ネタ出し方法その8【再利用法】:お題『3周年』『おめでとう』

 8日目のお題は『3周年』、9日目のお題は『おめでとう』でした。今回は同じ方法でネタ出しを行ったので、同時に振り返りと紹介を行いたいと思います。


 まずは8日目の『3周年』。2番目だったり、3分間だったり、KACは数値関連のお題が多かったですね。

 周年という言葉自体、「~周年記念」という使われ方くらいしかないので、記念日を活用した作品が多かったような気がします。ただ、それはそれで、なぜ『3周年』であって、『1周年』ではダメだったのかという理由がほしいところなので、そのあたりが悩ましかったお題だったと思います。

 ただ、『3』周年に拘るのでなければ、さほど難しいお題ではなかったとも思います。『周年』というお題であるなら、以前に紹介したネタ出し方法はだいたい使えるでしょう。


 そして、9日目の『おめでとう』。……正直に言うと、このお題が一番苦手でした。

 ありふれた言葉であるため、話の落ちに持ってくるのは非常に簡単です。ですが、お題にする以上、『おめでとう』という言葉を話の中核に添える必要があります。ありふれた言葉だとこれが難しい。

 例えて言うなら、「砂糖を主役にした料理を作ってほしい」と言われているようなものです。プリンでもクッキーでもレパートリーには困りませんが、それらを「砂糖が主役である」と言い張るには少々厳しい。

 ただ、こちらも『3周年』同様、ストーリーに盛り込むだけなら簡単です。ありふれた言葉なので、割とどんなストーリーであっても無理やり付け足すことはできるでしょう。


 KACも終盤であり、年度末で仕事が忙しいことも重なったため、私は疲れと時間制約であまりシナリオを練る時間がありませんでした。そこで、今回紹介する【再利用法】を活用することでこれら2つのお題をクリアすることにしました。

 再利用法はそれだけ簡単で、基本的な方法です。ですが、ある程度普段の備えも必要であるため、その点には注意しておきましょう。



ネタ出し方法その8【再利用法】

 先述したとおり、基本的なことですが、過去に出したネタを”再利用”できないか検討する方法です。

 それは過去に書いた小説だったり、ボツにしたネタだったりさまざまですが、それらを引っ張り出して再利用できないか考えてみましょう。過去のネタが多ければ多いほど引き出しは増えるため、普段からネタを書き溜めて保存・整理しておく必要があります。

 今回、KACに参加した作品の中には、自分の過去作を活用してお題を消化している作品がいくつか見られました。やっていることはそれと同じだと考えていただいていいです。

 では、『3周年』『おめでとう』というお題で実践してみます。



 まず、『3周年』というお題ですが、ネタ出しに取り掛かる前に日本語の意味を再度調べてみました。辞書によると、『周年』というのは、「数を表す語について、年数の経過を数えるのに用いる語」とあります。

 ということは、「3年おきに主人公の身に何かが起きる」という内容にすれば、3年でも1周年でもなく、『3周年』というお題にはまるのではないかと思いました。

 ですが、思いついたのはそこまで。それ以上は考える時間も気力もなかったため、過去のネタ帳をパラパラ見てみることにしました。すると、学生時代に書いた短編小説が1つ目に留まりました。

「3年おきに主人公の身に何かが起きる」というネタを活かしたかったため、簡易な年表を作り、それと自分の過去作を組み合わせてリメイクを行ったのが、以下の作品になります。

「3周年のジンクス」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054889003671

 ダークな歴史もの……いや、サスペンスかな?

 学生時代に書いたものと比較すると、登場人物が一人減ってますが、おおまかなストーリーは変わってません。特にアラベルはそのまんま。

 個人的なお気に入り度は「メナシチカフを見に行った」と同じくらい。私は暗く重いストーリーを好む傾向にあるので、ネット小説ではあまり流行らない類だなぁと思いました。



 9日目お題の『ありがとう』は、「俺が死ぬことになった三分間の勘違い」をネタとして活用しました。

 ネタ出しの方法その6でも書きましたが、「俺が死ぬことになった三分間の勘違い」は【場面法】を活用して作られた物語です。そこで、『ありがとう』のお題消化は【再利用法】に加えて、【場面法】も組み合わせて作成することにしました。

 8日目の「3周年のジンクス」が重い話だったため、今回は徹底的にコメディで通すつもりで考えました。そこでそれに即した既存作品を探したところ、「ハングオーバー!」というコメディ映画を思い出し、これをネタに活用させていただきました。

 そうして完成したのが以下の作品になります。

「フクロウのお守り」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054889033778

 どのあたりのネタを「ハングオーバー!」から借用したかは……両者のあらすじを見ただけでわかると思います。「ハングオーバー!」自身、とても面白い映画なので、ぜひ実際に観てみてください。

 コメディ作品としては悪くなかったと思いますが、お題の消化としてはダメダメだったなぁというのが正直な感想。



 最後に、いつもどおり、個人的に面白いと感じた作品を二つご紹介。

 流れ的にKAC8とKAC9で4つずつにしようかな?とも思ったんですが、1話に長々と書くのも何かなと思って、2作に絞り込ませていただきました。

 よければ、ぜひ読みに行ってください!



「ある菓子職人の過ち」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054889004342

 龍輪龍さん


 龍輪龍さんは、ほんと世界設定とキャラ表現がうまいですね。

 急逝した天才パティシエが残した暗号だらけのレシピノートと、その娘でパティシエを目指しているクールビューティーな女の子のお話。

 苦悩あり恋愛ありのしっかりした設定で、このまま短編で終わってしまうのが惜しいと思ってしまう良作です。

 詳細はぜひ本編をお読みください。




「Gospel【KAC9】」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054889033315

 Han Luさん


 おめでとうという言葉がどうしても言えない女の子のお話。

 『おめでとう』というお題を達成するのが難しいと思っていた自分からすれば、目から鱗の作品でした。

 学生物は恋愛要素が絡むことが多いですが、友情要素のみで綺麗にまとめているのもすごいと思いました。こちらも短編で終わってしまうのが惜しいと思ってしまう良作ですね。

 詳細はぜひ本編で。



 今回はここまで!

 さて、次回はいよいよラストです。誰かになにかを教えられるような立場ではないですが、少しでも身になっていただければ幸いです。

 それではまた次回!


 ……エッセイ終わったら何書こうかなぁ。次は長編かな。

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