2話 4月1日 春休み
♦︎習字 朝
「あ、春休みの宿題終わらせてなかった…」
中学一年生のときに出された習字とポスターを描き忘れてたことを思い出して、今現在頭を抱えていた。NOWというやつだ。
「やばいやばい。期限があるのを忘れてたー!何やってるんだろ。」
「サクッ」「ゴクゴク」「サクッ」
パンを齧る。牛乳を飲む。またパンを齧る。で飲み込む。軽い朝御飯のパンと牛乳を急いで食べる。
「軽い朝ごはんも食べたし、急いでやらないと、確か期限は…あ、明日?えっ?」
春休み一番絶望を感じた瞬間だった。だってそうだろう!機嫌が明日なんて…まぁもっと早くやっとけという話なんだけど。
「おし、急いでやろう!」
今回は、習字、ポスターと選べる選択課題になってて、僕は習字を選んだ。ポスターは絵も描くから、僕の芸術センスじゃ無理だ。
それとは反対に習字の場合は、文字を書く。これくらいならなんとかなる。
「2年生は…完全燃焼…うーん…難しくない?これ」
これを習字で書く。おし!妹に…妹は体操の習い事行ってるんだった。仕方ない、自分でやるかと開き直った。
結論。自分で書く。いい作品はコンクールに強制的に出されるらしいから少し手を抜かないと。表彰なんて心臓に悪い。
筆。硯。墨。紙。重しを用意し、すぐに取り掛かる。墨が跳ねても平気なよう下に新聞紙を引いてこの上でやることにする。墨飛んだら落とすの大変だしさ。
「まず、完全は明朝体の形で書いて燃焼はまぁ一度書いてみてからかな」
取り敢えず、一度書いてみることにした。止める。止める。はねる。はらう。そしてミスる。まぁ、ミスの一回や2回仕方ないよね。うん!
「あ、完を安にしちゃったよ。練習用紙は沢山あるからまだいける!」
安全燃焼と書いた紙を、一先ず新聞紙の上に置く。燃焼に安全もクソもあるかと思わず突っ込んでしまう。
「意外と、書いてみると書けるなぁ〜」
多分、第三者さんが見たら何言ってるんだコイツは?という目を向けられることだろう。なぜかって?字の原型を保ってないからだね。2枚目。完全燃焼。綺麗とは言わないが普通にかけた。だが
「あ、名前をかく余白がない!」
10枚の紙のうち、そのうち2枚を失っていた。
あ、今度は墨が…
と色々あったが無事にきちんとかけました。…………8枚失ったけど。
♦︎ランニング 朝
「ふぅ、習字が終わったから取り敢えず一安心」
終わったことへの安堵感で、胸をなでおろした。
「ちょっと、気晴らしに出かけてこよ」
玄関で、靴紐を結んで踵を打ち付ける。最近きつくなってきた気がするなぁ〜
ま、成長してる証拠やけん。妹の白のスニーカー並べてから玄関を出た。
現在6:30分ぴったりで、外は閑静としていた。太陽は顔を出してて、カラスも顔を出してる。人はあまりいないっぽい。まぁ、朝早いし都会じゃないからな。でも、だからこそこんなことができる。
「朝だし、偶には少し走ろうか!」
家の前で。軽く屈伸、伸脚をやってよーいドン!の態勢を取る。目安2時間で歩かないで走り続けること。東京みたいに人が朝でもごった返していたら、こんなことは絶対に出来ない。
足に力を込めて。
「レディーゴー!」
分速150mの速さで、走っていく。早い遅い関係なくこのぐらいのスピードで行かないとランニングにもならない、僕はね。テンポよく、リズムよく、歩調よく、呼吸よく、歌もよく!
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、お!太陽が、顔。出してきた!」
心の中では、ブルーハーツの情熱の薔薇がリピート中。
それでも息を荒くしながらもペースは乱さないように走る。途中喋るとそれだけ呼吸のコントロールがずれて苦しくなるけど偶にはこういう思いもしないとね。
分速150mだから、時速に変換したらおよそ1時間で9km走ってることに!普通に遅くもはやくもない感じかなぁ。わからん。
「そういえば、はぁ、はぁ、どこま、で走るか、決めてなか!った」
今更である。走ることに夢中で目標地点を決めてなかった系。
あるある、とも言い難い。
歩数計でもあれば楽に切り上げられるんだけどなぁ〜…。
「ま、頑張ろ」
その結果2時間走り続けて18km走ったことになった。一言。疲れました。
♦︎エイプリルフール 夜
午後6時になったから、妹が帰ってきた。父子家庭だから父親の帰りはとても遅い。というか、ほとんど会社に泊まり込み。週末帰ってくるけどね。それでもこの家に帰ってくることなんて全然ない。
「ただいま〜」
「おっかえり〜。お疲れさんよ」
俺の妹さん、
だから今年中学校に入学するのだ!ほぉ〜我がシスターも今年で中学生!
「今日はね、ロンダート、バク転、バク宙ってやらされて死ぬかと思った。最後は連続前方宙返り!殺す気で指導してきてるよ!絶対」
僕は、できて後方倒立回転と前方倒立回転なんだけどなあ〜。ふつうに、そんなことができる莉奈はすごいと思うんだけど。あれ?僕ってすごくない?
「ロンダート、バク転、バク宙って莉奈の習ってる所は器械体操を教えてるの?」
「分からな〜い。でもどっちでもいいかな。エバーマットが私を受け止めてくれるだけでやっていけるからね。あと、流石に捻りとかはやらされないよ?棒高跳びはぴょんぴょん跳ねるけどね」
棒高跳びなら僕でもできるな。こう見えて跳び箱14段まで飛んだことあるんだ。
だけど、
「はは…」
思わず苦笑いが溢れてしまった。
「お風呂入った後、夜食作るけど何食べたい?要望があればどうぞ!」
とウインクして聞いてきた。
「なんでもいいよ〜あ、カツ食べたいかも」
「了解〜んじゃ入ってくるね」
僕は、ちょっと悪戯心を芽生えさせ、部屋に着替えを取りに行こうとした莉奈を呼び止めた。
「あっ、ちょっと待って」
「何?」
「今日疲れたから、一緒に入ろう」
「な、何言ってるの⁉︎入るわけ」
「うん、入らないよ。今日は毎年に一回のエイプリルフールー!嘘を吐きまくらないとね。今日だけ嘘が許されるなんて男にとって最高〜。それとごゆっくり〜♪」
「んーもう!アホじゃないの!」
と言って、お風呂に入ってしまった。バタンっ!と勢いよく閉められたドアはてっきり嵌っている板ガラスが割れるかと思った。
「でも、こうやって時間があるうちは、楽しまないとね」
なんせ莉奈と僕は義妹だから。またいつか別れる時が来るおそれがあるのだから今のうち、そう今のうちにね。可愛い妹様とのお楽しみを満喫せねば。
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