第8話 初めての魔法
【8】
魔法のイメージを始めて十五分ほどが経った頃、いきなり視界の端にゲームのステータス画面のようなものが現れた。
「おお、なんか目の前に出てきたぞ」
「は、早いですね。早い人でも三十分くらいはかかるものなんですが、まだ十分ちょっとしか経ってないのにできてしまうとは‥‥‥」
セフィアは青い綺麗な目を丸くした。
「俺、割と器用なほうなんだ」
「それにしても早すぎです」
少し嫉妬したのかセフィアは頬をプク~と膨らませる。
「それにしてもゲーム画面みたいな感じだな」
「ステータスの見え方は人それぞれらしいです。私の場合は紙のようなものが視界に現れて、そこにステータスが書いてあります」
「へぇ~、人それぞれねぇ」
そう言いながら俺は視界の端に現れた俺自身のステータスを見てみる。
Level. 1
HP 50
力 50
敏捷 60
防御 45 ‥‥‥
様々な項目が書かれているが、どれも軒並み似たような数値だった。
レベル1‥‥‥はぁ、やっぱりまだ駆け出しか‥‥‥。
俺はこの世界の人間ではない。もしかしたら転移補正で高レベルスタート、なんて期待はあっさりと砕かれた。
「ちなみに各ステータスがだいたい50くらいなんだけど、これは強いほうか?」
レベルは1だったがもしかしたら初期値は高いのでは?
「レベル1で50ですか‥‥‥」
俺はワクワクしながらセフィアの顔を見る。(その様子はさながら子犬だったかもしれない)
「フツーですね。いわゆる平均値です」
──ガックリ。
俺は肩を落とす。
「まぁ、落ち込まないでください。戦闘などをして行けばレベルも上がります。レベルが上がればステータスも魔素量も上昇していきます。そして魔素量が多くなればさらにステータスの伸び値も大きくなっていきます。
まだレベル1なので魔素量も100くらいだと思いますが、いっぱい経験を積めば強くなれますよ!」
そう言ってセフィアは俺のことを励ましてくれた。
はぁ〜、とため息をついた俺は、ふとステータス画面の一番下にある魔素量の表示に目をやる。
‥‥‥‥ 45
‥‥‥‥ 55
魔素量 5000
以上が沢渡爽真のLevel. 1 におけるステータスです。
──ん? 魔素量5000⁈
その後いくつか簡単な魔法はセフィアから教えてもらったが、武器になる魔法とはかけ離れたものだった。
その日の昼、俺たちは昼食をとりながら今後の予定について話し合った。
「今後どうしましょうか」
「そうだなぁ、国の中心に行くとなるとやっぱり危ないんだろ?」
「そうですね、いつどこから隣国の兵士に襲われるかもわかりません。それに最近ではこの辺りにもドラゴンが出るらしいです。何かしら攻撃手段や防御手段は持っていたいですね。
爽真さん、防御魔法は使えないんですか?」
「防御魔法? シールドみたいなやつか?」
「シールド状のものからドーム状のものまでいろいろありますが‥‥‥知りませんか?」
もしや俺がドラゴンと遭遇した時に現れた青色のドームは防御魔法だったのか?
「全く知らないわけではないかもしれないが、今の俺には到底使えない魔法だな〜」
「そうですか‥‥‥」
セフィアは少し俯いた。
「‥‥‥とりあえず、一緒に行動しているとは言っても俺は今、この世界じゃ一文無しだ。いつまでもセフィアのお金を借り続けるわけにもいかない。
ということで午後はお金の稼ぎ方を教えてくれないか?」
「そうですね、国の中心部まで行くとなったらさすがに私もお金が底をついてしまいます。この街の商業組合に行けばいくつかお仕事もあると思います。そこで仕事を紹介していただきましょう」
セフィアは俯いていた顔を上げそしてまた笑顔になった。
「よし、そうと決まれば早く行くぞ!」
「はい!」
そう言って俺たちは残りの食事を流し込むと、金稼ぎのために商業組合の建物に向かった。
異世界冒険記 〜幼馴染は異世界の住人なのかもしれない〜 鬼天竺鼠 @kapipara-onitenziku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界冒険記 〜幼馴染は異世界の住人なのかもしれない〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます