透明のアリスブルー
タコさん
1年 春休み
1話 10月1日 独白
♦︎独白
朝起きたら、夢の中だと錯覚してしまうことがある。
だが、当たり前だけど現実だ。自分が概知している存在が目に入るだけでお前は今現実を見ていると言われてる気がするのだ。
それでも夢の中こそ、自分の中での理想郷なのだ。自分が描いた理想や妄想が頭の中で映像として残り続ける。そう、記憶として残り続ける。
それに不条理極りないこの現実世界よりも自分の夢の世界を優先したい。そう思うのは当たり前のことだと僕は思う。
その理由として、僕の夢の中はとても明るい。夢だからあり得ないことを知らないうちに頭の中に体現してしまう。そのため、自分の脳には感謝しかなかった。
そんな自分だけの世界が壊れていって目が覚めると一気に背中に恐怖が走る。
現実は無情にも自分の思ったようにはいかない。夢から醒めるだけでそう言われてる気がして…とても怖い。
だからそれを忘れる為に僕はいつもすることがあった。それは視界に入る物を見ることだった。否、視界に入る物の色を見ること。現実味のないものを感じて未だに脳を夢の中にいると思わせ続けること。それがこの行動の意味だった。
いかにも絶対に起きるであろうボクシングの世界チャンピオンに殴られて顔面陥没や、百獣の王のライオンにお手をされて死ぬといった墓碑を立てられかねないようなことじゃなく、この世界の色を見ることだった。
僕には、視界に入る全てが透明感を帯びたクリアなガラスケースのように見えた。
朝食のサンドイッチとかは、普通に色ある。だけど、なんていうか…すべてが無機質に見えると形容すればいいのだろうか…。
自分の脳に暗示をかけて、空間そのものを色付けてしまっている。でも、これは悪魔で自分の脳が思い込んでいるだけであって実際にそうではない。
例えば、机や、テレビ。空や雨。これらは僕にもわからないけど物体が無機質で静謐さと、静かなボールルームにミラーボールが光を放つわけでもなくぶんながってる部屋みたいな感じだった。
ふと、スズメの囀りがやけにクリアに聞こえて、空を眺めるとライトブルーのはずの空の色は白で雲と一体化してるように見えた。
まさに視界と渾然一体。この言葉が相応しい。だけど、僕の今の視界は真っ黒に覆われていて薄く濁っている。何もない虚空の空間に僕人だけが佇んでいる。
わびさびの隣り合ってる色は僕にとっては混同してるも同じ。そうだろうか?
だから、見たことない色をこれからたくさん見ていきたいと思う。ほんとうに?
でも、これらは本心だろう。いつしか僕の視界には真っ黒に染まった醜い感情の色しか映らなくなっていたのだから。
だから僕事。葱佐川
人の手入れが行き届いている道を歩くのは簡単だと思う。だけど、整備も、舗装も、知られてない道を歩くのは困難だろう。他の誰のでもなくー自分だけの道を見つけて歩き始めることが高校までにやりたいことだった。
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