてみる事にした。

空気は奇麗だ、

気のせいかもしれないが、少しよくなった気がする。


でも・・・

疲れた・・・


僕は、近くの木陰で休む事にした。

家までは、歩いて20分ほど・・・

健康のために、歩くことにしてたのだが・・


撤回。バスの乗ろう。


しかし、田舎なのでバスが来る間隔は長い。

そのために、休む事にした。


そして、旅の疲れか、健康上の理由か・・・

いつの間にか、眠ってしまった。


しばらくすると、女の子の声がした。

逆光で、顔は見えない。

でも、懐かしい声・・・


「久しぶりだね。元気だった?」

「そう見える?」

「見えない。」

「正解」

女の子は笑う。

でも、嫌味はなかった。


「また、君に会えるとは思わなかったよ。

戻ってきてくれて、ありがとう」

「嫌味が?」

「いや、本心だよ」

昔から、こういうやりとりをしていた。


とても、懐かしい。

僕は戻ってきたんだ。

この村に・・・


「さあ、行こう。みんなが君を待ってるよ」

差し出された手を握る。


これもまた、懐かしかった・・・


「さあ、よろしくね。ダーリン」

「こちらこそ。ハニー」


僕はもう、ひとりではなくなった。



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田舎へ・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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