第十三話 ミッドウェー島攻撃

 攻撃隊の発艦と刻を同じくして、索敵機が発進した。赤城からは

   操縦  鈴木重男飛曹長

   偵察  西森 暹飛曹長

   電信  堀井孝行一飛曹

 が発進。加賀より一機発進。利根より零式水偵二機。筑摩より零式水偵二機発進。榛名より九五式水偵一機が発進した。

 索敵線の担任は、南方より赤城、加賀、利根一号機、利根四号機、筑摩一号機、筑摩四号機、榛名機とし、一番敵機動部隊と遭遇の可能性がある区域は利根一号機、二号機、筑摩一号機であった。実際、利根四号機の射出が予定より三〇分遅れて〇二〇〇になってしまった。なぜ遅れたかについては、的確な原因はわからない。カタパルトの故障不具合であったというが、この時点では、のちに関わるような重要な事柄ではなかったという記憶でしかない。筑摩四号機の福岡飛曹長の回想によれば、索敵線上は晴れで雲量三、運高千、視界三十浬であったが、進出距離二八〇浬地点で天候悪化、視界不良につき測定に入って復路にて帰投したとしている。


 攻撃隊はミッドウェーに向かったが、途中飛龍隊の艦攻一機が発動機不調で引き返したが、どの機であったはは不明である。

 〇三一五、友永大尉はミッドウェー島を発見確認し、〇三一七「突撃準備ツクレ」を下令した。米軍の飛行艇は日本の攻撃隊を視認したため追跡し、吊光弾を投下してその位置を知らせた。


 空母「蒼龍」の艦攻隊の森拾三一飛曹の手記があり、この時の出撃攻撃の模様が綴られている。


『急いで飛行機に乗りこむと、私はバンドをかたくしめた。まもなく夜も明けることであろう。偵察員、電信員は、伝声管でおたがいの出撃準備態勢を確かめあった。発艦指揮官に、「準備よし」の合図を送る。掩護隊の零戦を先頭に、勇壮な発艦がはじまった。暁闇をついて飛びたった飛行機の放つ音が、朝の静寂を破って洋上にこだまする。各母艦からも、つぎつぎと飛行機が飛びたっていくのが見えた。

 いよいよ私の番だ。「発艦ー」。発艦指揮官の打ち振る白旗が目の中にしみこみ、しばらくは眼底に残っているのを感じる。エンジンを全速にする。艦橋のわきを通過するとき、柳本艦長が大きく帽子を振らえる姿を、ちょっと横目で見ながら、

(艦長、いってまいります)

 と心の中であいさつをした。だが、運命とはおそろしいものだ。艦長の姿を見るのはこれが最後になろうとは・・・。

 私たち飛行機乗りは、国のためにいさぎよく大空に散っていくことを、ふかく心の中にきざみこんでいる。各艦から飛びたった飛行機は、旗艦「赤城」上空一千メートルのところに勢ぞろいしてから、進路を南にとって進んだ。私たちが発艦すると同時に、七機の偵察機が機動部隊を中心に、七方面に向かって発進した。

 夜は完全にあけた。中隊長機にならって編隊灯も消された。今回から二小隊の一番機を受け持った私は、うしろに二番機、三番機をしたがえて勇躍進撃する。

 やがて左手のほうから燃えるような日輪が、水平線上に昇ってくるのが見えた。荘厳、雄大なる東太平洋の朝ぼらけである。進撃高度四千メートル、前方には艦爆隊三十六機、その後方にわが艦攻隊三十六機がひかえており、その周囲を零戦隊が、さながらわが子の手をひいて危険からまもる親のように、前後左右からまもってくれている。まったくたのもしいかぎりである。

 左右の艦攻隊も、編隊の高度差をつけているので、巨大な爆弾を腹の下にかかえこんでいるのが、よく見えてたのもしい。だが、いつものことだが、なんの変哲もない編隊飛行にはあきあきするばかりである。果てしなくつづく東太平洋の大海原、下界を見下ろしても船一隻、目にははいらない・・・。たえず命を飛行機にあずけて行動する私たちは、必然的に神経が過敏になっている。

