にゃー!

 


「あぁぁぁあぁぁお姉さまぁぁぁ! 可愛いです可愛い過ぎますぅぅぁぁあああ!」

「……ちょっと行ってくるわ」


「ノワールさん何処へ行くんですかぁぁ!」

「いや、アレスティアちゃんを近くで見たいから……戦闘中隙を見て猫耳を触りたくて」


「私も行きますぅぅ! おねえさまぁぁぁ待っててくださぁぁぁぁいいい!」

「金の猫と銀の猫の戦いとか天異界の歴史に刻まれるわ……はぁ……可愛い」



 ────


 現在の状態をおさらいしよう。

 今の私は猫耳鬼妖精アレスティにゃん……鬼妖精の攻撃、魔法攻撃、超機動特化に加えてケモ耳特典の聴力上昇、嗅覚上昇、反射神経上昇、変幻自在の攻撃が可能となる。

 《私も猫耳になってますにゃー》《わたしもーぴょ……にゃー》

 なんだとぉっ! 見せろ!

 《無理ですにゃーアレスティアと合体したから猫にゃんですにゃー》《合体解除したら違う耳になる…にゃね》

 くそ……まぁ、エーリンは配合変えれば猫耳に出来るし、テンちゃんは……私と同じ大きさになるから、ね。


『にゃははははっ! こんごうにゃんき金剛練気☆!』

「にゃー、テラにゃんキラキラだにゃー。なんか星付きにゃー……いいにゃぁ……」


 《アレスティアーのほほんとしてる場合じゃにゃいですにゃー》

 《これ尻尾変な感じ…にゃー》


 金色のオーラが眩しいぜ。ところでテラは武器らしい武器は装備していないけれど、虎猫耳が武器なのかしら。

 ……ん?

 コーデリアとノワールさんが近くに転移してきた。

 そうかそうか、私が可愛いから近くで見たいのだなっ。


「おねぇさまぁぁぁぁあああ!」

「にゃっコーデリアこっち来にゃいで……っ!」


 コーデリアが抱き付こうとしてひらりと躱すと、頭の上に殺気……態勢を低くし光速移動すると、ノワールさんが素手で私に攻撃を仕掛けていた。


『にゃーノワールはもう戦っちゃ駄目にゃっ!』

「抱き締めたいんですよ。アレスティアにゃんを抱き締めたいんですよ。もう一度言いますか? アレスティアにゃんが可愛いから抱き締めたいんですよっ!」


『後にするにゃっ! ねこびーむ金剛虎砲☆!』

「ぐぅっ……今回ばかりは引きません! いつも猫耳触らせてくれないテラ様が悪いんです!」


 ノワールさんがテラの両手から放たれた金色のビームに耐える姿が、本気過ぎて……そういえばまともそうに見えてヤバイ人だったぁ……と、改めて思い出した。


『にゃんでやねんっ! ウチのせいちゃうにゃ! あっち行くにゃ金剛砲爆☆!』

「――きゃぁああ!」


 爆発付きのビームで吹き飛ばされ、柄にもなくきゃーなんて言ってチラ見がすげえ。

 助けねえぞ。

 助けたら捕まるかんな。テラが追撃に向かった……仲間割れだなぁ。

 それにしてもにゃーテラ可愛い……私も☆とか付けたい、星だから出来る筈……ふにゅーー……あっ、コーデリアに捕まった。


「お姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さまお姉さま」

「息継ぎ無しでよく言えるにゃ。離すにゃ」


「嫌です私はお姉さまと一心同体離れませんこれからもずっとフォーエバーお姉さま」

「言い方ダサいにゃ。全部終わったらにしろにゃ。あっ、これケモ薬GXの残り飲むにゃ」


「お姉さまと、お揃いっ……飲みますっ!」


 コーデリアにケモ耳GXを渡すと、グイッと飲み干し……

 ポンッとケモ耳が生えた……髪の色と同じ金色の尖った耳、ふんわりした尻尾は金色で先っぽが白い……ふむ、レーナちゃんと一緒の狐耳と尻尾か……格好エロいから妖艶な雰囲気……


「コーデリニャ、これ着るにゃ」

 《それ私の巫女装束ですにゃー?》

 違うよ、この巫女装束はリアちゃんの。ほら乳のサイズ違うだろ?


