第9話 お父さんの喜んだ顔
お父さんはあんまり、ありがとうとか言うタイプではない。ごめんもふざけてしか言わない。そういう人。
今まで何度かお父さんのうれしそうな顔を見た。何度かというと少なすぎるが、私の印象的なお父さんのうれしそうな顔。
まずは、家族で初めての海外。初のボーナスで家族でタイに行った。私も母も初めて。タイは父のリクエストだった。飛行機からそれはそれはうれしそうな父と不安そうな母。
タイでは像に乗ったり舞踊見たり、買い物したり。ご飯は合わなかったけど、それをずっとネタにして皆にうれしそうに話す父に私は嬉しかった。そういえば、タイで母はお腹を壊し、父は一瞬居なくなり、それを追いかけたお腹の痛い母が猛スピードで走り去り、一瞬パニックになったなぁ。次の瞬間、父が俺はここにおる。お前らをいつも見守っとる。って。今になったらあの言葉、響く。あれはもしやスリ対策だったのかな。
次は韓国旅行。飛行機からうれしそうな父とやっぱり不安そうな母。母の肩を組んでふざけて笑う記念写真の父。涙出るわ。
韓国では焼き肉食べたり、アカスリしたり、買い物したり、観光したり。買い物もアカスリも嫌がる父。前のタイ式マッサージで懲りたのかな。でも、現地のガイドと仲よくなってずっとしゃべって楽しそうだった。その人おすすめの店に行って美味しそうにビビンバ食べてた。とにかく誰とでも仲よくなりたがる父。焼き肉屋とか行く店行く店話しかけてうれしそうな顔してた。
土産を買うのは嫌がってた。海外への警戒心か。送迎のバスで皆待ってるのに呑気にタバコ吸ってたから、おいー!って私が怒ったな。タバコなんて、もっと早く止めさせればよかった。
死んだお父さんに会いたい @sorakaramiteru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。死んだお父さんに会いたいの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ありふれた大学生の日記最新/花空
★3 エッセイ・ノンフィクション 連載中 238話
遠ざかる街を思い出せばあの日に見た夕日も変わらない最新/雛形 絢尊
★3 エッセイ・ノンフィクション 連載中 17話
diary 最新/YOUTHCAKE
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 96話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます