残夏

作者 羽柴 柾

6

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★★★ Excellent!!!

 この物語はイルカに関わった人達が織りなす切ない物語です。詩的で美しい表現に彩られた本文が読む人を幻想的で優しい世界に導いてくれる事でしょう。
 イルカ達の伝説、小説家の後悔。作品世界とシンクロするように、夏の終りに読むのにピッタリな作品です。そう、読後感はあの夏の終わりの淋しさに似ています。少なくとも、私はそうでした。

 読む時、私は星空をイメージする曲を聴きながら読んでいました。そうすると曲と言葉のイメージが折り重なってすごく効果的だったからです。そう言う楽しみ方が出来る作品には初めて出会った気がします。

 とにかく、美しい表現の好きな人にはオススメです。心の中で夏の景色を、夜の海岸を、懐かしい風景をきっとありありと思い浮かべられる事でしょう。
 そうして、色々な事情の板挟みにあってどうしようも出来なかった時に感じたあの感覚も――。

★★★ Excellent!!!

七日後の流星群を夜通し海岸で待つ人。
謎の多い人物。しかし何故か隣にいるとホッとする。
彼の語る不思議で美しい話。眼下の海にはイルカの群れ。

生きるものたちは、何かを失いながらも、それでも星になるまで生を全うするのでしょう。
忘れているだけで、同じ体験を繰り返しているのかもしれません。
いのちの証である貝殻を手に。

瑞々しいタッチで描かれた幻想的な絵画を見るようです。
作者の織り成す静かで研ぎ澄まされた世界に、是非浸って下さい。