「こ、これは……お姉さまの好きな狐巫女。あれ? 私の口調が変わりませんよ?」

「これは主人公補正にゃ」


「早速着ますねっ♪」

 ……あら素敵。尖った耳に触れる……毛並みは柔らかく、耳の軟骨は少し硬めで耳先はフニャッと折れ曲がるほど柔らかい。

 耳の根本をコリッとしてみるとピクピクッと動いて、ウルウルと上目遣いでもっともっととアピールするから色気が凄い。

 巫女鈴を渡してみると……シャランシャランと鳴らして嬉しそう……可愛いね。


「にゃにゃ、良いにゃ。ムルムー、撮影しておくにゃ」

 《御意に》

 ……ん? すぐ近くで聞こえたのにムルムーどこだ? んー? まさかな。


「応援していますねっ♪」

「がんばるにゃ。テラにゃんテラにゃんっと……居たにゃ」


 上空からノワールさんが銀色の剣を振りかざし、魔力を解放している所……テラは無傷でふんぞり返ってノワールさんを見上げ……尻尾をふりふり……尻尾を絡めたい。


「お姉さま、駄目です」

「にゃにが?」


「戦って下さい。実はお姉さま……このままではジョーカーになれません」

「にゃんだって!」


「いや、世界壊しちゃったじゃないですか。空の世界にまでするなんて……大きく減点ですよ」

「直せるから良いにゃん」


「それが危険なんですよ。この戦いはお姉さまが天異界にとって安全な存在か見極める意味が強いんです」


 あぁなるほど。

 星が自立して勝手にフラフラ活動しているから、天異界にとってはハラハラどころじゃないのか。

 好きに世界を創れる……これがどれだけ危険か……天異界に長く居る神達はよくわかると思う。私はようわからんがなっ。


「コーデリニャが自由になればそれでいいにゃ」

「お姉さま……危険と判断されたら……封印されてしまうかもしれません。それは、絶対嫌です……」


「うにゃー……わかったにゃ。テンにゃん」

 《はーい、光速きのうおーん》


 猫耳妖精を早く見たいけれど、終わってからのお楽しみっ。

 黒異天体を両手に発動。

 ノワールさんとテラが衝突する寸前……二人纏めてっ!


「黒異天体解放にゃー! メガグラビティ!」

 ──ズンッ!

『──ふにゃっ!』「──きゃぁっ!」


 地面に高速で激突。

 丁度二人が重なりうつ伏せに墜ちた。

 ちゃーんす!

 テンちゃん連携技だよっ。エネルギー充填っ!

 《了解ぴょんっ! ……あっ、にゃん》


「えっ、ぴょん? ウサギなの? ねぇウサギなの? 猫なの? どっちなのぉぉぉぉ! メガエナジー・ストライクぅぅうぅぅぅぅ!」

 《ひみつー、アレスティンきゃのーん》


『ぐぅ、ぅ、ノワール退きにゃ!』

「テラ様が退いて下さい! むしろ猫の手どうしたんですかっ! 恥ずかしがっていないで着けて下さい!」


『ぅぅ……装着……ニャーテラフィスト……』

 アレスティンきゃのんとメガエナジー・ストライクの圧縮した高エネルギーが衝突。カッと視界が白く染まり、遅れて爆風が吹き荒れ、中心部はエネルギーが渦を巻き中にいる二人に致命的なダメージを与えている筈……


「まぁ、そうだよね」

 簡単にはいかないか。

 二人の魔力は健在……むしろ金色の力が、増した……まだ強くなるのか。


『これにゃ、消費が激しいでもっと楽しみたかったんにゃけど』

 ……嘘だろ。

 ……そんな事があって良いのか?

