そんなわけで、俺こと杉之間(すぎのま)浩司(こうじ)のゴールデンウイークは美人な先輩との合宿となった。


「あの…先輩?」

「ん?どうしたの?」

「あっ、いえ…。今回は、心霊スポットじゃないんですか?」

「ひどいな君は、私がいつもそんなところ行くのかと思う?」


町を離れてから数時間、電車を乗り継ぎ、バスは乗り継ぎ山の奥へと入った。


「今回は、会いに行くんだ。」

「誰にですか?」

「昔の友達に…。ほらっ、見えるあの山?」」


先輩が指をさした先には家が数件あった。


「あそこが、私達が行くところよ。」


バスを降り、俺は先輩に連れられて道を歩いた。

そして、家のあった場所へと歩く。

バスからは見えなかったが大きな家が一軒だけあった。


「ここは、別荘地だったんだけど。バブルが弾けてからはこんな感じで放置されてしまっているの。」

「そうなんですか…。ところで、ここの地名って…。」

「姥喰(うばくい)。」

「はい…物騒な名前ですね。」

「なんか言い伝えがあるみたいなんだけど忘れたわ。」

「言い伝えですか…。」

「あれっ、君ってそういうの信じるタイプ?」

「そうでもないですよ。」

「そう?けっこう物語の蒐集(しゅうしゅう)って楽しいものよ。」

「でも、同じ様な話も多いですよね。」

「お坊さんが説法として話歩いたのかもね。」

「それ、本当ですか?」

「私の作り話よ。」


俺と先輩はしばらく話しながら歩いた。

先輩の分まで荷物を持っている俺は瘦せ我慢をしていた。

中に何が入っているんだこれ?


「あれっ、明奈ちゃんじゃないの?」

「あっ、勢津子(せつこ)さん。」

「待ってましたよ。あなたが杉之間さんですね?」

「はい、そうです。」

「話は聞いております。それでは、お屋敷まで…。」


後に聞いたのだが彼女は黒柳(くろやなぎ)勢津子(せつこ)といい、お屋敷の使用人だった。





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