遊ぼう!平成くん!

「こんにちは」

「いらっしゃい、今日はどうしたんだい」

「面白いものを買って貰ったから見せに来たの、感謝してよね」

 そういって令和ちゃんは慣れた様子で僕の部屋に入ってきた。

「意外とかたずいてるのね」

「最近ずっと誰かが来てるからね」

「あら、誰か分からないけどお礼を言うことね」

 ぽすっと音をさせながらソファに座り。肩から掛けたポシェットを開ける。

「ほらこれ最近でた、りったいですぷれい?ってやつよ」

「画面が浮かび上がるってやつかな?」

「多分それ、ゲームもできるのよ」

 コントローラに見えるそれの真ん中を押すとディスプレイが空中に浮かび上がった。

「ねぇ遊んでみない?なぜかうちに二つあったから。別に遊びたくて買ったわけじゃ…」

「うん、わかった」

「ほんとう!?」

 一緒に遊びたくてうずうずしていた、分かり易い。

「この前は勝つのに時間がかかったけど今日は勝つわよ!」

「お手柔らかにね」

「嫌よ、絶対にかつんだから」

 ああ、これは今日も勝つまでやめそうにないな、まぁこのゲーム遊んだことないから負けても大丈夫かな?

「ほら、キャタクターを選んで」

「うん、僕はこの白いお化けにしようかな」

「じゃあ私は緑の掃除機にするわ」

 ロードも挟まずにすぐにゲームがはじまる、レースゲームみたいだ。もしかして勝てるかも?

「アイテムとかはなくてどっちが早いか競うだけだから説明はしないわよ」

「がんばるよ」

「がんばっても私が勝つわ!」

 空中に浮いた近未来の戦闘機のような機体がスタート地点に並ぶ。カウントが終わり機体が飛び出す。

「私が一番よ!」

「そうはいくか!」

「やってみなさい!」

 ぐんぐんと速度が上がり、機体後方に着いたスラスターの炎も大きくなっていく。

「よっと」

「え、ちょっと。わ」

「先行くよ」

 曲がり角で速度を殺しきれずに壁に当たって復帰にてまどる彼女。

「なんで…あんなに練習したのに…」

「どんまい」

「うん…負けない」

 直線で速度を上げ追い付いてきた。

「嘘!速い!」

「練習したって言ったでしょ!」

いつの間にか彼女は僕よりも先にゴールしていた。笑顔を浮かべ両手を上げて喜んでいる。

「ああ、負けた…」

「勝ったあああああ」

「おめでとう」

 負けたのは悔しいけど彼女が喜んでいるのでよかった。

「またやろうね!」

「うん。またやろう」

 しばらくはこのゲームばかりになりそうだ。練習しよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

くっつけ!令和ちゃん! 河過沙和 @kakasawa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