やんちゃ坊主①
口は悪いし素行もよくはない。
下級生を脅して物持ちをさせる。
回転遊具やゆりかごとよばれる四人がけのブランコで遊んでいると友達屠一緒になって激しく揺らしたりして怖がらせる。
いたずらはもちろん子供へたいしてだけではない。
大人にたいしてもやるわけだから、さっきも言ったように大人たちにとってはとにかく手の焼ける子供なのだ。
とくにオトおばあちゃんへのいたずらは度を越している。
オトおばあちゃんとは近所の子供達を集めて読み聞かせをよくしているおばあちゃんであった。
朝矢のいたずらはオトおばあちゃんが読み聞かせをしているときによくやる。とくに話が終わった直後に砂をぶっかけたり、花火をしたりなどのいたずらをする。そのたびにおばあちゃんは怒り、朝矢といっしょになっていたずらをする子供達は一目散に逃げるのだ。
そんなことを繰り返されているにもかかわらずオトばあちゃんはなにか対策をうつわけでも、読み聞かせをやめるわけでもない。
怒ったあとはいつも「仕方ないねえ」とため息をもらしたあとは穏やかな顔をする。
結局のところは楽しんでいる節があるのだ。
「おばあちゃんってばかやなかと?」
オトばあちゃんの孫に当たる
「死ぬわけじゃなか。そのうちせんごとなるばい」
するとオトおばあちゃんはいつもと変わらない穏やかな口調でいずれやめるだろうという。
「本当にせんごとなるやろうか? あいつは悪魔ばい! せんごとなるとは思えん」
愛美には朝矢がやめるとは到底思えなかった。
「おやおや、めぐちゃんらしくなかねえ。そがん怒るとはみたことなか。そがんもすかんとね」
「すかん! 」
愛美は嫌いだとそっぽを向く。
そう。
そんなヤンチャで素行のわるい朝矢のことを嫌っていた。
いたずらはとどまることを知らない。
学校でも懲りもせずにやっていたのだ。
いったいどこへ行けば、有川朝矢のよいところが見れるというのかまったくわからなかった。それなのにオトばあちゃんは「あの子は決して悪いところばかりあるわけじゃなかよ。良いところもいっぱいあるとよ」というのだ。
なぜそんなことが言えるのか、愛美にはまったく理解できなかった。
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