雪の描写が多いためか、まるでBGMがない映画のように登場人物の会話が浮き上がってきます。静かに強く、彼らの内面も描かれています。それを引き立たせるかのような景色の描写が美しいです。また、主人公の話に夢中になり、不可抗力のように惹かれていくヒロインの生駒が可愛らしかったです。
時代物の名短編です。祇園の女との恋をえがきます。言葉遣いとか昔の雰囲気をだしててうまいです。椿散る時のタイトルのセンス。ラストの光景は印象に深く残ります。あの時代ならではの恋愛の苦悩、あの時代の常識による葛藤。揺れる登場人物たちの心。登場人物、みなかっこいい生きざまです。