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 次の日から僕は、クラスの子に勇気を振り絞って話しかけるようになった。たくさん喋るようになると、あっという間に友達が増えた。友達が増えると学校に行くのが楽しくて、僕は学校が終わったあとも校庭で友達とよく遊んだ。いろいろなことを話した。

 時夫さんはその頃から、僕が学校に行っている間も仕事をしているようだったけど、僕が「ただいま」と言って家に帰ると大抵は家にいて、「おかえりー」と出迎えてくれた。

 僕は、その日あったことを全部、時夫さんに報告した。秀さんと笑美さんがいるときは、三人の前で話した。三人は、たくさん笑って話を聞いてくれて、僕は嬉しかった。

 友達ができると、今まで聞いたこともなかったような言葉が、たくさん僕の耳に入ってきた。

 あるとき、クラスの女の子が僕に言ったんだ。

「あたしね、この間、お父さんとお母さんと、動物園へいったのよ」

 女の子は得意げだったけど、僕がきょとんとしていたから不満そうになった。

「お父さんと、お母さんってなに?」

 僕が聞き返すと、女の子は不思議そうに僕を見た。

「お父さんと、お母さんだよ? もしかして直人くんは、パパ、ママって呼んでるの?」

「ぱぱ? まま?」

 僕は首を傾げる。それがなにを意味するのか、わからなかった。

「直人くんを産んで、一緒に住んでる人だよ? なんでわからないの? お父さんとお母さん、なにしてる人なの?」

 女の子はとても不思議そうだったけど、僕は目の前にいる女の子が言っていることのほうが不思議だった。

 一緒に住んでいるのは時夫さんだけど、時夫さんは僕のお父さんとお母さんなのかな?

 帰って聞いてみることにした。



 その日、僕は、僕の身の上を知ることになる。

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光を追って 冬原桜 @fuyuharasakura

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