おー…この場に母と、元母と、実母が揃ったという事でいいのかな?
これは、素直に受け止めていいのか?
いや、ディアに言わされているだけの線が強い。
会えて良かったなんて言われてもねぇ。
私の事知らんだろうに。
ディアさんよ、早く連れて行きなされ。
「それは光栄ですね。……それであれは、どうするんですか?」
『……もう一度、封印する。コー…もがっ!』
「ルナ様っ! お話は終わってからにしましょう! さあ行きますよっ!」
『んんー!』
なんだ? イチャイチャして、ディアと仲良しなんだな。
あっそうだ、言う事あったわ。
「私も、お礼を言う事がありました」
『……』
ディアが立ち止まり、ルナリードを離した。
そこで初めて対面したけれど……似てんなぁ。ルゼルにも似ているし……
私が大人になったらこんな感じなのかな……大人に、なれたら……だけれど。
それを考えるのは後、だな。
「この、破壊の力のお蔭で、友を救う事が出来ました。ありがとうございました」
『あ、あぁ。助けになっているなら、それで良い。……ありがとう』
この力が無かったら、アラスは無かったかもしれない。
ロンドに勝てなかった訳だから、エーリン共々死んでいたし。
なんだかんだでこの力には、助けられてばかりだ。だから嫌でもお礼は必要。
ルナリードがお礼を言ったのは気になるけれど、少しスッキリした。
「ルナ様…良かった…ですね……」
『泣くな。終わったら、ゆっくり話そう』
「……はぃ」
……よく分からないけれど、まぁいいか。
ディアとルナリードはルゼルと天明の所に向かって行った。
……よくよく考えたら、現母のルゼルと、元母のベアトリスクと、実母のルナリードがこの場にいるのかぁ。
中々無い経験だなぁ。
ルゼルとルナリードが何か話している……気になる。凄く気になる。後で聞こう。
「ところで雌豚、現時点で破壊神とディアは味方だと思っていいの?」
「はい。因みに元主様は、破壊の力を友の為に使ったご主人さまに感激していましたよ。ほら見てください、ニヤニヤして気持ち悪いでしょう?」
「どうだか。それより雌豚、お前何者? 一番怪しいんだよね」
「わたくしはただの雌豚ですよ。人では無いのは確かですがね」
「まっ、裏切ったら殺すだけだから良いけれど。ディアに色々吹き込んだのは何故?」
世界を壊さなくてもルナリードの力は保てた筈。時間は掛かったけれど。
恐らく世界が壊れた元凶はコイツだ。
ディアは世界を壊すような奴じゃないと感じたし。
ロクとナナもそれを解っていたと思う。
「わたくしはディア様に最短距離を教えただけです。元主様には恩がありますから……まぁ、目的次第で敵になりますよ。例えご主人さまでも」
なるほど、ディアの立場がどうなろうと目的の為なら関係ない極端な思考のタイプか。
深淵の瞳じゃ深く視られなかったから、不信には思っていた。ディアなんか雌豚の名前も知らないみたいだし。私も知らん。
「ふうん、今の目的は何?」
「正直近々の目的を達しましてね。元主様を復活させ、黒金とご主人さまを連れて来るという……元主様にわたくしが出来る最高の恩返しです。なので今は目的を探す事が目的です」
不思議な奴だな。
野放しにしていたら何をするか分からないし、手元に置いておいてもふらっと何処かへ行きそうな。
「恩ってどんな?」
「わたくしは少々特殊な自我を持ってしまい、廃棄処分予定だったのですが…元主様が拾って下さった、というだけです」
「じゃあ私の所より破壊神さんの所に戻りなよ。私は雌豚を殴ることしか出来ないぞ」
「いえ、殴って戴けるので付いて行きます」
「破壊神に殴ってもらえよ」
「いやいや、元主様ってノーマルなんですよね」
「何が?」
「性癖」
……そこは我慢しろよ。
我慢出来ないから私に付いてくる気なんだろうけれど。
……雌豚が私の後ろから抱き締めるように座って、後頭部の匂いをくんかくんかし始めた。
おー、みんなチラ見が加速し始めた。
集中しなさい。
「わざと見せ付けてんな」
「はい。ご主人さまを独り占めして自慢しています」
「良かったな」
「はい! 見てください、連携が乱れて天明に押され始めましたよ!」
「元々連携なんてしていないじゃん。なにあの脳筋戦闘」
それぞれが好きなようにぶっ放しているだけじゃん。
チラ見が加速して命中率クソ低いというか、ルナリードの攻撃ルゼルに当たっているし……
『おい我を狙うな! まさかわざとか!』
『そこに居るから悪いんだ! 邪魔するなら本当に狙うぞ!』
『お前が邪魔だろ!』
『はあ⁉︎ 言葉をそっくりそのまま返そう!』
『ぁあ⁉︎』
『やんのか⁉︎』
「ふ、二人とも喧嘩はやめてくださーい!」
喧嘩すんなよ……大人げない。
早くなんとかしなよ。
あー、喧嘩中に天明が放った青銀の星をもろに食らっているし……
『『……』』
天明の攻撃を食らって少しは頭が冷えたかな?
……睨み合っているな。
おっルゼルがニヤリと笑ったな…いや、これは悪い事を考えている顔だ。
『…くくっ、アスティは、絶対という言葉はあまり使わない』
『…だから、なんだ』
『だから…母親の座は、絶対に譲らない』
『……はっはっは………ぶっ潰す!』
いや、喧嘩すんなよ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます