第二話 海軍作戦計画

 比島作戦はマレー作戦と同様、陸海軍の協力なしには成立しない作戦である。

 十一月十四日から十六日にかけて、岩国航空隊において作戦協定が開催され、山本連合艦隊司令長官、寺内南方軍総司令官以下、比島作戦関係の陸海軍部隊の指揮官、幕僚らが集まった。大要は東京協定で決定を見ていたので、ここでは細事での作戦に関する協定が論議され決定された。


 次が十六日に協定された陸海軍の協定内容である。

 海軍の高橋伊望いぼう中将は、海兵三十六期、同期には南雲忠一中将がいる。砲術学校を修了し、戦艦石見の砲術長、海軍大学校を卒業後、英国駐在を経て、戦艦霧島艦長、軍令部第二部長、連合艦隊参謀長を歴任し、昭和十六年四月第三艦隊司令長官となった。


  第十四軍・海軍 間協定

       第十四軍司令官 本間雅晴

       海軍菲島部隊指揮官 高橋伊望

一、第十四軍司令官、海軍菲島部隊指揮官の協定要綱別表の通り

二、上陸点の偵察

 ㋑X日以前の艦艇及第三艦隊飛行機に依る偵察は之を行わず

 ㋺X日以後航空作戦の状況に依り企図暴露せざる範囲内に於て上陸点の偵察を行う場合は両軍指揮官の所信に依る

 ㋩直前偵察は護衛指揮官上陸部隊指揮官間の協定に依る

三、牽制陽動

 航路の選定に当り要すれば之を加味す

 但し局地的牽制陽動は護衛指揮官上陸部隊指揮官間の協定に依る

四、リンガエン湾に於ける泊地進入の要領

 碇泊隊形は第一護衛隊指揮官第四十八師団長間の協定に依る

五、上陸点及上陸根拠地の防備施設

 ㋑「リンガエン」「ラモン」「ダバオ」は海軍に於て所要の防備を設営す

  爾余の上陸地点に於ては護衛艦艇を以て主として対戦移動警戒に任ずる

 ㋺海軍にて防備施設せる場合の海陸軍間の任務分担は海正面は海軍、陸正面は

  陸軍とし細部は当該指揮官間の協定に依る

 ㋩海面防備の要領は当該海軍指揮官より機を失せず陸軍指揮官に通報す

  陸軍指揮官は之を陸軍輸送船等に徹底せしむるものとす

 ㋥陸軍主力の上陸根拠地は初期「サンフェルナンド」に設定し情況之を許せば

  「ダクパン」に推進す

六、上陸後に於ける陸海軍の協同

 ㋑「ルソン」北部地区に於ける陸軍部隊を主力上陸後「リンガエン」方面に転

  進せしむる場合の護衛は現地海軍指揮官と軍司令官の協定に依る

 ㋺情況に依り主力上陸後陸軍の一部を「イバ」付近に転進せしむる場合も右に

  同じ

七、上陸終了後に於ける輸送船の行動

 ㋑揚陸を完了せる輸送船は成るべく速に皈還するものとす

 ㋺輸送船の航路及行動は状況に依り海軍指揮官之を指定することあり

㋩皈還輸送船は間接護衛に依るを本則とす

 但し重要なる輸送船皈還の際は護衛指揮官は成し得れば一部の兵力を以て直接

 護衛を行う

八、諜報及情報交換

 所要の諜報及情報は両軍に於て所得し速に之を交換するものとす

九、機密保持

 陸軍主力上陸前に於て先遣部隊・飛行機・陸戦隊等敵地に作戦する部隊には主

 力の行動を記載し又は右行動を判断し得るが如き書類其の他一切のものを携行

 せぬざるものとす

一〇、自衛兵器の使用

 輸送船船団航行中の対空射撃は護衛艦射撃開始後輸送指揮官の所信に依り之

 を行う、其の他の兵器使用は護衛指揮官の定むる所に依る

一一、占領せる施設物件の利用

 敵海軍の諸施設物件は海軍 敵陸軍の諸施設及物件は陸軍之を利用し其の他の

 ものは両軍指揮官協定するものとす

一二、航空部隊の使用   別冊の通

