観測的文芸部
まめいちご
プロローグ
頭上でぽつぽつと嫌な音がし始めた。
どこまでも薄暗い空の灰色は、
先程までの青色は気に入らなかったと
言わんばかりに覆い尽くした。
誰の前にも決して主人公は現れたりしない。
なんの本で、いつ読んだのかわからないが
よく覚えている一節だ。
人の思想は千差万別だ。僕の目を通して見えている世界と、他人が見ている世界、必ずしも同じものとは限らない。
見えている世界に齟齬があるなら、共有することも不可能だ。だったら、他人の前では他人として、友達の前では友達として、家族の前では家族として振る舞わなければならない。でも、もし、相手が僕達に主人公として振る舞うことを望むのならば、違う世界の住人だと知っていて、自分の世界をぶち壊してでも主人公を確立させたいと望むのならば。
僕達は、君の世界の主人公になる。
僕達は雨に濡れることすら
叶わなくなった少女の前で、そっと誓った。
観測的文芸部 まめいちご @Mameichigo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。観測的文芸部の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます