第19話 いつでも熱々、すぐに熱々な食品たち
This Message From NIRASAKI N-TOKYO JAPAN
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Time Control - Mode FREE
Power Gauge - GREEN
Link Condition - Perfect
Security Level - Perfect
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ヘーイ、元気かい? こちらは平凡な昼下がりで、じゃんけんに負けたドクがお昼ご飯を買いに行っていて、帰ってくるのを待っている。じゃんけんが、何十年も変化しないことを、不思議に思うかもしれない。様々な派生系が生まれたけど、基本的には、最初はグー、だよ。グー、チョキ、パー、も変わらない。
インスタント食品の変化は、資源の問題で、だいぶ変貌している。平成になる前からあったインスタント麺は、ほぼ全てが袋麺になっている。カップラーメン、というジャンルはほぼ消えた。だって容器が不便じゃないか。それくらい令和の日本人は吝嗇ということだけど。この袋麺は、家に帰って容器に入れて作るんだけど、そう、鍋で火にかける必要はなくなった。これが大革命でもある!
袋麺を作る手順は簡単だ。店で買う、家に帰って専用の容器に乾麺を入れる。これは平成と変わらないスタイルだと思う。で、容器に水を注ぐ。お湯じゃない。普通の水。水道水。で、容器の専用のフタをして、これまた容器と対になっている台座に、容器をはめ込む。そして台座についている調理開始のボタンを押す。十秒待つ。電子音が鳴って、蓋を開けてみるとなんとびっくり、ラーメンが完成している。容器と台座の関係は、大昔からある電気ケトルに近いかな。この仕組みを、ボタンを押したら十秒で熱々ラーメン、という呼称を略して、十秒麺、と多くの人は呼んでいる。インスタント麺のメーカーがおおよそ統一され、それと同時に規格も整備されたので、この容器と台座は、すべての袋麺に対応していて、ラーメンだけではなく、うどん、そば、パスタ、どれでも使える。ちなみに、万能粉という粉で作った麺も、ネット上からプログラムデータをダウンロードすれば、この容器で調理できる。十秒麺を作るためのこの装置は、ヌードラー、と呼ばれていて、僕より若い世代は、ヌーラー、などと呼ぶ。十秒麺も、ヌー麺とか呼んだりしているようで、ヌードルが麺を意味するから、ヌー麺は、めちゃくちゃな表現だ。日本語の乱れが激しいなぁ、としみじみ感じる。
冷凍食品は、いい加減、この時代でも存在する。僕が働いているコンビニでも、無数に展開されていて、一時期、話題に上がったのは、冷凍豆腐だ。まともに学校に通った人なら、豆腐は冷凍できないことは知っているだろう。冷凍した豆腐は、つまり、高野豆腐になる。高野豆腐そのものも、今の時代にあることを注記しておく。で、冷凍豆腐は、袋に入って凍っているんだけど、その袋の中に液体が充填されている。これが豆腐の高野豆腐化を防ぐらしい。調理方法は、他の冷凍食品と一緒で、電子レンジにかける。これも液体の力で、ちょっとぬるい程度の、短い時間の電磁波で、豆腐は綺麗に解凍される。あとは電子レンジから取り出した袋を、ちょっと水に晒したりすると、開封した時にはいい具合の冷奴になっている、という寸法。
他の冷凍食品は、平成とそれほど変化はないかもね。コンビニにもあるけど、冷凍たこ焼きは、かれこれ何十年も、大きな変化はない。味や材料などは改良されているけど、例の如く、大袋にゴロゴロ入っていて、それを僕たちは適当に皿に乗せて、レンジでチンだ。
電子レンジそのものの進歩は、おおよそ停止した。技術革新はほぼ起こっていないし、むしろ退化したかもしれない。どこの家庭にもある電子レンジだけど、誰も高価な電子レンジを必要としない。最低限の大きさと、最低限の出力があればいいわけだし。何十年も前にコンビニにあったという、家庭用とは違う高出力電子レンジは、今のコンビニにもある。無人のコンビニでも、客が頼めば、機械が勝手に商品を熱々にしてくれる。当然、袋も分けてくれる。ちなみに今の時代、袋もリサイクルされるのが前提で、他の様々な容器と比べると雀の涙だけど、再利用ボックスに放り込むと電子マネーに変わる。
ただ、コンビニで熱々にしてもらっても、家に帰れば冷めている、というシチュエーションもないわけじゃない。今の時代の特徴として、素材の進歩は格段に進んでいて、コンビニの弁当(容器の再利用が難しいためにべらぼうに高い)の容器は、ものすごい保温性があり、二十分くらいなら、開封しても湯気が上がる。で、温めようにも電子レンジがない、というものすごい状況のために、別の方法も採用されている。実物を見たことがないけど、これは平成にもあった。紐を引いたら五秒で熱々、って奴。アニメ「カウボーイ・ビバップ」の劇場版に出てくるよね。え? 知らない? なんだ、知っていると思って、ここまで書いてしまった。谷口ジローの漫画「孤独のグルメ」の一巻にも出てくるよ。シュウマイの奴。なんにせよ、容器の下に加熱装置が付いていて、それの紐を引き抜いて五秒待つと、弁当なりがホカホカになる。この加熱装置は、やはりデタラメな値段だけど、しかし容器そのものと違って、リサイクルするとほぼ全額、返ってくるので、安心してほしい。
というわけで、僕もこれから温かい食事にありつけるわけだけど、しかし、ドクがなかなか帰ってこない。
おや、足音がした。どうやらやっと食事だよ。
またメールすることにする。
じゃあね!
This Message is END.
Reply - Impossible.
Machine Number - 098
Massage Number - 013
P.S. You Know “Hot Meal”? Girls Dead Monster!
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