第28話 かねのなるき
福太は天使と彼の両親には、真実を語ると約束をした。
「どうしたいかは、君たち次第だ。」
そういい残して彼は、去った。
卒業後、僕は旅に出た。一人で電車の車窓を眺める。旅館には布団が1組。
「修学旅行じゃないんだから、騒がないでくれ。」
僕は、隣でのんびりくつろぐ友人に言った。
「あんな最後じゃ成仏できないよ。」
天使のヤツがあれ以来付きまとってくる。
「なるき君の周りの人はなにかと裕福になっているというのに、きみは相変わらずの貧乏だ。これじゃ、僕が貧乏神みたいじゃないか。このままだったらあの世の査定にひびくんだよ。」
その後、僕は京都で僧侶になった。師走の寒い夜。ぼくは、境内で新年を迎えようとしている。
「ゴーン。」
力いっぱい引いた綱を離す。京の町に大きな音が日響く。鐘の鳴る木。その上にあいつはまたがって僕のほうを見ている。
「一人前になって、成仏させてやる。」
これが、あいつと交わした最後の約束だった。
かねのなるき 明日香狂香 @asukakyouka
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