一三、通信関係      別冊の通

別表

 上陸点

  上陸地点 「アパリ

   田中支隊 陸軍大佐 田中 秀  

        輸送船六隻  集合点 馬公

  上陸地点 「ビガン」 

   菅野支隊 陸軍少佐 菅野善吉

        輸送船六隻  集合点 馬公

  上陸地点 「バタン」   

   第二十四飛行場大隊

        輸送船一隻  集合点 高雄 

  上陸地点 「レガスピー」 

   木村支隊 陸軍少将 木村直樹

        輸送船四隻  集合点 パラオ

  上陸地点 「ダバオ」

   三浦支隊 陸軍中佐 三浦俊雄

        輸送船四隻  集合点 パラオ

  上陸地点  「リンガエン湾」

   第四十八師団、軍司令部、軍直轄部隊

        輸送船二十四隻 集合点 高雄

        輸送船十七隻  集合点 馬公

        輸送船二十七隻 集合点 基隆

  上陸地点  「ラモン」湾

  第十六師団主力

        輸送船二十六隻、 集合点 奄美大島


 ◉第三艦隊、第十一航空艦隊、第十四軍、第五飛行師団間

      航空作戦に関する協定

 昭和十六年十一月十六日

   第三艦隊司令長官     高橋伊望

   第十一航空艦隊司令長官  塚原二四三

   第十四軍司令官      本間雅晴

   第五飛行集団長      小畑英良

第一  使用兵力

 一、海軍

  ㋑第十一航空艦隊

    司令長官  海軍中将 塚原二四三

    第十一航空艦隊司令部

    第二十一航空戦隊司令部

     鹿屋海軍航空隊(一式陸攻五十四機)

     第一航空隊  (九六式陸攻三十六機)

            (航空輸送部隊)

     東港海軍航空隊(飛行艇十八機)

    第二十三航空戦隊司令部

     高雄海軍航空隊(一式陸攻五十四機)

     台南海軍航空隊(零式艦戦四十五機、陸偵六機、

             九六式艦戦十二機)

     第三航空隊  (零式艦戦四十五機、陸偵六機、

             九六式艦戦十二機)

  ㋺第三艦隊

    司令長官  海軍中将 高橋伊望

    第四航空戦隊司令部

     軍艦 龍驤 (九六式艦戦十二機、艦攻十二機)

    第十一航空戦隊司令部

     軍艦 千歳 (二座水偵十二機、三座水偵三機)

     軍艦 瑞穂 (二座水偵十二機、三座水偵三機)

    第十二航空戦隊山陽丸

           (二座水偵六機、三座水偵二機)

    第二根拠地隊讃岐丸 (水偵六機)

 二、陸軍

    長第五飛行集団長 陸軍中将 小畑英良

    第五飛行集団司令部

     独立飛行第七十六中隊

        (九七式司偵機九機、一〇〇式司偵機二機)

    第四飛行集団長  陸軍少将 河原寿明

     飛行第八戦隊 (九七式司偵機九機、

             一〇〇式司偵機二機、

         九九式双発軽爆機十八機)

    飛行第十四戦隊 (九七式重爆撃機十八機)

    飛行第十六戦隊 (九七式軽爆二十七機)

    飛行第五十戦隊 (九七式戦闘機三十六機)

    第十独立飛行隊

     独立飛行第五十二中隊 (九九式軍偵機九機)

     独立飛行第七十四中隊 (九八式直協機十機)