 ひさしぶりで、きょうは勇ましい大空の激戦になるような予感がして胸がさわぐ。だが、いつものように、自分だけは死とは関係ないのだと信じきっている。それも妙なものである。

 そのまま編隊は快翔をつづける。エンジンは至極好調だ。およそ五十分くらい飛んだとき、めざすミッドウェー島が前方に姿をあらわした。』

            (森拾三著「奇蹟の雷撃隊」光人社、昭和四十八年)


 ミッドウェー島のレーダーは五時五十三分に日本軍機らしき大群を発見した。北西方九三浬の位置にあった。空襲警報が鳴り響き、六時過ぎには離陸可能な戦闘機は迎撃のために舞い上がった。戦闘に役立たない爆撃機と飛行艇は、空中に退避するよう指示された。

日本軍機を迎え撃つ米軍戦闘機はバッファロー二十機、ワイルドキャット六機であった。一万二千フィートを飛行していた彼らは日本機を発見するや上昇して優位な体勢をとり、爆撃隊に攻撃を指向した。先頭を行く友永大尉機が被弾して燃料を引いておりヒヤリとさせた。が、第三小隊の鳥羽一飛曹機と宮内二飛曹機が被弾発火し、火焔に包まれながら散華してしまった。

 鳥羽一飛曹機を撃墜したのはキャンフィールド中尉機であり、宮内機を撃墜したのはカレー大尉機であった。二機とも零戦との空戦で被弾したがかろうじて不時着した。


 友永大尉機の偵察席にあった橋本大尉は次のように手記に記している。

『やがてミッドウェーを三〇カイリの前方、断雲の下に発見した直後、待ちかまえていたグラマン戦闘機約三〇機が、友永隊の上空一五〇〇メートルからまっさかさまにつっこんできた。この第一撃をかわすことができず、友永隊の二機が火をふき、つづいて友永機の右燃料タンクにも弾が命中して、燃料がしぶきのようにふきだした。

 友永隊長は、

「飛行士!やられたタンクは、右か左か?」

 とどなった。

 被弾部は翼のつけ根付近で、左右どちらのタンクか判定にしばらく時間がかかったが、どうやら右タンクとわかった。

 すると隊長は、燃料コックを切り換えて被弾したタンクがカラになるまで右タンクの燃料を使い、右タンクがカラになってはじめて左タンクに切り換えた。

 このわずかの間にも、彼我の激烈な空戦がつづいたが、零戦の奮戦によって敵グラマンはつぎつぎと撃墜され、約一五分後には空中に敵機を一機も認めなくなった。』

   (「証言・ミッドウェー海戦」潮書房光人新社 二〇二二年)


 再び、森拾三氏の手記。


『突如、先頭の艦爆一機が火を吹いて墜ちていった。はやばやと敵戦闘機の邀撃である。後方を警戒していた零戦六機が、まっしぐらに前方に飛んでいった。

(ちくしょう!どこで待っていやがったのかな!)

 島の上空までまだ十分はかかりそうだ。戦闘機対戦闘機の空中戦を横目で見ながら、私たちはまっしぐらに、ミッドウェー島めざして突撃する。

 細田兵曹は、七・七ミリの機銃にしがみついて、敵戦闘機の来襲を待ち受けている。

「きたぞ!グラマン一機だぞ!」

 右前上方からの襲撃である。

 ダダダ・・・グラマンが持っている六門の機銃が、いっせいに火を吐いた。翼の前縁が燃えているようだ。グラマン相手に、図体の大きい、動作の緩慢な艦攻隊では、まともに太刀打ちできるはずがない。編隊の間隔をつめて、各機の機銃を集中して敵機を迎え撃つだけだ。

 あとは零戦の来援を待つばかりだが、どうしたことか一機も姿をあらわさない。爆撃も終わらないのに、ここで墜とされたんでは、死んでも死にきれない。

 ガアッとグラマンの機影が、大きくわが編隊の前に写し出された。

(駄目か!ついにやられるかな!)

