25話 わからない問題

岐阜私立図書館。その分館に来た僕と杏菜あんなは現在頭を悩ませていた。

いや、正確には僕が頭を悩ましていた。


「…なんでこんなに英語ができへんの?(苦笑)」


「え、いやー。苦手だから?(汗)」


「正直言わせて貰うと、これは壊滅的にヤバイよ。もう、英語は後から本格的にやるとして。国語をやろうか」


英語は杏菜あんなは読めるけど書けない性質らしい。だから、今も全然英単語をかけてないという(笑)だから、現実逃避に国語に切り替えることにした。


「国語は何をやるの?」


「一先ず、今は2年生だから文法と漢文を攻めていこうと思う。それで、やってる時に分からない問題があったら随時教えるという方針で」


古文、漢字、スピーチ、四字熟語、慣用句とか色々あるけど一先ずは今2年の範囲になってる漢文と文法だ。


「わかった。なら、最初文法から教わりたい…」


「オーケー。んじゃ、今は用言の活用だね。杏菜あんなさんとこは方言と共通語のところは授業でやった?」


「もう、やったよ〜」


「なら、用言の活用であってるね。おし、ならまず用言ってなんだと思う?」


「活用できる…独立語?だった気がする」


「独立じゃなく自立になるね。活用する自立語で、それだけで述語になることができる単語を指すよ。それに動詞、形容詞、形容動詞の三つの種類があるんよ」


「全然わからない」


まぁ、用言の意味なんか言ったところで理解するのは難しい。取り敢えずそういうものなんだよという意味も込めて教えた。活用方法さえ理解できれば問題はない!


「こんなのはわからなくても全然問題ないよ…ん?もしかして動詞とかっていうのもわからないわけじゃないよね?」


「それくらいはわかるよ。動作や変化を表す単語の事だよね?」


「おー。理解できてる」


「…ねぇ、バカなのは理解してるけど今完璧馬鹿にしたよね?」


「え?さぁ…?取り敢えず動詞がわかってれば一応大丈夫」


用言は意外とめんどくさいものだ。僕もあまり好きにはなれない。というか国語の分野で文法が一番嫌いだ。連体詞だの、助動詞だのと、ホントに、は?だよね。


図書館だから静かにしなくてはならないんだけど、周りもうるさいというほどでもないけど喋ってるし人が疎らに位置ついてるから態々文句を言う人もいない。


それに、本に囲まれてるのは幸せだ〜♡


「よし、まず第1。活用とは語の形が変化することを活用という。なら、その活用された形を何という?」


「活用形?」


「You got it!まぁ、簡単だな。んじゃ、第2問。活用系は何種類あるでしょう」


「6種類」


「Again correct answer.んじゃ、その6種類の活用形を杏菜さんは言えるかな?」


ニヤッと僕は笑って言った。おそらく、いや絶対に言えない。なぜなら彼女はとっても馬鹿だから。あ、ごめん。嘘よ。冗談やから。でんでらりゅうば…


「えっと、未然、連用、連体、仮定…定型?」


はい、間違いですね〜(苦笑)終止形と命令形が無くて、定型という無駄なのが混じってますね。まぁ、ここまですらっとでるだけまだマシよな。


「You got it wrong.足りないし間違ってるのがあるよ。終止形と命令形がなかったね。その代わりに、定型なんて意味わからんのがあったねんな」


「それじゃ、未然、連用、終止、連体、仮定、命令ってなるんだね。でも、なんかあれでしょ?どうせ一つ一つにまた意味があるんでしょ?それも覚えるのか〜いやだよ〜(泣)」


「まぁ、その通りだよ。そこは頑張れとしか言えない。このことばを未然形にしたのを書け!なんて問題が出そうだね。未然形は「ナイ、レル、ラレル、ウ、ヨウ」で例えば、「書く」という基本形を置くよね。そしたら「書かない」「書かれる」「書こう」。そして、「来る」この場合は「来ない」「来れる」「来られる」後は「来よう」ってこれが未然形になるのですよ」


「見る…見ない…見れる…見られる…ホントだ。わかったわかった♡これが未然形なんだね。今まで普通に使ってたんだ〜」


文法は理解さえすれば後は簡単だ。忘れたらどうしようもないないけど。


「じゃあ、連用形はなんだと思う?」


そう尋ねたら、なにそれ?な顔をされた。ねぇ、まだ五段活用とかの動詞の活用もあるんですけど?杏菜あんなさん?日が暮れちゃいますよ?


「oh…連用形は別の用言の「た」「て」なとが続くときの形で「マス」「タ」とか「テ」の形。だから…えーと、「来ます」とか「来た」ってことだね」


「マス、タ、テね。メモしとこ」


そう言って杏菜あんなは鞄からメモ帳を引っ張りだした。後なんかルーズリーフ一枚も。


「終止形は、言い切る時の形だよね。「ト」「カラ」で走ると〜とか走るから〜とかが終止形。後で活用表作っとくよ」


「活用表?まぁいいや。ありがとう」


「連体形が体現が続くときの形。「〜とき」「〜こと」「〜の」ってなるから今度は「〜する時」や「〜する事」「〜するの」が連体形。体言止めとか覚えてる?」


「体言止めってなんかあったよね。ていうか、もうこれって本当に覚えるしかないんだね…」


体言止めは確か名詞=体言だから文末の最後が名詞だと体言止めだった気がする。それと杏菜あんなさんはようやく実感してきたらしい。まぁでも、覚えれば後にもう一回復習すれば大概忘れないから用言はまだ簡単な方。


「確か…体言イコール名詞だから文末最後が名詞で終わることを体言止めだった気がするよ。簡単に言うと、「これは君からもらったシャーペン」。ことシャーペンが体現で所謂、これが体言止めですよ」


体言止めは語り手の感動が強調されると言われてる。広告や詩などに使うと有効なんだと思う。まぁ、全く持って縁はないけど。


「体言止めはいいとして、次は仮定形。もし〜とかならば〜って仮定する形のことを仮定形と言います。えーテステス、コホン。「もし、君に告白してれば、付き合えたかもしれないのに…」これ仮定形」


「よりによってなんでそんな文章?」


「わかりやすかったでしょ?」


「うん。すごいうざいのと相まってわかりやすかったよ。何がもし告白してれば〜だよ。いくらでも他に文章はあるでしょうが」


「あーはいはい。次は命令形だ。これで最後だね。まぁ動詞の活用があるんだけどさ。取り敢えず、命令形は命令して言い切るときの形。代表的は命令「足舐めろ」だよね〜。後は「食わせろ」「買え」「よこせ」とかかな?」


「卑猥で人権を無視した命令形だ…。「こっち来い」とかも命令になるんだね」


「基本的に命令で言い切ってたら命令なんだ。もしかしたら頑張れも命令形かもしれないね」


「流石にそれは無いと思う…」


「ふっふっふっ、実は命令形なんですよね〜。ラ行五段活用の動詞で「頑張る」の命令形です。皆さんが周囲を応援してる時に使ってる頑張れ!は実は命令形だったこれは事件だ!ていうかもう教えるの疲れた…」


「…んじゃ、もっと教えるの頑張れ」


「おい」


次は動詞の活用だ…。意外とつまびらかに教えたらできるじゃんと思ってる僕。杏菜あんなは馬鹿だけどアホじゃない。文法やってて僕は確信した。


まぁ、馬鹿だけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る