第二 作戦要領

 一、展開竝に展開間に於ける戦闘

  ㋑台湾に於ける海陸軍航空部隊の展開配置付表第一の如し

  ㋺敵の先制空襲を受けたる場合は海陸軍航空部隊各々其の所在地に於て直ち

   に之を邀撃すると共に特に神速に相互に情報を交換するものとす

  ㋩此の際敵国に対し進攻する場合は概ね第一撃の部署に依り之を実施するも

   のとし攻撃時刻を相互に通報す

 二、航空撃滅戦

  ㋑航空撃滅戦は概ねX+九日頃迄に其の成果を獲得するに努む

   第一撃に於ける攻撃要領はX日発令後協議決定す

  ㋺作戦初期に於ける占領航空基地の使用区分左の如し

   「アパリ」  第二十三航空戦隊戦闘機隊

          及陸偵隊の各約半数

                  飛行第八戦隊

                  飛行第十四戦隊

                  独立飛行第七十六中隊

    「ラオアグ」 作戦初頭「アパリ」を使用

           し得ざる場合戦闘機隊の

           一部を進駐する事あり

                 飛行第五十戦隊の一中隊

                 飛行第十六戦隊

                 独立飛行第五十二中隊

    「ビガン」        飛行第五十戦隊(残部)

                 独立飛行第七十四中隊

    「ダバオ」        鹿屋航空隊

                 東港航空隊

                 戦闘機隊及陸偵隊の

                 各約半数

    「レガスピー」 戦闘機隊及陸偵隊

            の各約半数

    「ホロ」    陸上攻撃機隊約一ヶ航空

            隊、戦闘機隊及陸偵隊

            の各一部

    「バタン」   中継(機動)基地として共用

 三、先遣諸隊に対する協力

  ㋑航行間に於ける船団の掩護は左に依り海軍航空部隊之を実施す

  丙支隊 第一航空隊陸上攻撃隊の一部

      第二十三航空戦隊戦闘機隊の一部

      讃岐丸水上偵察機隊

  丁支隊 第四航空戦隊龍驤艦上戦闘機隊及艦上攻撃隊

      瑞穂水上偵察機隊

  戌支隊 第十一航空戦隊千歳水上偵察機隊

 但し丙支隊台湾沿岸より二百浬以内の海面を航行する場合に於ける敵航空機に

 対する掩護は陸軍飛行第五十戦隊之を担任す

  ㋺泊地の掩護は左に依り海軍航空部隊之を実施す

   「アパリ」

   「ラオアグ」  第二十三航空戦隊戦闘機約九機

   「ビガン」

   「ダバオ」   第十一航空戦隊千歳水上偵察機隊

   「レガスピー」 瑞穂水上偵察機隊

   但し「バタン」島を使用し得るに至るが又は陸軍戦闘機隊北部呂宋に進出

   するに至らば「アパリ」「ラオアグ」及「ビガン」の上空掩護は主として

   陸軍之に任ず

  ㋩上陸竝に上陸直後の作戦に対しては左の如く協力す

   海軍協力

   「アパリ」    第一航空戦隊陸上攻撃機の一部

   「ラオアグ」  第二十三航空戦隊戦闘機隊の一部

   「ビガン」   讃岐丸水上偵察機隊

   「ダバオ」   第十一航空戦隊

           千歳水上偵察機隊

   「レガスピー」 瑞穂水上偵察機隊

(筆者註・讃岐丸は日本郵船所有の貨物船で八月徴用されて特設水上機母艦として改装された。山陽丸は大阪商船の貨物船で八月に徴用されて特設水上機母艦として改装された。千歳、瑞穂は海軍の水上機母艦として正式建造された軍艦である)