 兵器なんて、レベルじゃない……

「肉球、グローブ……」


 虎柄の、肉球が付いたネコ籠手……というか手袋というか、とにかく可愛い過ぎる……

 どこまで、私の可愛いを超越してくるんだ……


「くっ……あんなのに、勝てる訳にゃい……っ!」

 気が付いた時には、私の脇腹に肉球が当てられて……


『にゃは…隙有りにゃ超金剛虎砲☆』

 視界が横に急移動した。

 ボキボキと肋骨が折れ、肉が抉られる衝撃に加え脳が揺れる。

 視界の端で肉球が動く……


「ぐっ…は……」

 鳩尾に肉球が食い込み、空に打ち上げられた。

 背骨がやられた。

 力が、入らんな。

 神気の攻撃は回復が効きにくいから厄介だというのに……


『もっと、お空に打ち上げたるにゃ。超ネコびーむ超金剛地翔砲☆』

 あーやべ、転移するか。

 いや、したところで転移の欠点を突かれて追撃されるか。


「零魔法・ストライクゼロ」

 ストライクゼロは、当たらない。

 ついでに私の攻撃も当たらない。

 まぁ私の力量の範囲の話だけれど……


『無駄にゃ! てらぶれいく☆』

 金色の光が広範囲に照射され、光に触れると物体が壊れていく……テラの必殺技、超神気と破壊属性の広範囲攻撃……これ厄介なのよね。痛いのよ。


「ちょっと……まずいな……」

 勝てん。

 普通のテラと、桃尻鬼妖精モードは互角だった。

 武神装のニャーテラとネコになっただけの私なんてさ……力の差がすげえんだよ。

 今も追撃受けて吹き飛ばされている……


 《力が……欲しいか? ……ぴょん》


 あぁ……バトル系に多くある自分の中の内なる力が語りかけるアレに憧れた厨二妖精の声が聞こえてきた。

 うぜぇ、でも乗ってあげないと負ける。

 乗るかぁ……


「……力? お前は、誰だ……」

 《俺は、お前さ……ぴょん》


 もうぴょんを隠していない。ウサギか? ウサギで確定なのか? 気になって仕方がない……


「本当に、力を、くれるのかよ……」

 《もちろん。お前に死なれては、俺が困る……ぴょん》


「ははっ、お前が悪魔だろうが……この際どうでも良い。くれよ……あいつを倒す力を!」

 《はっはっは! 良いだろう! ならばくれてやるぴょん! アレスティンカイザー封印解除レベルスリー!》


 上空で退屈そうにしていたアレスティンカイザーの翼から銀色の炎が吹き出し……銀色に染まる。

 そして、変型を始めた。

 テラの尻尾がピンっと立ち、攻撃を止め上空をバっと見上げた。


『にゃんや? 様子がおかしいにゃ』

 ガシャンガシャンと自己アピールの凄い音を立てながら、人型から……小さくなって……あれは……鎧?

 アレスティンカイザーの頭が無くなったくらいで、翼のある全身鎧は変わらない。私サイズに縮小されて……これ着るの?


 《あれが、お前の力だ。受けとれ、世界を統べる力をぴょん!》

「あ、うん。どうすんの? あっ、こっち来た」


 おいでーおーらいおーらい。

 銀色の鎧が私の元に降りてきて、ガシャコンっと装着された。


『にゃん、やて……凄い、やにゃいか……』

 テラが驚愕して、アレスティンカイザーの鎧と、私の頭を見ていた。

 私は強くなったばかりではなく……頭がさっきより少し重いのよ……


「おおおおお姉さまぁぁぁあ! うさ耳なんて卑怯ですぅぅぅう!」

 ケモ耳も変わったのよ。

 うさ耳鬼妖精に変わったのよ。テンぴょんの影響が強くなったのかしら……


「モード……お月見ゼロアーマーだぴょん!」

 《名前ださくにゃい? あれ? ここどこ? エーリン?》

 《あっ、アレスティアいらっしゃいにゃーん》


 あっ、やべ。

 厨二妖精に身体の主導権奪われた。

 ……まぁ良いか。

 勝てば良いのだよ、勝てば。


 《応援するにゃー。テンぴょーんがんばるんばにゃん》

「見ててねみんな……私が、仇を取るから」

 《テンテン自分に酔っててうざいですにゃん》

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