世界とわたしと薄い膜と

世界とわたしの間には

いつも薄い膜のようなものがあった


見ているのに観えていないもの

聞いているのに聴こえないもの

触っているのに実感できないこと


水の中の世界みたいで

時々、息継ぎに水面から顔を出した時だけ

世界の輪郭がはっきり見えた


それでもはっきり鮮明すぎる世界に

わたしは追いつけない


世界の中に剥き出しのままでいるには

わたしの弱った心は、もう持たない


世界とわたしと薄い膜と


それでも世界にしがみつくわたしは

薄い膜にくるまって世界を見続ける


ゆるりとした輪郭に

そっと手をのばして優しく撫でながら

此処にいるよ

ささや

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