 四、第十四軍主力に対する協力

  ㋑「リンガエン」湾方面

   ⑴船団航行間の防空は呂宋島沿岸より二百粁以内の海面に在りては主とし

    て陸軍飛行第五十戦隊之に任じ情況に依り海軍戦闘機隊之に協力す

    其の他の海面(台湾沿岸より二百粁以内を除く)に於ける掩護は海軍戦

    闘機隊の一部及山陽丸、讃岐丸水上偵察機之に任ず

   ⑵泊地上空警戒に陸軍飛行第五十戦隊之に任じ情況に依り海軍戦闘機隊の

    一部を以て之に協力す

    泊地に於ける海上警戒は山陽丸及讃岐丸の各水上偵察機隊之に任ず

   ⑶上陸戦闘竝に上陸直後の戦闘に対する協力は第五飛行集団主力を以て之

    に任じ状況に依り海軍第一航空隊の主力及山陽丸讃岐丸の各水上偵察機

    隊を以て之に協力す

  ㋺「ラモン」湾方面

   船団航行間の掩護、泊地掩護、上陸戦闘及上陸直後の戦闘に対する協力は

   主として陸上攻撃機隊及戦闘機隊の各一部竝に第四航空戦隊之に任ず

   陸軍航空部隊は飛行第八、第十四戦隊の各一部を以て上陸後に於ける戦闘

   に協力す

 五、上陸地点の偵察

  北緯十六度線以北は主として陸軍、同以南は主として海軍之に任ず

第三 台湾方面の防空竝に占領航空基地の警戒

 一、台湾方面の防空

  ㋑海陸軍航空部隊は各其の所在地付近上空の防空に任ず

  ㋺泊地掩護の担任左の如し

    馬公  馬公警備府所属飛行隊

    高雄  陸軍飛行第五十戦隊(呂宋島躍進後は台湾防空戦闘之に任ず)

  ㋩台湾軍及馬公警備府に於て配置する防空監視哨の情報を極力利用す

  ㋥恒春の防空は陸軍飛行第五十戦隊の一中隊之に任ず

 二、占領航空基地の警戒は左に依る

    (省略)

第四 通信連絡

 一、陸軍は台湾に於ける海陸軍航空部隊指揮官間の連絡の為有線電信及電話を整備す

   両軍航空部隊指揮官の位置左の如し

   第十一航空艦隊司令長官  高雄海軍航空隊

   第五飛行集団長      屏 東

 二、第五飛行集団長は当初「アパリ」に前進す

   其の場合に於ける両軍航空部隊指揮官間の通信連絡は主として海軍之に任

   ず

 三、飛行機隊対陸軍地上部隊との空地連絡要領は別に定む

 四、飛行機隊通信管制に関し左の通定む

  ㋑海陸軍飛行機隊協同攻撃の場合は通信警戒管制に依るを本則とす

  ㋺海陸軍飛行機隊単独実施の場合亦右に準ず

第五 其の他

 一、味方識別

   味方識別は別冊「軍用機味方識別に関する海陸軍協定」に拠るの外別に定

   むる所に拠る

 二、宿営、給養

   嘉義、「アパリ」又は「ラオアグ」を利用する海軍航空部隊の宿営給養に

   関して陸軍は努めて之を援助するものとす


 海軍の比島に関する部隊命令は残されていない。戦史叢書「比島攻略作戦」には、命令作第一号の作戦計画の要旨が記載されている。

 それによると、

一、友軍の状況

 1 航空作戦

  ⑴ 海軍航空部隊(第十一航空戦隊(第二十三航空戦隊の一部、第二十二航空

   戦隊欠)ー基地 高雄、東港、台南)

   ① 陸攻九、艦戦一二をもって、第一、第二、第三空襲隊上空を護衛する。

   ② X日それぞれ陸攻九、艦戦一八から成る四組をもって、比島周辺の航空

    兵力を索敵攻撃する。

   ③X日陸攻三六、艦戦二七をもって、敵飛行艇をその所在に攻撃する。

   ④X日陸攻一一、艦戦九をもって、アパリからカガヤン河流域を攻撃る。

   ⑤X日陸攻一五、艦戦一五をもって、ラオアグ、ビガン、サンフェルナン

    ド方面の敵を攻撃する。

   ⑥X+三、X+四両日陸攻五四はパラオに進出したのちダバオを空襲する

   ⑦パラオを基地とする飛行艇一八及仏印の陸攻若干をもって、スール海方

    面の索敵を行う。

  ⑵陸軍航空部隊(第五飛行集団長の指揮する偵察三六、戦闘三六、軽爆五

   四、重爆一八、計一四四機)

   X日北部ルソンを先制空襲し、次いでアパリ、ビガン、ラオアグ等に基地

   を推進して航空作戦を行ない、リンガエン湾、ラモン湾上陸作戦に協力

   する。

 2、潜水艦作戦

  ⑴開戦初期の潜水艦配備

    サンベルナルジノ海峡  伊六十四潜

     スリガオ海峡    伊六十二潜

     ホロ付近      伊六十五潜

     マニラ湾口     伊百二十四潜

     バラバック海峡   伊百二十三潜

     サランガニ島方面  伊六十六潜、伊六十二潜

  ⑵第五潜水戦隊旗艦はおおむね第五戦隊の付近を行動する

 (中略)

