電車

 電車に乗っていると、偶に隣の路線を別の電車が通り過ぎる事がある。いきなり違う走行音が鳴るものだから、私のような臆病者は肩をぴくりと痙攣させてそちらを見てしまう。周りはそんな私を放ったらかして、スマホだったり読書だったり各々自分の世界に入り込んでしまっている。

 この世界で、誰かを気にするのは私だけだった。高速で過ぎ去る隣の電車にも人が居て、そこに佇む一人一人を気にするのも、きっと私だけだった。

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碧き詩集 碧木 愁 @aoki_39

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