第9話 スポーツの新時代

This Message From NIRASAKI N-TOKYO JAPAN

Up-Loading Date - **.**.2065

Up-Loading Time - **:**:**

Attack Point Setting - **.**.2019

Time Control - Mode FREE


Power Gauge - GREEN

Link Condition - Perfect

Security Level - Perfect

Package Balance - GREEN

Backup Unit - ERROR


START FOR BACK.

Contact.


Check.







 ヘイ、ガイズ! いや、言ってみただけ。

 陸上の百メートル走で、日本人が初めて九秒台で走ったのは、平成だったね。えっと、桐生? 彼は今も生きているはずだけど、さすがにもう若くはない。

 選手の名前を出せないのが残念だけど、それはここで僕が過去に情報を流すと、僕の生きている世界には何の影響もないとはいえ、どこかの世界が妬みや遊びで歪められるという事態が起こるかもしれは。それは、やや気がとがめるので、許してほしい。

 陸上の日本選手権の決勝で、九秒台で三人の選手が走る事態になったのは、令和十年になる前で、これはマスコミが揃って奇跡と表現したけど、その次の年も三人が九秒台の記録を出し、その次の年には四人になった。つまりその時点で、日本人が九秒台で走るのは、偉業でもなく、純粋な身体能力や走り方など、理論的に証明できる、事実になった。

 もし四人の選手が九秒台で走れるなら、四百メートルリレーで金メダルも夢ではない、と思うかもしれないけど、日本はまだその種目で金メダルを取っていない。理由は明らかで、つまり、他の国でも同様の進歩があった。アメリカも、アフリカ勢も、順調に記録を伸ばしていて、日本の繊細でありながら大胆なバトンパスがどれだけ向上しても、純粋な体力では、まだ劣っている、ってことになる。

 アメリカ人が人類で初めて九秒台前半の記録を出しそうになったのは、今から三年くらい前で、追い風参考記録で、九秒五いくつ、みたいな記録だった。この時はさすがに、九秒台前半に届かず、全世界が落胆のため息を吐いたんだけど、その直後に、国際陸上連盟が、そのアメリカ人選手のスパイクに疑問を表明した。明らかに規則に違反しているわけではないんだけど、追及されると、規則の網の目をくぐった、と言えないこともない、というなんとも微妙な展開になり、この九秒五いくつ、という記録は追い風だったこと以上に、シューズの力による、インチキ、という評判の方が先行する結果になった。

 だけど今から二年前、実際に世界を驚かせる記録が出た。

 その選手は平成の時代から百メートル走で第一人者とも言える国、ジャマイカの出身だった。ほぼ無風の状態で、彼が叩き出した記録は、九秒五。シューズも、国際陸上連盟は何も言えない設計。つまり純粋に、人間の力として、九秒台前半にあとわずかまで迫っていたのぜ。これはすごい。僕も驚いた。

 その選手はオリンピックで百メートル、二百メートル、四百メートルリレーで三冠を取って、一躍、時の人になった。

 平成の人は、東京オリンピックがどうなったのか、気になるだろうけど、それは今は伝えない。だって、平成が終わった次の年には、もう開催されるんだ。すぐじゃないか!

 それと、マラソンの世界記録も、今はまだ伏せておく。女子のマラソンで日本人が活躍することは、めっきりなくなった。やはりアフリカ勢が非常に強い。アフリカ人の有力なランナーは、みんな先進国のスポンサーの援助で、ぐんぐん記録を伸ばしている。男子も女子も、アフリカ人の独壇場で、しかし不思議なのは、アフリカ人の選手は現役生活に終止符を打ってからも、アフリカに帰ることはないようだ。先進国のどこかで、次の世代のアフリカ人ランナーを育てていることが多い、という指摘を、何かの本で読んだ。

 令和の時代のスポーツ選手は、基本的な身体能力が高い選手が、最先端の科学によって、人間の限界を超えていく、という形なんだ。

 日本人の体はどうやら陸上には向かない、と今の時代の日本人は考えている。

 代わりに卓球、テニス、バドミントン、などは、令和の初期を象徴する、輝いたスポーツではある。

 大相撲はドクが好きで、今でもよく中継映像を見ている。ドクが言うには、平成の時代から令和の初期の力士より、今の力士の方が体の均整が取れている、とのこと。それと、昔はモンゴル人の相撲が面白かったけど、今は日本人ばかりで、個性に乏しい、ということも言っている。まぁ、僕にはよくわからないけど、ドクの趣味だし、ただ頷いている。

 eスポーツというものが平成で萌芽を見せていたのは、興味深い。eスポーツは、令和ではかなり一般的になった。ハードの面でも進歩があり、今の時代の人は、誰もが子供時代に、何かしらのゲームに打ち込んだり、場合によってはジムに通っていたりする。ジムは僕も通った口で、自宅にある端末とは違う、比較的新しい、上等な端末を使える、というだけの場所で、コーチの指導は別に自宅でも受けられるので、ただ端末を借りる場所、とも言える。まぁ、その辺は、平成の頃にあったジムと大差ないかもしれない。さすがに自宅にバーベルやトレーニング機器、プールがある人は今でも少ないけど、例えばジムでランニングマシンで走るくらいなら、自分で時間を見つけて家の近所を走った方が、無料だし良いんじゃないのかな。まぁ、適温の環境で走りたい、という主張もあるだろうけど。

 というわけで、人類も地味に進歩しているってことになる。社会も、肉体も。



This Message is END.

Reply - Impossible.

Machine Number - 098

Massage Number - 027


P.S. Unlimited! HAHAHA!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る