 艦攻には前方に機銃がないのを、敵機も知りつくしているのか、前方からばかり襲ってくる。敵戦闘機は、われわれが墜ちないと見るや、こんどは編隊の下をすれすれにくぐって、すぐ左前方に出てふたたび襲いかかってきた。まったく敵ながらあっぱれな腕前である。

(こんどはやらえるかな!)

 そう思った瞬間、黒いものが頭上を弾丸のようにつっ走った。

(あっ、味方の零戦だ!ありがたい。やってくれ、たのんだぞ!)

 私たちがかたずを飲んで見まもるうちに、わが零戦は敵機の後尾にたくみに食いついた。

(しめた!そこで一撃だ!それゆけ!)

 あっと思うまに、敵機は機首をがっくりさげ、錐もみの状態になって墜ちていった。

(ああ、よかった。零戦よ、ほんとうにありがとう。あと三分もしたら、私たちもこの爆弾が落とせるんだ。もうひとふんばりだ)

 と思ったのもつかの間、右前上方からまたもグラマンが一機、急降下の態勢で襲いかかってきたではないか。

 ぐわーん、ダダダ・・・

「なにくそっ!」

 そう叫びながらも、私はどうすることもできず、ただひたすら緊密な編隊飛行に専念しなければならなかった。いまの私にとって、それが唯一の任務なのだ。けっして恐ろしいとか命が惜しいとか、思っているわけではないのだが、やはり敵グラマンの姿を見るとあまりいい気はしない。

 零戦の活躍は目ざましい。グラマンはと見ると、すでに錐もみだ。煙をはいて墜ちていく。火だるまになって墜ちていくのだ。わが零戦の腕の冴である。

 三番機が敵弾をうけたらしく、ちょっと、左に傾いたが、すぐたちなおってそのまま編隊についてきた。

「大丈夫か?がんばれ」

 すでにグラマン二機を撃墜したわが零戦は、勇敢にもさらに第三の獲物をもとめて、反転上昇した。』

                        (前掲書)


 「赤城」の戦闘機隊の木村惟雄一飛曹の手記。


 『制空隊は上空援護のため、艦攻、艦爆の上空四千五百メートルを戦闘隊形で蛇行しながら進む。天候は良好である。左右を振り向くと、二番機川田要三三飛曹、三番機石田一飛もにっこりうなずく。

 けんめいに見張りをするが、何も見えない。ときおり下方の艦攻、艦爆の連中が手を振ってくれる。

「戦闘機、頼むぜ」

 と言っているようだ。ますます目を皿のようにして前方を見つめる。

 ミッドウェー島がはるか前方に見えてきた。南洋群島の珊瑚礁と同様な美しい真珠色の小島であった。時刻は午前三時三十分であった。

 突然、前方の戦闘機隊の動きが変わった。振り向くと、味方の最後尾の九七艦攻が、火の玉となって落ちて行くではないか、われわれを待ち構えていた敵戦闘機約十機が、右後方に食いついたのだ。

 列機に知らせ反撃に移る、敵戦闘機は急降下で逃げる。さきほど艦攻を攻撃した敵戦闘機F4Fを捕捉し、二十ミリを浴びせると、あっけなく煙を出して落ちて行った。』

 

 米軍側は、グラマン二機とバッファロー十三機を喪失し、パイロットも失った。それ以外にも、九機はズタズタに被弾し、不時着するか、帰還したものの二度と飛べないほどの損害を受けていた。飛行可能な機体は二機にすぎなかった。


 米軍機とパイロットの喪失は次の通りである。

 F4Fー3(グラマン)

   大尉   Mccarthy Fransis

   少尉   Swannberger Walter

 F2Aー3(バッファロー)

