人は死んだらどこへ行く ――永遠の金縛り――

烏川 ハル

一人の転生者の独白

   

 子供の頃。

「人は死んだらどこへ行くのだろう?」

 そんなことを考えて、夜、怖くて眠れなくなったことがある。確か、布団の中で涙まで流していたと思う。


 まだ幼かったため、身近な人間の『死』に立ち会ったことはなかった。ただしテレビのニュースやドラマなどで「お葬式」の場面は何度も目にしていたので、死んだら肉体は焼かれるということくらい、既に理解していた。

 俺が「どこへ行く?」と気になったのは、肉体に宿っていたはずの精神・意識・記憶……。いわば『魂』と呼ばれるものの行方ゆくえだった。

 幽霊とか死後の世界とか、何らかの形で意識や記憶などが残るのであれば、死んでも怖くないが……。もしも、それら『魂』が消えてしまうのであれば。無に帰すのであれば。

「それは、どんな感覚なのだろう?」

 子供心に、これ以上怖いものはない、とすら思うのだった。


――――――――――――


 あれから長い年月が過ぎて……。

 今。

 死んでしまった俺の魂は、真っ白な空間に送り込まれていた。

 眩しいくらいに白い空間だ。魂だけとなった俺には、もう『目』すら存在しないが、仮にあったとしても開けていられなかったに違いない。そんな空間だった。

 とりあえず「死んだからといって、直ちに魂が消滅するわけではない」というのは、俺にとって大きな救いだと感じた。


 その白い空間には、俺の他に、よくわからない存在がいた。見えなくても、それだけは知覚できたのだ。そして「よくわからない」ながらも、その者が人知を超えた存在――いわゆる神様――であることは、なんとなく理解できた。

 神は、俺に告げる。

「お前は、これから転生するのだ」

 現世での俺の生き方によって、転生先が決まる……。一瞬そんな死生観を思い浮かべたが、俺の転生先は、全く予想していない場所だった。

 異世界。

 俺の魂は、異世界――まるでファンタジー漫画やゲームに出てくるような世界――に送られるのだという。

「修復可能な肉体が残っていれば、前世の肉体ごと転移できるのだが……」

 神が言うには、俺の体は交通事故でバラバラになってしまったので、それは不可能。そこで俺は、魂を異世界人の肉体に憑依させる形で、転生するのだそうだ。

「では、行くがよい。第二の人生が待っておる」

 こうして俺は。

 異世界ファンタジーの世界――剣や魔法の世界――で、冒険者アダム・ウロブとして、新たな人生を送ることとなった……。


――――――――――――


「いつまで寝てるのよ、アダム。ほら、起きて!」

 朝っぱらから響く、快活な声。それによって、俺は叩き起こされた。

 幼馴染の少女――イブ・マリー――が、起こしに来たのだろう。冒険者アダム・ウロブにとっての、朝の恒例行事だった。

 シャーッという音。続いて、目を開く前からわかるくらいの、眩しさを感じる。イブがカーテンを開けたようだ。

「おはよう、イブ」

 起き上がって確認すると、やはり窓からは明るい陽の光が差し込んでいた。少し「おはよう」には遅い時間とも言える。

「やっと起きたわね。朝食の準備は出来てるから。早く着替えてね!」

 イブは、俺が寝ている間に食事の支度をしてくれている。これも、毎朝の日常だった。

 一応、礼を言っておく。

「ああ。いつもありがとう、イブ。目が覚めたら朝食が出来てるなんて、あらためて考えると、幸せな話だよなあ」

「何を今さら……。一人分も二人分も、作る手間は変わらないわ。それに、やっぱり一緒に食べたいし」

 イブは少し照れたような声で、そう返してきた。

 

 ここは、今や『アダム・ウロブ』となった俺の、大事な。イブ・マリーと二人で借りている、小屋に毛が生えた程度の木造建築だった。

 二人で一緒に住んでいるといっても、別に俺たちは同棲しているわけではない。寝室も別々だ。あくまでも『幼馴染』であって『恋人同士』ではないからだ。日本人だった俺には馴染みが薄いが、おそらく、これこそが欧米では当たり前の――海外ドラマでは何度も見かけた――ルームシェアという形態なのだろう。

 着替えるためにベッドから出た俺は、ふと、あらためてイブを見つめてしまう。

 イブ・マリー。

 少し癖っ毛のある、短めの赤髪。ほっぺたのソバカスも特徴的だ。

 背丈は、女子にしては少し高め、という感じか。引き締まった体つきをしており、胸も巨乳というには程遠いが、それでも健康的な色気のある少女だった。

「どうしたの? 私の顔に、何かついてる?」

 ジロジロ見ていたからだろう。俺は、そう言われてしまった。

 彼女は『私の顔に』と言ったくせに、頭に手をやっている。確かに、少し寝癖があるようだが……。元々の癖毛に紛れてしまって「そういう髪型だ」と見えるから、気にする必要はないと思う。

