あとがき 第1部(改稿済)
(改稿箇所は★マークを記載しています)
まきやです。
初の長編「シキラク(色楽) ★第1部 ケイカ」に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
★(以前は1部・2部の区分けはありませんでした)
不思議な感覚を持つ少女たちの物語、いかがだったでしょうか。
短編「語りの人」のあとがきで『ある表現を使った別の話を書く』という予告をしていたのですが、それがこの長編になります。
■設定について
まず、そもそも「共感覚」とは何かというお話です。
これは私の想像でも何でもなく、現存する人の持つ能力のひとつ、だそうです。
イミダスの以下のサイトの記事から引用します。
なぜ音や文字に色が見えるのか? https://imidas.jp/jijikaitai/l-40-146-12-02-g434
>共感覚(シネスシージア synesthesia)とは、「一つの感覚の刺激によって別の知覚が引き起こされる」現象である。
>文字や数字に色が付いて見える、何かを味わうと手に形を感じるなど、一言で言うと「感覚と感覚の混線」である。
>語源はギリシャ語の「一緒に・統合」(syn)と「感覚」(aisthesis)とを合わせたとされる。
>共感覚には多様なタイプがある。
> ・文字や数字に色を感じる「色字(しきじ)」
> ・音を聴くと色が見える「色聴(しきちょう)」などがよく知られている
>他にも色から音、味から形、においから色、痛みから色、曜日から色、数字列やカレンダーから空間配置を感じるものなど、
>これまでに150種類以上の共感覚が確認されている。
100年以上前から確認されていて、著名人にもこの能力がある人物がいます。
>ノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマン(1918~88)は、方程式の文字に色を感じると述べている。
他にも芸術家に多く出現する、遺伝的に受け継がれる、等の記述があります。
さらにまとめた所によれば、その他の特徴は以下のとおりです。
□共感性
・文字や数字から色が見える、音から数字が見える、等。
・女性に圧倒的に多く発現する。
・若い世代に多い。
・感情の起伏で変化する。
・個人によって見える色が違う。同じ子供が成長しても、見える色は同じと言われている。
なんと創作心をくすぐる現象でしょう(笑) 私がこれを知ったのは単なる偶然なのですが、ネットで見た瞬間にそう感じました。
(ちなみに、ちょうど執筆中に、実際にこの設定で短編を書いている方を、カクヨム内で見ました)
語りの人を書きつつ、この共感覚を使った物語にトライしてみたいと願いました。
けれどそこから先、プロットづくりにおいて、だいぶ悩まされる事になったのです。
私の中で物語を考える最初のきっかけに「こんなオチで書きたい/こんな設定で書きたい」のふたつのパターンがあります。
前者は比較的スムーズに物語が書けますが、後者は後から物語を考えるせいか、結構悩みます。
初の長編なので特にしっかりとしたプロットをと考えたせいもありました。おかげで見事に思考の迷路に迷い込んだのです。
最後が発表会というオチはともかく、問題は登場人物でした。その辺り、次の人物の解説で語らせていただきます……。
■登場人物について
シキラクで登場する人物は多くありません。私が管理できないからです(笑)
・ケイカ
物語の中でもっとも書かれている子。なので書ききった感はあります。最初はもう少し明るかったのですが、後半からはどんどん暗めの性格に……。★大人っぽすぎる発言多数なのは、よく言われます。作者のせいです。
この子は悪くない!
★第2部で金髪の理由を少し述べています。
・トウマ
物語にも出てきますが、冬馬は名字です。本名はユミ……という事にしておいて下さい。★詳細は2部のあとがきで!