   少佐   Parks Floyd

   大尉   Alvord Johe

   大尉   Hennessy Daniel

   大尉   Curtin Robert

   少尉   Butler John

   少尉   Lucas John

   少尉   Benson Thomas

   少尉    Lindsay Ellwood

   少尉   Madole Eugene

   少尉   Princeton David

   少尉 Sandoval Walter

   少尉   Mahannah Martin

   少尉   Lindsay Ellwood


 爆撃隊はその後戦闘機の妨害を受けることなく、ミッドウェーの北側を回り、サンド島およびイースタン島への爆撃針路に入った。〇六三一時、ミッドウェーの高角砲陣地は猛烈な対空砲火を浴びせ始めた。爆撃針路に入った艦攻隊に有効な射撃を浴びせ、一機(菊池隊の第二小隊龍飛曹長機)が爆撃前に火を吹き始め、編隊を維持続けようとしたが、火達磨となり墜落していった。まず、艦攻隊がサンド島およびイースタン島の滑走路や格納庫、高角砲陣地に八百キロ爆弾を投下して破壊していった。続いて、急降下爆撃隊が、残った陸上施設や陣地に爆弾の雨を降らせた。この空襲における米軍の戦死者は十一名、負傷者十八名であったが、地上施設は大きな被害を受け、重油タンクが炎上し、航空機への燃料補給施設も破壊された。


 再び、森拾三氏の手記。

『ようやく爆撃進路に突入した。地上からは、いやに派手に機銃や高角砲を撃ちあげてくる。だが、いずれも見当ちがいのほうで炸裂している。

(そんなへらへら弾に当たるものか!)

 島の中央部に、東西にはしっている滑走路が一本見える。滑走路の右側、つまり島の北方には、格納庫が三棟建っている。左側には、松林らしく、青々とした繁みがある。高角砲の陣地があるらしく、木の間から盛んに閃光がきらめくのが見える。

 私たち第三攻撃隊の六機は、島の東方から爆撃進路にはいった。高度四千メートル。急降下爆撃隊が盛んに格納庫めがけて二百五十キロ爆弾を投下し、大火災を起こさせている。分隊長機の電信員太田五郎一空曹が、大きく右手を上げた。いよいよ爆撃進路にはいったのだ。爆弾投下まであとわずか十秒くらいの時間なのだが、とてもそれが長く感じる。

「用意!」

 一番機の合図とともに、各機から爆弾が放たれた。身軽になったので、エンジンは、急に軽快なリズムを刻みはじめた。効果はいかに?と下を見つめる。一発、二発、爆弾は、一定の間隔をおいて、的確に滑走路上に命中して炸裂していく。

(あっ、五発目は松林の中だ!)

 六発めも、七発目も・・・。突如、森の中で大火災が起こった。すると、いままで景気よよく撃ちあげていた高角砲も機銃も。ぴたりと鳴りをひそめてしまった。

(なるほど、そうか。まぐれ当たりの大成功というやつだな)

 高角砲陣地に命中したらしいのだ。爆弾庫らしいものが火の玉となって飛び散った。任務を果たしたという開放感もあって。上空からの見物はなかなかよきながめである。やがて、西方に大きく旋回して、私は味方攻撃隊と合同して、悠々と帰途についた。』

                       (森拾三著、前掲書)


 飛龍の艦攻隊の戦果は、第一中隊がサンド島北東端付近の燃料タンクに命中火災発生、第二中隊が同島東側の高角砲陣地の一部破壊、第三中隊は同島飛行艇エプロンに命中。

 蒼龍の艦攻隊の戦果は、第一中隊がサンド島西岸高角砲陣地を制圧、第二中隊はイースタン島滑走路を爆撃全弾命中、ダイ三中隊もイースタン島滑走路を爆撃、格納庫一棟炎上。

 赤城の艦爆隊は、イースタン島の陸上施設を爆撃し、三箇所に火災を発生させた。

 加賀の艦爆隊はサンド島の飛行艇基地を爆撃し、格納庫を大破火災、兵舎などを大破火災、重油タンク炎上の戦果を報告した。

 攻撃隊の被害は、赤城は零戦一機(岩間一飛曹)、加賀は艦爆一機(渡邊一飛、木村三飛曹)、零戦一機(井藤一飛曹)、さらに零戦の田中一飛曹は負傷しており、着艦後死亡。飛龍は艦攻三機(於久二飛曹、鳥羽一飛曹、森田一飛曹)(宮内二飛曹、山田二飛曹、宮川二飛曹)(阪本一飛曹、龍飛曹長、二宮二飛曹)が撃墜され、菊池大尉機(湯本飛曹長、楢崎一飛曹)が被弾のため、海上に不時着したが、その後の混乱により救助されることはなかった。蒼龍は、艦攻一機(茅原三飛曹、田中一飛曹、小川二飛曹)が撃墜された。