「いや、別に……」

 適当に誤魔化す俺。

 ささやかな寝癖も含めて、俺から見ると、イブは本当にチャーミングだ。特に俺が好きなのは、先ほども『特徴的』と書いた、彼女のソバカス。

 あのソバカスだらけのほっぺたを見るたびに、彼女の顔を舌で舐め回したくなるくらいだった。なぜだろう? 転生前の俺に、そんな特殊性癖はなかったはずなのに……。

 もちろん、舌でペロペロなんて、願望に過ぎない。妄想に過ぎない。

 先ほども書いたように『アダム・ウロブ』とイブ・マリーは、幼馴染ではあるけれど、別に恋人というわけじゃない。どうやって口説いたら良いのか、俺にはサッパリわからない。

 しかし……。

「まあ、いいわ。さあ、朝食よ!」

 俺をかしながら。

 イブは、聞こえるか聞こえないか程度の小声で、本音を漏らしていた。

「アダムのそういう視線、嫌いじゃないんだけどね」


 アダム・ウロブとイブ・マリーは、幼馴染であり、同居人であると同時に、冒険者としての相棒同士でもある。

 冒険者。

 依頼を受けてモンスターと戦ったり、それっぽいクエストをしたり、あるいは、依頼もなしに適当にダンジョン探索をしたりする人々のことだ。

 俺たち二人の場合、堅苦しいクエストの依頼は、あまり好きではない。だから自由にダンジョンへ赴く日々の方が多かった。

 洞窟、森、山……。宝箱がありモンスターが出現する、そうした場所を、この世界の人々はダンジョンと呼ぶ。

 そんなダンジョンで、ゴブリン、スライム、ウィスプといった低級モンスターを狩る。

 それが、俺アダム・ウロブと幼馴染イブ・マリーの冒険者コンビの日常だった。


 朝食の後。

 今日も俺たちは、ダンジョン探索に向かっていた。

 本日の行き先は『アシュターロ・ケイブ』と呼ばれる洞窟。なぜか生まれたばかりの貧弱なゴブリンが多い、という評判の洞窟だ。

 俺の魂が『アダム・ウロブ』の体に入るより以前に、二人で何度も探索したダンジョンらしいが……。

 今。

 その『アシュターロ・ケイブ』が見えてきた。『アダム・ウロブ』の記憶としては知っているが、実際に行くのは初めての俺なので、少し身構えてしまう。

 洞窟の内側は、発光鉱物を含む岩肌になっているらしい。そのため、ぼんやりとした光が洞窟内部から漏れてきていた。

「さあ、着いたわね」

「ああ、そうだな」

「もう、すっかり見飽きたダンジョンだけど」

「まったくだ」

 俺の内心など知らぬイブの言葉に、俺は適当に頷いておく。

 いざ入ってみると、やはり奇妙な感覚だった。岩肌全体が、うっすらと光っている……。まるで照明パネルに覆われた洞窟、とでも思えば良いのだろうか。だが、元の世界の文明的な「明るい照明」とも、明らかに違う。どちらかいえば薄暗い光であり、どうも慣れない。

 それでも俺は、イブと一緒に、どんどん奥へと進んでいく。

 慎重に、慎重に……。

 俺としては「とにかく注意深く」と気をつけていただけだが、同行するイブの目には、そうは映らなかったらしい。

「ねえ、アダム。何を考えてるの? そんなに暗い顔して」

 そうか、これが『暗い顔』に見えるのか。

 まあ彼女にしてみれば、気楽に探索できる、慣れたダンジョンのつもりだろうしなあ。妙に緊張していた俺の顔は、さぞや変な表情になっていたことだろう。

「もしかして……。アダム、頭を打って、性格変わった? あれ以来、考え込むことが増えたわよね?」

 冗談っぽい口調のイブだが、その顔色を見れば、彼女が真面目に心配しているのがわかる。

「そうか? 俺には、変わったなんて自覚、ないんだがなあ」

 と、返しておくが……。


 彼女の発言にあった「頭を打って」というのは、ちょうど一週間前の出来事だ。

 森でモンスターを狩っている最中に出てきた大柄なゴブリン――ただのゴブリンではなく別種族かもしれないモンスター――に突き飛ばされて、アダム・ウロブは、背後の木の根っこに足を引っ掛けて転んでしまう。運悪く、地面に小岩が半分顔を出す形で埋まっており、そこで思いっきり頭を打った。