登場するまでに、最も悩まされたキャラクターです。そもそも初期のプロットの中に、この子は出てきませんでした。
女の子という設定になってますが、バレたその後も、女性らしさはありません。
ところで!中盤の重要な舞台として老人ホームがあります。ここに出てくるのは最初は、エウカリスのような上級生の女の子でした。
二人で協力して、楽譜の秘密を解いていって……というような展開です。
物語として、それもありだったのかもしれません。けれど今回の小説中でどうしても書きたかったシーンがありました。
それが主人公のケイカと準主役たちが言葉でぶつかるシーン。それを考えた時、必要なキャラクターはトウマでした。
結果的に、彼(彼女)は私の中で最もお気に入りのキャラクターになりました。その割には最後にいなくなってしまうキャラNo.1の座に輝きました。
(★第2部で主役に取り上げたので許して……)
・サンジャオ
本名は三角と書いて「ミスミ」です。仇名は中国語読みでサンジャオ。喋り方とか結構気に入っていたのですが、最後にいなくなってしまうキャラNo.2に昇格。
★結果的にケイカへの感情は、エウカリス以上の憎しみに変わってしまう事になりました。
・エウカリス
その名はミドルネーム。高宮財閥のお嬢様です。さぞかし学園にはたくさんの寄付をしていることでしょう。
憎まれキャラです。その徹底ぶりといったら……けれど意外にも作者は彼女を気に入っています。
設定上、トウマと同学年でした。
・老楽師
実はかなりの美形設定の女楽師。最後に名前が出てきます。憎まれキャラといえばその通りなのですが、訳ありなのは最後まで読んで頂ければわかりますよね。
・おじいさん
名無しの不思議キャラです。ケイカを導くために登場して、最後には消えてしまいます。そういう意味ではNo.3か。
■ストーリーについて
本編については読んでいただくとして、プロットからエンディングまでの中で明言していない設定があります。もちろん容易に想像はつくとは思いますが、あえて書いていません。
(公開前に読んで頂いた方からは、その分について物足りないというご指摘を頂きましたが……★書いたよ!)
いったん、今回の公開では書きませんが、リテイクで追加するかもしれません。
(★トウマとエウカリスの過去を書いた第2部の事。完結済みです)
■最後に……
私の書く話は大体、物語の中でファンタジーやSF的な、ちょっと不思議な設定があり、それをベースに展開します。時代設定的には現代なのですが、視点が擬人化であったり、世界感ゆえのオチがあったりと、そんな書き方が好みです。
シキラクは、主人公たちと取り巻く世界のベースに共感覚があるとはいえ、それを除けば、あるのは常識と現実で、ケイカたちは芸術学部のある学校に通う女生徒たちのひとりでしかありません。そこで繰り広げられる少しの色恋と競争も、決して突飛な状況ではないと思います。
それでも、私が心がけて執筆に取り組んだのが『共感覚が当たり前にある』を前提に生活する人たちの、自然な描写でした。
共感覚はメインだけれど、それを押し出し過ぎない。
少女たちの心情、会話や反応、はたまたちょっとした仕草など、端々にそれを感じるような物語にしようと試みました。
おかげで初見の方にとって、読みづらい/分かりづらい文章がはびこり、弊害も起こっていると思います。けれどもそれを受け入れた上で生まれる雰囲気こそが、シキラクの世界感であり、それをベースにした物語が他にない自分だけの作品の魅力につながると信じました。
私の文章や構成力でそれが実現できたかはわかりません。ただ作者的に未熟なれど、達成感や満足感を得ることができました。『書いてよかったな』と、今なら心から、そう思えます。
本当に本当に、ここまで読んで頂いた方には、感謝しかありません。本当に、ありがとうございました。
★こんな事を作者が言うのは変ですが、このあとに続く第2部は、もしかしたら読まなくても良い話かもれません
★少し悲しさを帯びながらも、このまま感動で終わる方が、後味が確実に良いからです。2部を読む事で、あなたの中で物語の解釈が変わってしまう畏れがあります。
★それでもシキラクの世界に深く入りたい、知りたいと思う方は、扉を開けてください。四万字弱の真実があなたを待っています。
さて今後、長編に取り組む精神力があるかは解りませんが、あの執筆中の充実した時間が忘れられないので、いずれはまた書いてみたいです。
それではまた。
※※
2019/4/23 追記
本小説には、女性特有の事象が表現されています。参考にしたサイトを追記しておきます。
全部、生理のせいだ(やこ様のnote)
https://note.mu/be_open_85/n/n5a40ddd7c67a
※※
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