1-1

 1992年、5月。私はこの世に生を受けてしまった。

…受けてしまったと言う表現が正しいのかは定かではないが、私からすれば一番正しい表現なのである。

名前は優里。意味は特にないらしい。

ただ ‘‘ゆうり’’ と書いて ‘‘ゆり’’ と読ませる。

読み方にはこだわりがあるらしい。それについての意味も特にはないらしいが。


 私は大工の父と保育士の母の間に長女として生まれた。


生まれてから数ヶ月後のある日、私が突然全くミルクを飲まなくなったらしい。

まあそのうち飲むようになるだろうと気に留めていなかったが、

徐々に衰弱し始め焦って病院に連れて行ったところ、重度の栄養失調と診断された事があったらしい。

母は医師から『どうしてもっと早く連れてこなかったのか』と怒られたことがあるのよね〜。と大笑いしながら私にまるで良い思い出話かのように話した。


いくつぐらいの時にその話を聞いたかは定かではないが、それでも本当に保育士なのかと不信感と違和感を覚えたことは明確に覚えている。


そしてこの感じた違和感が年々強くなっていくのである。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アイノカタチ YURI @rskjump10

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