「アダム!」

 叫びながらもイブは、愛用の剣でゴブリンにとどめを刺し、続いてアダムのところへ駆け寄ったが……。

 アダムは意識を失っており、気がついたのは翌日だったという。

 ……そう。

 伝聞の形でしか俺が記せないように。

 事故の時点では、まだ『アダム・ウロブ』の中身は、俺ではなかった。

 この時の『意識不明』の間に、俺の魂が、アダムの肉体に入り込んだのだ。

 だから目が覚めた時には、アダムは俺になっており、イブの「頭を打って、性格変わった」という言葉は、まさに真実を言い当てていたのだが……。


「ふーん、そう。本人には、案外わからないものなのね」

 イブは今、俺の言葉を素直に受け取ってくれていた。

「少し前までは、逆に、驚くほど明るかったのに」

 そう付け足した彼女に対して、俺は苦笑してしまう。

 中身が変わったのだから仕方ないのだが、はたから見たら、まるで……。そう、元の世界ならば、躁鬱病とでも言われていたのではあるまいか。

「まあ、以前のことはともかく……。今の俺だって、暗くなったではなく、しっかり考えるようになった、と言ってくれ」

「まあね。確かに、地に足がついた、って感じはあるけど」

 イブは軽く笑いながら、

「とりあえず……。今は、冒険よ!」

 そう言って、歩く速度を少しアップした。この会話はこれで切り上げる、という意思表示なのだろう。


 イブと並んで歩きながら……。

 今の会話があったせいだろう。ついつい俺は、自分が転生してきた直後のことを考えてしまった。

 あの時。

 まず目の前には、アダムの意識が回復したことを喜ぶイブ。

 もちろん最初、俺には彼女が誰だかわからなかった。新しい自分の名前である『アダム・ウロブ』すら知らなかった。

 だか、一日もしないうちに、俺の頭の中に『アダム・ウロブ』の記憶が流れ込んできた。だから、最初に「わからない」ことだらけで戸惑ったのも、「意識不明から回復した直後の混乱」という一時的な状態として、誤魔化すことが出来た。この世界での暮らしに、すっかり溶け込むことが出来た。

 それは良かったのだが……。

 思い出した記憶の中には、俺を愕然とさせるような情報もあった。間違ってもイブには話せないような内容もあった。

 それは。

 この肉体からだが転生者の魂に憑依されるのは、これが初めてではない、という事実だった。

 俺が『アダム・ウロブ』に憑依する前にも、何度も何度も、別の転生者たちが憑依していたのだ。

 元の世界にいた頃、俺は『霊媒体質』という言葉を聞いたことがある。霊に取り憑かれやすい人がいる、という話だ。おそらく『アダム・ウロブ』も、そんな感じで、転生者に憑依されやすい体質だったに違いない。だから転生してきた者たちの魂が、この体めがけて続々と押し寄せてくるのだろう。

 先ほどイブが「少し前まで逆に驚くほど明るかった」と言っていたのも「俺の一つ前に『アダム・ウロブ』の体を使っていたヤツが、やたら陽気な男だったせいだ」と俺には理解できていた。

 だが今の俺に、その前任者の魂は感知できない。この体のどこかに「やたら陽気な男」の魂が残っているとは思えない。

 きっと彼は、俺が転生してきたことで、追い出されて……。

 ならば、次に誰かが転生してきた時、やっぱり俺も……。


 そうやって『この先』を考えると、俺は怖くなる。

 だから。

 自分の考えを拭い去るかのように、俺は、小さく首を横に振った。

 今、隣にはイブ・マリーがいるのだ。彼女に、意識を集中しよう。先を心配するよりも、今はイブと一緒の冒険を楽しもう。

 そう決意して。

 俺は心の中で、無理にでもテンションを上げるのだった。


――――――――――――


 一ヶ月ほど過ぎた、ある日のこと。

火炎弾フレイム・ブレット!」

 俺の声が、山中に響き渡る。

 俺とイブは今、山道の途中でモンスターと戦っていた。

 三匹のウィスプを引き連れた、二匹のゴブリン。

 ウィスプには物理攻撃は効きにくいので、魔法も使える俺がウィスプを攻撃。その間、イブは一人で二匹のゴブリンの相手をしていた。

「えいっ!」

 気合いと共に振り下ろされたやいばによって、一匹のゴブリンが絶命する。

 このダンジョンにおけるゴブリンは、小さな斧を手にしているが、しょせん弱者。二匹がかりでもイブ一人に太刀打ちできず、残った一匹も、もう瀕死となっていた。

 俺が担当していたウィスプたちの方も、先ほどの炎魔法により、最後の一匹が消滅したところだった。

 イブが苦戦するようならば援護の必要もあるだろうが、もうこの状況になってしまえば、むしろ俺は手を出さずに見守っていた方がいい……。

 そう俺が考えた時だった。

「危ない!」

 イブが叫ぶ。

 真っ当に戦っても勝てないと悟ったゴブリンが、武器を投げつけてきたのだ。狙いはイブではなく、後方の俺。せめて一人でも道連れに、と考えたのかもしれないが……。

「ふっ」

 軽く鼻で笑いながら、俺は体を捻って、その投擲をかわしていた。

 何しろ、イブとゴブリンの戦いを『見守って』いたのだ。飛んでくるとわかっている武器ならば、回避も余裕……。

 しかし。

 問題は『回避』の直後にやってきた。

 突然、俺の体の中を、強烈な違和感が駆け巡る。

 意識ははっきりしているのに、現実感が遠くなる。

「……うっ」

 しっかりと両足は大地を踏みしめているのに――その場に踏み留まっているのに――、意識だけが、後ろに引っ張られるような感覚。

 初めての経験だが、直感的に理解できた。この体から、俺の魂が追い出されようとしているのだ、と。


 ああ、これが憑依される側の感覚なのか!

 ならば。

 体から弾き出された俺の魂は、どこへ行くというのだろうか。

 今度こそ、消えてしまうのだろうか……。


――――――――――――


 次に気づいた時。

 俺は、真っ暗な空間に送り込まれていた。

 もう肉体はない。魂だけだ。

 何も見えないし、何も聞こえない。

 それでも。

 ただ、理解できた。

 その空間には、俺の他にも、似たような存在がたくさん「いる」ということを。


『ここは、アダム・ウロブの体の中さ』

 親切な存在が、新参者の俺に教えてくれた。

 口で話す声でもなく、耳で聞く声でもない。魂と魂の間でのみ伝わる、テレパシーのような会話だった。

『体の中? 追い出されたんじゃないのか?』

『馬鹿を言え。他に、どこへ行くっていうんだ。これ以上、もう行き先はないぜ』

 別の誰かが、補足するかのように言葉を挟む。

『ここが終点。デッドエンドさ』

『肉体を動かしていた時には知覚できなかったような、体内の辺境さ』

 言われて。

 意識を集中してみると。

 なんとなく理解できた。

 確かに、まだ俺は『アダム・ウロブ』の体の中にいる。

 さらに。

 今『アダム・ウロブ』が何をしているのか、それを体内から「見る」ことも出来た。


 ちょうど、地面に倒れていたアダムが、起き上がるところだった。

 俺の魂が抜けたことで、アダムは一時的に力を失って、地に伏していたらしい。

 そこに新たな魂が入り込んだことで、再起動したのだ。


『ここは天国だぜ』

 ある者は言う。

『自分は何もする必要がない。気楽な毎日だ。誰かが、勝手にこの体を動かしてくれる。ちょうど、ゲームの実況動画を見ているような気分だぜ』


 またある者は言う。

『ここは地獄だ』

 魂だけになっても、その者は悲壮感に溢れていた。

『体の中にいる以上、ああしたい、こうしたい、って思うのが普通だろ? でも、何も出来ないんだ。このもどかしさが、ずっと続くんだ……』


 他にも、魂たちは、勝手な意見を述べ立てる。

『こここそが、最後の楽園だ!』

『いや違う! こんなもの、魂の牢獄だ!』

 要するに無数の魂たちは、肯定派と否定派とに別れて、いつも言い争っているらしい。

 でも、俺は……。

 ここは天国でもないし、かといって地獄でもないと思った。


 確かに、ここは自由がない世界なのだろう。

 だが、だからといって、地獄と呼ぶのは言い過ぎだ。

 むしろ、地獄というより……。

 この感覚、何かに似ているのだが……。言葉に出来ない……。


 今。

 必死に考える俺が、考え事とは別に、気になっていた光景は……。

「おお、イブ・マリー!」

 新たな魂の宿ったアダムが、幼馴染のイブをギュッと抱きしめる場面だった。

 これを俺は、他人事のような目で――実際には『目』とは違う何かで――、眺めることしか出来なかった。

「何よ、急に! あんたが無事だったのは嬉しいけど、だからと言って……」

 口ではそう言いながらも、まんざらでもない表情をするイブ。

 そんな彼女を、複雑な心境で見届けながら。

 俺は考える。考えることしか出来ないから、ひたすら考える。


 まだ普通に生きていた頃。

 居眠りのような浅い睡眠中、意識だけは先に目覚めているのに、体が動かせないことがあった。

 いくら体を動かしたくても、動かせない。時には、幽霊のような不可思議な存在に押さえつけられているのではないか、とさえ思うくらいで……。

 あれに似ているのだ、今の状況は。

 永遠に続く、この、もどかしい感覚。

 何と言うんだっけ? 確か……。




(「人は死んだらどこへ行く ――永遠の金縛り――」完)

   

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人は死んだらどこへ行く ――永遠の金縛り―― 烏川 ハル @haru_karasugawa

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