【003】螺線「意外」


まさか『螺線』に『意外』とは

自分で言っといて、矛盾にも程がある


あぁ、やっと

歩み始めたのか――? 私は


ここは、右も左も判らない


朝の山手線

まさか自分が使っているだなんて


そしてまた

「意外と安定感」があるのだ


周りはサラリーマンが多く

うも鮨詰めとなると

ふらつくなど、無い


私は生まれ故郷からは

ほど遠い土地に住む事を決意した


家族と遠く離れるのは

――正直、不安があった


なんてここだけの話


きみに『不安だ』

なんて言えないよ


いい年して

私は家出娘だったのだ


と、いうより

同棲というかたちで家を出たが最後

家族と連絡は、取らせて貰えなかった


Domestic violence...


まさか、自分が――

未だに実感がない

正確に言えば――覚えていない


ここは、右も左も判らない

生まれ故郷からもほど遠い

そんな土地に住む事を決意したのは


きみと共に歩みたいから


『右も左も判らない』当然かな

これはきっと――

私自身で歩み始めた証しだから


意外と安定感あるんだね、山手線



new work 2019/04/20

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

marriage ringはなくてもいい 灯生すずな @sz90

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