最終話 少女とロード

殺人鬼と悪魔が同空間にいるなんて。

少女は男を殺人鬼だって事を知らないので、助けを求めて走って駆け寄った。

例のごとく男は手刀を天高く振り上げた、シュッ、次の瞬間、

バスッッッ!

ドチャッ…ゴロゴロゴロゴロ……

やはりこうなった、が、落ちたのは少女ではなく悪魔の首だった。

「キョエエ・・・」

漫画みたいな紫の血を流して悪魔は瀕死になった、さすがは悪魔、首だけでも少し生きているらしい、人間よりも少しだけ長く、死にかけだが喋り始めた。

「せ、世界が戻ってしまう・・・平和が・・・平和なんて、悪魔に平和なんて・・・大悪魔様の復活まであと少しだったのに・・・ロードめ・・・」

「うるせえ」ロードが喋った。

え、この男がロードなん?、と少女は思った、ので聞いてみた。

「・・・ロード、さんですか?」

「皆そう言う。だが俺がロードかどうかは俺は知らない。」

「ロードって一体・・・?」

「その名の通り「導く者」だ。」

「そうなんですね・・・」

「俺に「導きたい」なんて気持ちは1mmだって無い。俺はただこの能力で気に入らねえ奴を殺したい、それだけが望みだ。それ以外は本当に、本当に何も無い。」

え、能力って手刀で一撃で殺せる能力の事かしら、そして、ただの極悪人ロードが悪魔を殺して、その事によって極悪人ロードも悪魔もいない平和な世界に戻るって事?、どういうことなんこれ、訳わかりませんわ、と少女は思った、のでそれを伝えようとした、ところで真っ暗になった。


パッと目が覚めるととある夏の1日だった。

お天気キャスターが言っている。

「最高気温36度、猛暑日となる予報です。くれぐれもお気をつけください。」

同調するようにメインキャスターが続く。

「テレビをご覧の皆さま、熱中症お気をつけください。またくれぐれもロードと悪魔にはお気をつけください。」


またくれぐれもロードと悪魔にはお気をつけください。

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ロード よこやま @yokoyama121

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