俺の恋愛は普通の恋愛で十分
@sasaki_kure
プロローグ(主な登場人物紹介)
清々しい春の陽気、道端に生えている桜の木はピンク色に染まり新学期の始まりを教えてくれる。
家の前をがやがやと、小中高の生徒達が登校して行く。そんな中、新しい制服に身を包み学校指定のローファーを履いて玄関の扉の前に立つ男子生徒が1人。
その生徒の名前は藤巻 蓮、この物語の俺こと主人公である。
俺は大きな欠伸をしながら、玄関の扉を開けた。
今日は市内一の大きさと生徒数を誇る私立高校、柊(ひいらぎ)高校の入学式、そしてその高校に俺は入学する。
家の前には同じ制服に身を包んだ男子生徒が二人と女子生徒が一人ガヤガヤと喋っていた。
「ふぁ~・・・・みんな早いな」
俺がそう言うと、その三人は振り返った。
「蓮、昨日も夜更かししたのか?」
一番最初に声をかけたのが幼稚園からの幼馴染、工藤 凌牙(くどう りょうが)柔道部で身長は180センチ体重は80キロと他の生徒と比べても体が大きい。
「この前録画しておいたプロ野球の試合見てたら寝るの遅くなった・・・」
「お前の野球好きも行きすぎると恐ろしいな・・・まぁ俺も人に言えないけど」
こいつは中学の時、一緒のクラスで同じ野球部でもあった鳴海 海斗(なるみ かいと)。俺とはバッテリーの関係だった。中学の時、海斗はホームの守護者と呼ばれ、キャッチャーとして名を馳せていた。ちなみに俺はエースで4番、ピッチャーでは急速140キロを超える球を投げていたため俺たち2人は一躍有名人となった。
「二人とも、野球が好きなのはいいけど程々にしなよ?」
親のように注意するこの女子生徒、中学で俺たち野球部のマネージャーをしていた音津 咲夜(ねづ さくや)。知ってるのは俺と凌牙だけだが、海斗と咲夜は付き合っているらしい。
「お前なぁ、この前の試合どんなに大事だったか分か・・・」
「なんか文句でもあんの?」
咲夜から鬼のような視線が飛ぶ。
「いえ、なんでもないです」
ご覧の通り、この4人の中で頂点に立つのが咲夜である。主人公は俺なのに・・・
「それよりも、早く行こうぜ」
痺れを切らした凌牙がそう言いながら歩き始めた。
それに続いて俺達も歩き始める。
「そう言えば、今回の1年生って全部で何人だ?」
俺がそう聞くと咲夜が指を折って数え始めた。
「確か1クラスが35人でそれが6クラスだから・・・210人くらい?」
「え、そんなに多いの?」
海斗が顔を顰めながら言った。
「当たり前だろ、多いときで300人が入学したとか聞いたぞ」
「柊高ってどんだけ金稼いでるんだよ」
俺達の頭の中に雪崩のように札束が降ってきた。
「お、恐ろしいな・・・」
凌牙がぶるりと体を震わせる。
俺たちの住む街は海に面していて、毎年夏になり海開きの時期になるとたくさんの観光客が訪れる。そしてほかの街よりも天候が変わりやすく、今日のような雲がひとつもない青空の日は雨の降る確率が高い。周りを歩く生徒のほとんどが傘を持ちながら登校していた。
ここで軽く柊高校の説明をするとしよう。
柊高校は約7年前にできたばかりの私立高校で、7年という浅い歴史で甲子園で2度優勝する野球の強豪校となった。とは言いつつ去年は地区大会で準優勝という今は特に飛び抜けて強いわけでもなく、俺たち2人が今年の入学生の中で有力視されているらしい。
とここら辺で野球の話はおわりにして。
柊高校の学校全体での主な目的は、生徒の自由化らしい。一人一人が様々な科目に分かれ自分の将来に見あった授業を受ける。また部活などの推薦で入学した生徒は学費を半分学校側で負担し、部活に必要な道具や教材などのものは全て学校側が準備するという傍から見ればただの金持ち高校にしか見えない。 だがその代わりそこそこの学力がないと入れないのもまた事実だ。それでも毎年200人以上の新入生が入学するというのはそれほど人気で、周りからの評価も高いといえるだろう。
と、こんな説明をしているうちに柊高校の校舎が見えてきた。
俺たち4人の高校生活が今始まる!
俺の恋愛は普通の恋愛で十分 @sasaki_kure
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺の恋愛は普通の恋愛で十分の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます