わたしの夏

あの夏はどこへ行ってしまったのかな


乾いた土と草いきれ

空が高くて入道雲は歩けそうで

砂埃に海の匂いが混じる


半袖ワンピースは木綿で青い小花模様

サンダルと水着の跡が白く残っている

手首には腕時計


麦わら帽子は

すぐ風に持っていかれそうになるから

片手で押さえながら


バスが追い越していく

それを見送りながら

ゆっくりと歩く


気だるい午後

駄菓子屋前のベンチでひと休みする

冷たいラムネの炭酸が喉を滑っていく


コロコロ

ビー玉の音

飲み終わった瓶を覗いて見たり


あの夏はもう遥か彼方


もう海も遠くなった

あのひともいなくなった

もう海には辿り着けない


わたしの夏は行方不明のまま

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