第10話 勇者と英雄、そして香織は……



割と大きな地震?がやっと収まり、騎士団達やメイド達により、散らかった物や倒れた家財などの片付けが始まった。




俺達はイスに座り、先生にそのままで少し待ってて欲しいと言われた。


(っち、なんなんだよ!)


しばらくすると、先生と2、3人のローブを着た人物と騎士団が部屋に入ってきた。

そして先生が説明をし始めた。


「みなさん、静かにして下さい。これからお世話になる方を紹します。」


「では、お願いします。」


「私は騎士団の団長のマグ・レブだ。

今後の予定をみんなに伝える。」


「この後、食事をここで

してもらった後、明日から行う本格的な訓練内容と、君達が持ってる力……ギフトやスキルの使い方、勇者や英雄、魔物や魔族達との戦い方、この世界の一般常識などを講義する。」


「いや、それはおかしいですよね。私達がそんな事しなくてはいけない理由はなんですか?」


「いいかげん、私達を元の世界に返して欲しいです。」


「それからなんで当たり前のように勇者達とか魔族なんかと戦う話しになってるのですか?」


みんなただでさえ、突然知らない世界に連れてこられ、先生はどうやらこの世界の人間のようだし、安全だ!と言われたても俺には今一番の心配事、香織がどうしているか気が気じゃない。生徒達からもこんな理不尽な要求を受け入れられないだろう。なんせ、殆どが良いとこのおぼっちらゃんやお嬢様だからな。しかも俺達は平和な日本からやってきたんだ。いくらギフトやスキルがあって、戦闘力が上がっていても、ついさっきまで高校生だった奴等に人殺し同然の事をさせようとしているから、みんなが抗議がするのは当たり前だ!

しかも、戦闘訓練やギフトやスキルの使い方を覚えたとしても、お坊ちゃんやお嬢様に戦う事ができるかどうか………

出来るとしたら、香織とマミとマナぐらいか。

だが俺はそんな事より、香織の事で、怒りでブルブルと体震わせて下を向いた。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


勇者が英雄のいる、ある場所に着いた。

かなりの速度で山道を走り抜けてきた為、勇者に担がれていた香織は気を失っていた。




「やっぱり…………女の子なんだから、少しはやさしくしたら?

勇者は担いでいた香織を、英雄に言われた通り、優しくゆっくりと下におろす。

今さら遅いけど………


英雄が香織の顔をマジマジと見ていた。


「へぇ~勇者が言ってた通り、凄い美人さんだね。」


英雄はなぜか香織の事を少し知っていた。


そんな香織が意識を取り戻し、ゆっくりと起き上がった。

そして、周りをキョロキョロ見て泣き出した。


「グスッン。どうしてこんな事を?早く私をみんなの所に返して下さい。グスッ」


「香織、小さい頃は凄く可愛かったけど、今は綺麗になったな。」


勇者が突然重要な事をさらりといい放った。もしかして勇者は、香織の事を知ってるのだろうか?


「香織、あれほどこちらの世界には来てはダメだと何回も教えたのに。」


え?


「あんな、確証もない話し、誰が信じろと?しかも突然強制的に連れてこられたから私には何もできませんでした。」


え?


勇者は優しく、そして懐かしむような眼で香織を見ている。


「やっぱりか。……どんな感じで香織達を召喚したんだ!」


これは勇者に話していい事なのか?香織は少し考えた。


「そんな事聞いてどうするの?もう終わった事より早く太郎達の所に私を戻して!」


「今、香織をあんな危険な場所に戻す訳にはいかない。」


勇者の言ってる事が香織には意味不明だった。


「どうせ、あの国の連中は、俺やアンの事を色々な国を滅ぼし、人々を絶望に追いやる悪者みたいな事を言ってるんじゃないか?」


勇者が今話をした事と先生に聞いた話しと真逆なの事を勇者が話すので、少し戸惑う。


「香織、これを見てくれ。」


勇者はあるものを香織に渡した。


香織は恐る恐る勇者が取り出したある物を受けとる。


香織はそれを見てビックリする。


「こ、これは?」


勇者がニッコリと微笑んだ。






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世界が突然俺を変える(改訂版) アドリブコージ @bmw330ci

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