ネタ出し方法その3【分析法】:お題『シチュエーションラブコメ』
三日目のお題は『シチュエーションラブコメ』。まさかのジャンル縛り。これはお題と言っていいのだろうか?
普段から恋愛小説を書いている人には得意分野。書いてない人は苦手分野で、二極化されたことでしょう。ちなみに、私はラブコメ初挑戦で苦手分野でした。いつか毎回ジャンルを変えて短編を書いてみようとかいうイベントありそうですね。
さて、今回はお題短編小説というより、ジャンル縛りのフリースタイル短編小説です。お題がない状態なので、先に紹介した【拡大法】と【変換法】は使えません。
なので、自由に書いてください……というのはさすがに無責任なので、初めてのジャンルに挑戦する際に使える手段を一つご紹介したいと思います。
ネタ出し方法その3【分析法】
例のごとく、名前の付け方は適当です。一応解説しやすいように記号化してますが、覚えやすいように自由に名前をつけてください。
分析法のやり方は、共通ジャンルの小説・漫画・映画などを”分析”してキーワードを並べ、共通点と相違点(オリジナリティ)を導き出すというものです。
共通点と相違点にそれぞれキーワードを並べ終えたら、その中の一部をオリジナルワードと交換してみようと考えることでネタ出しを行います。
では、今回も『シチュエーションラブコメ』というジャンルで実践してみましょう。
そもそも『シチュエーションラブコメ』とはなんでしょう?普通のラブコメと何が違うの?
このジャンルは初耳だったため、ググってみましたが、ヒットしませんでした。運営さんの造語あるいは社内用語をお題として出したのかもしれません。
運営さんもそのことを理解しているのか、応募要項にはかなり細かく説明がされていました。それによると、『2人のメインキャラクターが登場し、お互いのポジションや関係性がある程度決まっていることから生じる、両者の掛け合いを楽しむ作品』だそうです。
……わかったような、わからないような?まぁ、具体例を3つ出してくれているので、それさえあれば【分析法】の使用に問題ありません。あまり定義に縛られ過ぎても作品の自由度を下げてしまうので、そのあたりは深く考えないようにしましょう。
運営さんが出した具体例は以下の3つ。
①「お互いに好きあっている同士が『いかに相手から告白させるか』で競い合う」
②「からかい上手な女の子と、いつか仕返しがしたい男の子の仕掛けあい」
③「お互いにライバルのふりをしているけど、本当はただ両片思いの保安官と賞金稼ぎ」
私は3作とも具体的タイトルまでわかりましたが、みなさんはわかりましたか?ちなみに、3作とも漫画が原作です。できれば小説で具体例が欲しかったなぁ。
では、この3作を分析して、共通点と相違点を挙げてみましょう。
■共通点
・主人公とヒロインは社会的立場においては敵対関係にない。
・主人公とヒロインは最初から相思相愛。
・主人公とヒロインは何らかの心理的要因で気持ちを打ち明けられない。
・主人公とヒロインの年代は10~20代。
・最終的に主人公とヒロインが結ばれることが明確に予想できる。
・サブヒロインが登場することはあるが、基本的にヒロイン一筋。
・主人公とヒロインは人間同士。
・現実寄りの世界観。
■①の相違点(オリジナリティ)
・主人公とヒロインは天才で、頭脳戦を繰り広げる。
・社会的立場が大きく異なる(財閥の令嬢と一般市民)。
■②の相違点(オリジナリティ)
・心理的立場に置いて、ヒロインが圧倒的に優位。
・行動原理が恋愛感情じゃない(基本的にからかいと仕返しが行動原理)。
■③の相違点(オリジナリティ)
・ラブコメの王道である学園物ではなく、西部劇物。
・ラブコメ以外のギャグ要素もかなり多い。
簡単に挙げるとこんな感じです。実を言うとしっかり読んだのは③だけで、①と②はあらすじを知っているだけなので、ちょっと勘違いがあるかもしれません。
では、これらの一部をオリジナルワードに交換してみましょう。
例えば、「主人公とヒロインは人間同士」というキーワードを、「主人公は人間で、ヒロインはAI」に交換してみてはいかがでしょう?相思相愛だけど次元の壁が邪魔をして告白できず、互いに相手に告白させようとする話というのは想像を掻き立てられませんか?
例えば、「主人公とヒロインは天才で、頭脳戦を繰り広げる」というキーワードを、「主人公とヒロインは馬鹿で、筋肉戦を繰り広げる」に交換してみてはどうでしょう?これだけでもクスリとするようなシチュエーションが思い浮かんできませんか?
注意すべきは、必ず相違点(オリジナリティ)となるオリジナルワードを、最低一つは作品に盛り込んでおくことです。そうすれば、王道を抑えつつもオリジナリティにあふれるあなただけの作品が出来上がることでしょう。
私は「主人公とヒロインは社会的立場においては敵対関係にない」というワードと「現実寄りの世界観」というワードに注目し、「主人公とヒロインは勇者と魔王の関係」「異世界ファンタジー」というオリジナルワードに変更しました。
私は今まで異世界ファンタジーを書いたことがなかったので、どうせ苦手なジャンルをやるなら、とことん苦手なものに挑戦してみようという思いもありました。
そこから生まれたのが次の作品です。
「さすがは魔王様!」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888829518
うーん、正直これは大失策でしたw ネタ出し自体は割と簡単に出たのですが、それを形にする技術が足りませんでしたね。個人的にKACの10作品の中では最低評価です。
それでも多少の評価をいただいているあたり、やはり異世界ファンタジーそのものの人気がすごいということでしょうね。
では、今回も最後に、個人的に面白いと感じた作品を二つご紹介します。
よければ、ぜひ読みに行ってください!
死神と名探偵
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888808235
戸松秋茄子さん
名探偵の行く先々では怪事件が起きる……よくネタにされるメタ話をシチュエーションラブコメに組み込んだ面白い作品。
本編ではあくまでラブコメという感じに落とし込んでいますが、料理の仕方によってはミステリーにもラブコメにも発展させられそうな未来性のある設定になっています。
先の展開が気になるオリジナリティあふれるラブコメとなっていますので、気になる人は目を通してみてはいかがでしょうか?
過激なロマンス~戦場で会った敵がどストライクだった件。愛の手榴弾受け取って~
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888813956
達見ゆうさん
戦場×ラブコメという組み合わせが、まず目を引きます。
舞台が戦場ということもあって、一応ガンアクションもありますが、基本的にはラブコメ。殺伐とした状況でも笑いながら安心して読めます。
もうちょっと設定を練り込めばより面白くなるんじゃないかなとは思いますが、きちんとラブコメしつつもオリジナリティを保っているいい作品です。
こちらもぜひご覧ください。
今回はここまで。ジャンル指定で短編を書いてみようというイベントは自主企画でもありますし、公式でも今後ありうるかもしれません。
そんな時、今回のお話がみなさんの参考になれば幸いです。
そして、こんな拙いエッセイを応援してくれている皆様、いつもありがとうございます!今後も頑張ります!
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