第2話 親友
「今日、東京からこの島に引っ越してきたっていう家族にあったよ」
姉ちゃんが夜ご飯の時に言った。
「高台のあの大きい家に住むらいよ」
「そうなの。意外と近いわね。ここら辺は家が少ないから遠いご近所さんになるのかしら」
母さんと姉ちゃんがそんな話をする中、俺は旅行に来た子じゃないことに嬉しさを覚えた。
四日後、俺はその高台の家に行くことになった。正確に言うと母さんにおすそ分けを持っていく手伝いとして行ってこいと言われたのだ。
「確かに。坂はきついけど大きな家だし。
あの子はお嬢様だったのかなー」
呼び鈴を鳴らし要件を伝えると中に通された。中庭の見えるリビングは外の暑さとは裏腹にとても居心地が良かった。
あの子の父親と思われる人と話し、ついにあの子の話題がでてきた。
聞けば、一つ年下のようだった。大人びていたため同い年かと思ってしまっていた。
父親は俺とあの子は話が合うと言い出した。
そこまで話すと、タイミングよく柱時計が鳴り、一人の女の子が階段を降りてきた。
俺の姿に驚いていたが、客だと分かるとにっこり笑って挨拶をしてくれた。
彼女の名前は海碧(みあ)。
この島の海のような綺麗な名前だ。
海碧の父親が言ったように性格はアウトドアな俺とインドアな海碧で正反対だが、何故か本が好きだという共通点により話があった。
海碧は俺の知らない本を沢山持っていた。
お互いに読んだことのない本を貸し借りしては次の日に感想を言う。
そんな毎日がしばらく続いた。
俺が島の嫌なところを言えば、海碧は島の好きなところを言った。この時間がたまらなく好きだった。
夏休み終了2週間前におきた最大の幸福だったのは間違いない。
こんな毎日に不思議と飽きなかった。それどころか1日1日が短く感じた。
1週間後にはこの島で唯一楽しい夏祭りがある。この祭りに海碧を誘う事を俺は決めていた。
真夏に2℃の恋 mi-o @mi-o
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