核星の竜2
『痛みを感じたのは久し振りだ。カハッ…今日は、良い日だ』
「良い日ついでに、私に勝ちをくれませんかね。メガエナジー・マジック!」
『簡単には、やれぬ。竜魔法・ドラグメテオ』
ムドゥインの足元に黒い魔法陣が出現……魔法陣がクルクルと回転し、黒から赤、緑、黄色と輝いた。
──ギャオオオオオ!!
上空に、百を超える赤竜、黄竜、緑竜、黒竜の群れが出現。こいつは……魔法という枠でよろしいのかね……
その群れがそれぞれの色に光り輝き、私に向かって急降下。
こりゃ凄いや……一撃でも食らったら致命傷。それが生きている竜のように追尾するとしたら、嫌よねぇ。
「こういう時に破壊が欲しいよ……黒異天体」
銀星を軸にくるくると回る黒星を内蔵した、手の平サイズの危険物を両手に作製。そう、私は黒異天体を二個作れるのだっ!
大地に降り立ち、両手を構えて輝く竜を迎え打つ。
全部吸収してやるよ。
『流石はルゼルの娘と言った所か…』
もっと褒めて良いんだよ。
迫り来る竜に黒異天体で触れると、ギュンッと吸い込み天体の一部に変換。
竜一匹で超級魔法くらいかな? 充分脅威なんだけれど、当たらなければなんとやら。
それにしても二個あると便利だ…複数同時に襲い掛かかって来てもなんとかなる。
なんだ? ムドゥインの角が光って……
「ぐぅ……見えなかった……」
何かが、肩に刺さった。ドバッと血が出て、普通の傷じゃない。何が刺さった?
──キュイキュイ!
これは、手のひらよりも小さな竜。
大きい竜に惑わされたか。
黒異天体を空中に固定して遠隔状態にしてから……傷に食い込んでいる子竜を掴んで眺める……ちっちゃい緑の竜。めっちゃ可愛い。
つぶらな瞳で見詰められたら……潰せないよ。指をガシガシされているけれど、潰せない。
はぁ……やるねえ。見事に毒酒ちゃんを避けて私に当たっているし……あっ痛いまた刺さった。二匹目……赤い子竜。えー……飼いたい。
でもこのままだと出血多量で死ぬから、回復しながらガシガシされよう。
毒酒ちゃんに私の血がドバドバ掛かっているけれど、後で拭こう。
『さぁ、どれほど持つか。潰さぬのか?』
「私が可愛いもの好きなのを利用して……子竜で攻撃だなんてやりますね」
『……幼竜成長』
──グオオオオオ!
なにっ! 子竜が大きく……くっなんて仕打ちを。私のペット候補がっ! あぁ! 鳴き声が低くなって……顔がいかつい! 可愛くない!
「くそおぉ! ソルレーザー!」
──ギャァァァァ!
光の柱を浴び、元子竜が溶けていく。
さよなら、子竜ちゃん。ムドゥインの魔法だから飼えないんだったね……さよなら。
『我に勝てたら、眷属をよこそうか?』
「いえ、毎日一緒に居られる訳ではありませんから……ネーギィレイン」
ネギ弓を引き絞り、魔力を込めるとネギの束が出現。空に向け、無心で引き絞ったネギを解き放った。
空に解き放たれたネギ達は空中でバラバラになり、放物線を描きながらムドゥインへと落下。
雨のように降り注いだ。
──ボコボコボコボコボコボコ!
『ぐぅっ……これは、万能属性……特殊な属性を使いこなすとやるな』
えっ……ちょっと待って、グサグサじゃないの? 貫く擬音じゃなかったよ?
まさかこれ弓のくせに打撃なの?
地味に強いし……銀色の角砕いたぞ……
「手くさっ! でも効いているから追撃、ん? 毒酒ちゃん離してっ」
ネギ掴まれた! 邪魔しないで! でも寝ているっ! 器用!
うわ、本当に離してくれんぞ……
『耐えてみろ。竜魔法・ドラグブレス』
ムドゥインの顔の前に巨大な黒い魔法陣が出現……回転し、中心部にヤバめのエネルギーが集束。
逃げる暇は、無いかな。転移しても追尾するやつだ。
黒異天体は竜を吸収し過ぎて近距離砲になっちゃったし…
魔法陣が輝き、ヤバめのエネルギーが私目掛けて一直線!
「こうなりゃメガリフレクト・ミラーフォース!」
鏡の魔法をメガエナジーで強化。
ヤバめのエネルギーが衝突し、跳ね返す前の待機状態で停滞。
そこに、ドラグブレスの二撃目ぇ……
跳ね返す直前で衝突し、ドゴォォン! と大爆発。
見事に吹っ飛ばされた。
いってぇ……ん?
あぅ、この魔力の波動……三撃目ぇ……
「これがあった! ミーたん!」
ルゼルから貰ったミサイルランチャー!
円筒形で……どっちが前? こっちの弾っぽいのが付いている方かな? ムドゥインに向けて、ぽちっとな。
――ドォオオオン!
ぎゃー! 耳痛いー!
目の前ピカピカし過ぎて撃ったのかどうかも解らないー!
反動で更に吹っ飛んだよー!
『――グォォオオオ! やるなぁ! ドラグブレス!』
まさか……四撃目!? 三回の法則ってあるじゃん! ムドゥイン魔力多過ぎでしょ!
遠距離攻撃、遠距離攻撃……ミーたんは撃ったばかり、ソルレーザーは弱い、ネギは使えず、鏡魔法は空中だと半減する。ダメージゼロは貫通するし、転移は転移先で狙われる!
対応出来る遠距離攻撃が無いぞー!
こうなりゃ黒異天体で……
「……んぅ? アレスティア……私、寝てた」
「毒酒ちゃんっ、おはようございますっ! そのネギ返して!」
「……ネギ? 私、ネギ好きなの」
「私も好き。じゃなくてそれ使いたいんです!」
「たこ焼きの上に乗っていると、なんか……嬉しいよね」
「たこ焼きって何⁉︎ あぁっ、当たるぅ!」
ドーンとヤバめのエネルギーが衝突……したけれど、無傷?
「たこ焼きはね、たこが入った……まぁるい食べ物だよ」
毒酒ちゃんが無表情で私を見詰めながら、人差し指と親指を輪にしてほっぺに押し付けて、背後に紫色の壁でムドゥインのドラグブレスを防御していた。
この壁は毒、かな?
そのポーズなに? たこ焼きの真似? 可愛いね!
「食べて、みたい、ですね」
「わかった。作ってあげる」
「えっ……毒酒ちゃん?」
私から降りて、何処かへ行ってしまった。
邪神クラスになると戦闘中とかどうでも良いのね。
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