二、省略

三、作戦方針

 1、省略

 2 比島方面の作戦は次による。

  ⑴台湾基地航空部隊の先制空襲と同時に、まずバタン島、カミギン島、次い

   で、ビガン、アパリ、レガスピーに航空基地を急襲獲得して、すみやかに

   ルソン島北部及び東部に陸海軍航空部隊を推進する。更にパラオに進出す

   る基地航空部隊のミンダナオ島方面空襲に引き続いて、ダバオを急襲して

   航空基地を獲得し、基地航空部隊の進出を待って更にホロ航空基地を急襲

   獲得する。

  ⑵レガスピー急襲とほぼ同時に比島東岸諸水路に、またダバオ、ホロ急襲前

   後好機をつかんでスール諸島方面に攻勢機雷戦を敢行する。

  ⑶開戦初頭の急襲作戦に引き続いて、各急襲点付近及ルソン海峡方面に対

   し、対戦兵力の全力をもって敵潜水艦の徹底的掃蕩撃滅戦を実施する。

  ⑷おおむね友軍の航空作戦の成果を期待できるころ、比島部隊の大部をもっ

   て第十四軍主力をリンガエン湾に、その一部をラモン湾に護衛揚陸する。

  ⑸比島周辺の水上兵力に対しては、南方部隊主隊及び東方支援隊の支援のも

   とに、特に友軍航空部隊の索敵攻撃と緊密な連係を確保し、おおむね所在

   兵力をもってこれを撃破する。特にミンダナオ方面に対しては、精鋭有力

   部隊を配置して敵兵力の捕捉撃滅に努める。

  ⑹ダバオ、ホロに進出する基地航空部隊と協力してミンダナオ方面の残敵を

   掃蕩して、すみやかに同方面に前進根拠地を設営する。

  ⑺陸軍主力揚陸ののち兵力を整頓し、一部をルソン西部に残して当面の警備

   に当たらせ、大部はすみやかにミンダナオ方面に転進して、蘭印攻略準備

   を促進する。

四、兵力部署

 主隊  第三艦隊司令長官

   Xー一日馬公を出撃、第二急襲隊を支援するように行動し、以後ルソン西

   方海面を行動して全作戦を支援する。

  第一急襲隊  第五水戦司令官

   陸軍田中支隊(輸送船六)、慶洋丸を護衛し、X+二日未明これをアパリ

   に揚陸する。天候によりラオアグに揚陸する。

  第二急襲隊  第四水戦司令官

   陸軍菅野支隊(輸送船六)を護衛し、X+二日未明ビガンに揚陸する。

  第三急襲隊  第二根拠地司令官

   陸軍輸送船帝雲丸を護衛し、X日未明バタン島を急襲占領し、航空基地を

   設営し、八糎高角砲四門の砲台を構築する。X+一日カミギン島を占領し

   て水上機基地を設ける。

  第四急襲隊  第一根拠地司令官

   陸軍木村支隊(輸送船四)、海軍輸送船(三隻)を護衛し、X日パラオ出

   撃、X+四日レガスピーを急襲占領する。

  第五急襲隊  第二水戦司令官

   陸軍三浦支隊(輸送船二)、海軍輸送船(七隻)を護衛して、X+二日ご

   ろパラオを出撃し、X+六日ダバオを急襲する。更に所要部隊をもってX

   +一三日ホロを攻略する。

  南比支援隊  第五戦隊司令官

   第四急襲隊のレガスピー攻略、第五急襲隊のダバオ、ホロ攻略、敷設隊の

   攻勢機雷戦を支援し、米アジア艦隊の反撃に備える。

  敷設隊    第十七戦隊司令官

   X+三日からX+六日までの間に、サンベルナルジノ、スリガオ両海峡に

   機雷を敷設する。


 その後、十二月三日、ダバオについては、攻略日をX+六からX+十四に繰り下げる命令の修正を行った。

 開戦の日〝X日〟は、刻々と近づきつつあった。

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