痕跡

「…。」

「無くなった首はどこへ行ったのかしらね。」


そんなとぼけたように先輩は言った。


「何か武器になるような物はここには無いのか?」

「無いそうです。でも、執筆に必要なペンとか書道が趣味だったので筆とか色々。あと、小銭がこの部屋にはあります。お二方濡れてしまったようなので少々堅苦しいですが…すいません、着替えが見当たらなくて祖父のスーツでしたら。」

「それもそうだね…。ああ、どうやら私には小さいみたいだ。」

「浩司さんはどうですか?」

「下着のYシャツだけ借ります。」

「サイズはどうですか?」

「合いました、でも少し寒いかな。…ベストとかない?」

「ありますよ、どうぞ…。」

「ありがとうございます。」


相変わらず雨は続けて降っていた。


「それにしても…いや…目星が外れたけど…それだと…。」


「何か焦げ臭くないですか?」

「嫌な予感がする。」

「私も同感だ。」

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