 他に、飛龍の艦攻一機と蒼龍の艦攻二機が帰投したが、被弾のため付近に不時着して、搭乗員は全員救助された。


 友永大尉は空襲後判定を行い、対空砲火陣地の制圧が不十分でり、滑走路の破壊も十分でないと判断した。〇七〇〇時、大尉は司令部あてに「カワカワカワ 〇四〇〇」の電文を発した。これは

「攻撃の効果不十分、第二次攻撃の要あり」

を意味するものであったが、これがその後の混乱を招く一つ目の要因となった。


 各空母では敵機動部隊出現に備えて、第一次攻撃隊発艦後、赤城、加賀では、艦攻隊は魚雷装備で準備をしていた。蒼龍、飛龍では、艦爆隊が艦船用爆弾装備で準備をしていた。

 この報告に南雲司令部は判断に迷った。ミッドウェー攻撃隊と同時に発進した偵察機からはまだ何の報告もなかった。索敵機もほぼ先端に達し、側線から反転に移る頃であり、敵艦隊がいるものなら発見してもいい頃である。

 淵田中佐は村田少佐に声をかけた。

「オイ、友永のやつは、ずいぶん中国で基地攻撃をやってきたくせに、なぜあの手を使わなかったんだろうかね?」

 淵田中佐のいうあの手とは、敵基地航空兵力制圧の場合、敵があらかじめ察知して、飛行機を空中避難させて、地上には皆無なことは常套手段である。ゆえに、一旦爆弾の一部を投下して帰投するとみせかける。敵も給油のために着陸しなければならない。そこで、三十分ほど往復行動する形で再び飛行場を襲撃すれば、敵航空機を地上で粉砕することができる。今回、ミッドウェーから余裕の距離で発進したからこそ、この作戦もとれたはずだと淵田は考えていた。

 村田少佐は友永大尉のことを弁護するような口ぶりで言った。

「やっこサン、しばらく内地でアカを落としていたもんだから、素直になったんでしょう。しかしこんど、第二次攻撃隊も、ミッドウェー基地の攻撃に向けるんだそうですから、私がうまくやってきます。安心してください。バッサリと一網かけてやりますから」

 淵田中佐はエッという表情をして訊ねた。

「第二次攻撃隊をミッドウェー基地に向けるって、もう命令が出たのか?」

「イヤ、いま司令部で話し合っているのを艦橋で聞いていましたから」

「だって、またインド洋作戦のときみたいに、出たあとで、偵察機から〝敵艦見ゆ〟と来るかも知れんぜ」

「しかし、偵察機は、もう全部、とうに索敵線の前端まで行き着いた時刻なのに、報告がありませんから、攻撃圏内には敵艦

隊はおらんと判断されていますよ」

「そうか、しかし魚雷を抱いているんじゃないですか?基地攻撃はちょっと困るね」

「ええ、それでいまから、陸用爆弾に積みかえろって命令が出るんですよ」

「いやあ、それは大変な騒ぎだ。それにもうそろそろ敵の陸上機が来るころだぜ」


〇四一五 司令部は攻撃隊の装備変更を命じた。

「第二次攻撃隊本日実施 待機攻撃機爆装ニ換ヘ」

 赤城、加賀の飛行甲板は慌ただしくなった。出発準備を整えていた艦攻は、エレベーターで格納庫へと降ろされていく。搭乗員と整備員も総出で作業にあたり始めた。

 そんな折である。敵機の襲来が始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る