兄たち
そんな事を言うカーナに、一喝すると深呼吸して私に、用事があったことを思い出す。
「あのお嬢様、先程空見様にお会いしました。何やら、朝食が終わったら玉座の間に行くようにとのことでした。」
朝の準備をしながら、兄たちの顔を思い出していた。私の兄は三人いる。陸也(りくや)第一後継人、海斗(かいと)第二後継人、空見(そらみ)第三後継人、兄たちには公式な場では後継人という肩書がつく。そして、私はどのような場でもそのように後継人などと名がつかない。それは上が三人もいるからではなく、私が女として生まれてきたからだ。
空兄は、私と一番年が近いためそこまで気負いする必要がなかったがまだ幼かった時は正直、海兄と陸兄がとても絡みにくそうだと思っていた。陸兄はしょっちゅう騎士団に行き、海兄は先生のところに籠もっていた。空兄は、文武両道と言うべきなのかいろいろな事が完璧に出来た。私も、何かやりたいと言ったが父に否定され、結果一晩飲まず食わずで過ごしたのはいい思い出だ。
準備や食事が終わるくらいに、ノックの音が響いた。
「もう準備は終わった?一人で行くのは気まずいから付いてきてよ、紅。」
扉の向こうからそう、聞こえるとカーナが開けに行った。少し雑談をしているため、片付けを急いでカーナに知らせた。
空兄は呼び方について直せとも、呼ぶなとも言わない。陸兄や海兄は、いい年なんだからと説得されるがそれは兄たちの方がだろう。でも、兄たちの言い分もその通りなので国民や国王としての父の前では、王子と呼んでいる。
「そういえば空兄。玉座の間、なんかに私が関係あるんですか?」
玉座の間は基本的に、王女の立ち入りが良しとされていないため私はそのように聞いた。いつも、呼ばれるとしても王子か王妃ぐらいなのに今日は私も行かなくてはならないのだ。空兄は内容を思い出したのか、顔を顰めて言った。
「とても、僕らにとって大切な話題だよ。」
「……私空兄の表情で、察しました。」
とうとうあの話か。玉座の間まで時間があるが、私は重く沈んだ雰囲気をまとっていた。
理屈っぽく言うと革命 キメラ @tigaku
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