2章 なみだまり
「なーんか、へんのてこのりん!」アリスはさけんだ(あんまりびっくりしたんで、正しいしゃべりかたをわすれちゃったみたい)。「こんどはのびていっちゃってる。まるで世界一大きい
そして、どうやってプレゼントをあげようかなあと考えはじめた。「はこんでもらわなきゃ!」とアリス。「でも
アリスの
(アリスより愛をそえて)
あれえっ、わたしおばかなことしゃべってる!」
ちょうどそのとき、アリスの頭がホールの天井にごっつんこ。なんとこのとき、アリスの
かわいそうなアリス!できることといえば、よこむきに
「はずかしくない、アリス?」とアリス。「あなたもう大きなお姉さんじゃない」(ほんとにそうなんだよね)「そんなにぐずぐずないてるなんて!いますぐやめなさい、いいこと!」それでも泣きやまないアリス、何リットルも
しばらくすると、遠くからパタパタと音がする。アリスは涙をさっとぬぐって見た。白ウサギがもどってきてたんだね。しゃれこんで、かたっぽの手には白い子ヤギ
「あのぉ、すみません――」
ウサギったらびくびくっとおどろいて、白い革手ぶくろとせんすをおとしたのもしらず、すんごいかけ足でくらやみの中へにげてった。
アリスはせんすと手ぶくろをひろって、ホールがとても
「エイダってことはないよね」とアリス。「だってエイダの
ちっちゃなかわいいワニさんの
みがいたシッポはぴっかぴか
ナイルのおみずもかけますの
きんいろウロコはてっかてか!
みてみて、たのしいニタニタワニさん
ぴかぴかおツメでざっくりだ
きてきて、ちいさいおサカナたちさん
にかにかおくちでバックリだ!
「こんなことばじゃないよ、ぜったい」とアリス。かわいそうに、目にはまたまた涙がたんまり。「わたし、やっぱりメイベルになっちゃったんだ。あのぼろっぼろな、ちっちゃいおうちに
こう言いながら手を見てみると、おどろいたことに、ウサギの小さな革の手ぶくろが、いつのまにか手にはまっちゃってた。「どうしてこんなことができちゃったのかな?」とアリス。「わたし、きっとまたちっちゃくなってるんだ」アリスは立ち上がってテーブルのところへいって
「あっぶなかった!」いきなり変わったせいで、アリスはとてもびくびくしてはいたけど、まだ自分がちゃんといるとわかって、ホッとひとあんしん。「よし、つぎはお庭だ!」と、アリスはあの小さなドアをめがけてフルスピードでかけもどる。でも、ああ、ざんねん!小さなドアはまたまたしまっていて、ちいさな金のかぎは、さっきとおなじくガラスのテーブルのうえ。「しかもさっきよりもひどいし」と、このかわいそうな女の子は考えた。「だってわたし、こんなにちっちゃくなったのはじめてだもん、ぜったい!ひどい、こんなのひどすぎ!」
そういってたら、足がつるんとすべって、ぼちゃあん!アリスはあごのところまで
「こんなに泣かなきゃよかった!」アリスはあちこち
ちょうどそのとき、なみだまりのちょっとはなれたところで、なにかがぴちゃぴちゃやってるのが
「よし、ここでこのネズミさんにはなしかけたら――」とアリス。「――どうにかなるかな?ここではなんでもすっごく変だし、このネズミさん、きっとおしゃべりできると思うんだ。やってみよう、へるもんじゃないし」アリスはこうきりだした。「おぉ、ネズミよ、ここからでるすべをごぞんじですか? ここで泳ぎこんでへとへとなのです、おぉ、ネズミよ!」(アリスは、ネズミにかたりかけるにはこれが正しいと思ってたんだね。これまでやったことはなかったけれど、でもおにいさんのラテン
「もしかして、
「ネコヲオスキデナイ、だと!」ネズミはかん高いキンキン声でおおさけび。「もしあんさんがおいらだったら、あんさんネコ好きになるんか?」
「いえ、たぶんならないと思います」アリスはなだめるように言ったよ。「どうか
「ワタシタチ、だと!」ネズミはしっぽの先っちょまでガタガタいわせてさけんだ。「このおいらがそんな話をしてえとでも思ってんのか!おいらの一族ぁ、ずーっとネコがだいっきらいなんでえ。いやらしい、
「しません、ぜったい!」アリスは、大あわてで話のながれを変えようとしたよ。「それなら、あなた――あれは――お好き――イヌとか?」ネズミがこたえなかったんで、アリスは
そこでアリス、うしろからやさしーくよびかけてみたよ。「ねえ、ネズミさん、おねがい、もどってきて!ネコも、イヌも、お好きでないなら話さないから!」ネズミはこれを聞くと、くるっと
たしかに、ちょうど出るのがよいころっぽい。なんせ、なみだまりには鳥や動物がわんさかおちてきて、もうあふれかえってたからね。カモでしょ、ドードーでしょ、あとインコに子ワシ、そのほか変な生き物がいっぱい。アリスが先に泳ぐと、みんなぞろぞろついてきて、まとめて岸にたどりついたってわけ。
真葛式新訳 ふしぎの国のアリス 中村真葛 @Max-Kidnapper
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