第12話 両想い

 まさか、そんな…。レイの好きな人が俺だって…。色々な事実が発覚して混乱している。


「まって、まって!俺のことからかってない?」


「私は本気なんです!」


 そういうとレイはふくれっ面になった。


「だって、娘が言ってたレイの好きな人の特徴とは程遠いぞ?高身長でやせ型なのは自覚してるけど、イケメンはあり得ない。」


「何言ってるんですか!」


 レイは怒ったように俺に詰め寄ってきた。


「雪人さんは38歳に見えなくて、若々しくてかっこいいんですよ!雪人さんを彼氏にしたら、みんなに自慢したくなるくらいイケメンなんです!」


 レイが興奮して詰め寄ってくるので、俺は壁際に追い詰められた。


「お、おちついて」


「しかも、好きになった理由は他にもあるんです。初めて会った日、雪人さんものすごく泣いていましたよね?あれで、この人を守りたいって思ってから、雪人さんのこと忘れられなくなっちゃったんです」


 そんなこと思われてたのかと急に恥ずかしくなり、顏が熱くなるのがわかった。


「そして、何回も会ううちに好きって気持ちが大きくなって…。自分でもこの気持ちが止められないんです。それなのに雪人さんは奥さんのこと好きだっていうからショック受けて、じゃ友達でいいからそばにいたいと思ったら、お別れするとか言って。しかもそのあと、私のこと好きとかいうし、それで混乱しているんですよ。私のこと振り回さないでください。」


「ごめん、俺も混乱してる」


 今更、レイが俺のこと好きなんだって実感がわいてきた。


「私のこと好きって言ったのは、友達としてなんですか?それともまさか…」


「そのまさかだよ。俺女の子としてレイのこと好きだったみたいなんだ。」


 レイは俺を見上げて、泣きながら嬉しそうに笑った。その表情が可愛すぎて、思わず頭を撫でたら、レイは俺に抱き着いてきた。


「私、雪人さんのこと好きなんです!私だけ見てなんて言いません。奥さんの次でもいいから私のことたくさん好きになってください。雪人さんの一途なところも好きだけど、二番目でもいいから雪人さんに愛されたいんです!」


 レイは泣きながら俺に縋りつくようにそう言った。レイの必死な愛がものすごく伝わってきて苦しかった。俺は妻を愛しているけど、レイの元から離れたくない。どうしたらいいかわからない。


 しばらくして、俺はレイを優しく抱きしめた。


「レイ、おちついて。俺まだ混乱しているし、妻やレイのことはゆっくり考えてもいいかな?俺なりにちゃんと答えを出したいんだ。」


 レイはコクッとうなずいた。


「ありがとう」


 可愛くて頭をなでると、レイは俺をじっと見つめてきた。


「雪人さんキスして」


「わかった。でも、キスは答えが出るまでこれっきりにしてくれ。」


 レイはうなずくと近づいてきた。レイの甘い匂いが強くなって唇に柔らかいものが触れた。ゆっくりレイの舌が入ってきて俺の舌と絡み合った。レイとのキスはものすごく甘かった。もっと味わいたくなって、何度も何度も唇を重ね、激しくレイの舌を求めた。


 今までの人生で一番幸せな瞬間だった。

 


 

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二度目の恋愛 ぬたこ @nutako

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