あのね。

手紙

　あのね、

　トゲトゲの林の奥

　湖の西に生えてる

　マネマネの花が咲くとき、

　そっと耳を傾けてほしいな。

　君の字で、そう書かれた手紙が届いてた。

マネマネの花は、日の出と共に花開くから、朝の暗い内に行かないと！

　あちこちにマネマネの花があったけれど、蕾（つぼみ）は１つだけだから、多分これだと見当をつけて、そっと耳を澄まして待っていた。

　薄いピンクの花開く瞬間、鈴のなるような君の声で、「声」が聞こえたよ。

　「好きです」って。

　僕もずっとその一言を言いたかったんだ！

　　　　　　　　　おしまい