6話 入学式
♦︎入学式
あの
妹の成長を間近で見れるなんてお兄ちゃんもう死んでもいいや。
ちなみに、今日は4月9日で、木曜日。で僕の妹の入学式だ!(2回目)
「僕の妹の入学式だからな〜保護者として同席できないのは思うところはあるけどまぁ…見守ることにしよう!」
家から、「お兄ちゃんにはまだ制服見せられない。さっさと学校行って」と言われてしょんぼりしながら通学路を自転車で進んでいた。
「制服を見るのは、兄の特権というわけでもないけど初の制服を見るのは僕が良かったよ。
とまぁ、側から見たらブツブツ祝詞(自覚なし)を説いている人間に見えるだろう※主観的だとこうなってる。客観的にはお経を唱えている変態に見えるだろう。
全然違いなんてないね。うん。
だれか僕の頭を大型連発拳銃マグナムで撃ち抜いてくれ。
そしたら、多分正常に戻ると思うから。
「はぁ、学校に着いてしまった。どうしよ」
なんやかんやで学校にいつの間にか着いていた。
正門を抜けて、駐輪場に自転車を停めて、鍵を抜いて、昇降口で靴を脱いで、教室に入って、必要な物を取り出して、リュックをロッカーにぶち込んで、自分の机に戻って、座って、本を用意して、寝る。
「今日、あれだろ?お前の弟」
「ほんとだよ。来なくていいってのに」
「入学式マジで怠〜い」
「ほんと、マジそれ」
「昨日の、あれみたー?」
「みたみた」
「俺も見たー」
「何会話に入ってきてんの?」
「寝落ちして、宿題やるの忘れた」
「………」
誰でもいいから返事くらいしてあげなよ(苦笑)
周りは会話に勤しんでる。僕は睡眠だけどね。いや訂正する。睡眠学習だけどね。
「でさでさ、昨日放課後の部活でね…」
「え、マジで?流石に酷くない?」
「だよねー」
「はぁ、なんでお淑やかで可愛くてちっちゃい女の子はいないんだろう…」
つくづく、このクラスの女子の喋り方を聞いてると思ってしまう。
あ、ちゃんと小声で言ったからね?小声じゃないと引かれるし…
それから5分後に先生が教室に入ってきてホームルームが始まった。
「おはようございます。今日は入学式で新しい一年生を迎える日です。先輩として、入ってくる後輩を歓迎しましょう!はい、次に健康観察。体調悪い人いますか?いないみたいですね。それでは8:25分から体育館に行きます。起立。礼」
「「「ありがとうございました」」」
中学校、怠い…
それから10分経って廊下に並んで体育館に向かった。
「早く終わんねーかなー」
「来てそうそうそれかよ(笑)」
「だってよ〜」
二年が体育館の左サイドに座っており、三年が右サイドに座ってる。勿論椅子に。
新入生が、1番前に座ってて、その後ろに自分達。さらにその後ろに保護者といったかんじだ。
だから、続々と保護者が後ろの席に座っていく。
なんか、謎の圧のようなものを感じる。これだから保護者の前はやなんだ。
だけど、チラッと僕は後ろを振り返った。
「やっぱり、来てないよな」
ボソッとそう呟いた後
「わ〜、ゆわ〜、
「なんだよ、うるさいなー。僕になんか用?中山」
アガサ・クリスティーのABC殺人事件に出てくる登場人物の名前すら覚えられなかった僕でもギリギリ名前が出る奴が話しかけてきた。その名も
2組の人間で偶々そう偶々背の順の列で近くになったらしい…間に女子がいるけど。
すごく、迷惑そうな顔してる(苦笑)ゴメンよ。
「まさか、
「うーん…そうだな。神さまが運命的にお前の身長を俺に近くしたんだろうね」
「あ、そろそろ始まるから黙ってね
「ほーい」
一誠エライ。マイクで、新入生入場の合図が示され在校生達は静かになる。
僕と、一誠の間にいた女の子はようやく会話が終了したからか胸をなでおろしていた。ごめんよ(苦笑)
「新入生入場」
先生がそう言った後に体育館の扉が開けられて担任の先生の後を追っついてくる、新入生の姿があった。
パチパチパチパチ。拍手喝采とでも言うのだろうか…
歓迎の意味を込めてテンポよく拍手する♪
それから、数分したくらいで4組が椅子に座って拍手も止んだ。
その後、新入生呼称で「葱佐川 莉奈」「はい!」と返事してる姿を見て僕は微笑んだ。でも、ここからじゃ莉奈の姿が見えない…クソ〜。
在校生歓迎の言葉にプログラムが進行した時に僕は近くにいた先生に「トイレに」と言って静かにそそくさとその場から立ち去った。
「はぁ…引け目を感じる。まぁ仕方ないんだけどね」
「今この時間帯、自教室にいる事は悪いことだからな〜」
手には一錠の薬。これはストレスを抑える薬。繊細なんです〜。(笑)
この歳で、こんな薬を飲む事になるとは思ってなかったよ。僕は。
薬を飲んだ後、建前上トイレに行ったことになってるのでトイレに行く。
用足しは今のところないので、普通に手を洗って体育館には戻らなかった。
「仕方ないからなぁ…」
妹の、入学式。僕は最後まで見届けなかった。片付けは出たよ?
そんな、資格がないから。
「やっぱり、僕は濁ってる」
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