やっとだよ…やっと解ったよ

 

 ヤングリアちゃん可愛いなぁ。

 ヤングと言っても、見た目の若さは変わらない。

 落ち着きとか雰囲気だね。

 顔の大きな古傷とか気になる所…今は消えているから治ったんだろうけれど…


「…お邪魔しましたー」


 あっ、少しずつ次元の歪みに寄って帰ろうとしている!

 止めろぉぉお!


『迷い人だー!』『おねーさんも戦お?』『助けて助けてー!』『お願いですぅ』『……お願い』


「えっ? いや、でも私足手まといだよ?」


 頑張れ妖精さん達!

 リアちゃんを帰らせるな!

 私はもっと若い頃のリアちゃんを見ていたい!

 よしっ、妖精さんが帰ろうとしていたリアちゃんに纏わり付いて拘束。ナイスだ!


「キャハ、もう良いかい? 呪界構築、ランダム異常」


 サーストからどす黒いオーラが放射。

 これに当たるとランダム状態異常になる厄介なもの。


「させぬよ! 神光結界! くっ…なんて呪いじゃ」

 アテアちゃんが光の壁で防御。

 防御しているけれど、壁が徐々に侵食されていく。

 妖精さん達は…リアちゃんと円陣を組んで楽しそう。私も混ぜてー。


『頑張ろー!』

『『『おー!』』』

『おねーさんも!』

「おー!」


 意外とノリノリのリアちゃんと元気一杯の妖精さん…私の好物に溢れていた。妖精さんって物語に出てくるみたいに、元気一杯で自由な性格なんだなぁ…こんな時にニコニコ笑って。

 アテアちゃんはリアちゃんを見て、少し切ない表情で笑っていた。


「かかっ、手伝ってくれるのかえ? 感謝するのじゃ」

「折角ですから、手伝います。でも…危ない場合は逃げます」


「それで良い。わっちはこの世界を管理するアラステアじゃ」

「短い間ですが宜しくお願い致します。私は…イリアス・ヴルー・クロスハート。時間の旅人です。聖結界」


 ……本名かな?

 やっと…やっと…本名が解った。

 二百五十話くらい越しにやっとだよ…

 リアちゃん…名前合っていて良かった。

 私は今、猛烈に感動している。


「ふぅん。呪法・浸腐食」

『させないー。闇帝・ダークフォース!』


 腐食の魔法…賢樹を狙う気か。

 賢樹の結界が浸食されていく。

 黒妖精さんが一生懸命護ってギリギリ…流石は混沌神の弟子、強いな。


「のうイリアス、力を溜めるから任せて良いかの?」

「はい、数分なら」


「感謝する。まだこれの使い方に慣れていなくての」


 あぁでも…この感動のお蔭で私の中のサーストの陰が薄い。

 アテアちゃんやヤングリアちゃんよりも強いのに陰が薄い。

 ベレー帽に軍服少女という個性強めなのに陰が薄い。

 頑張れリアちゃん。そういえば昔聖女だって言っていたけれど、その時代かな?


「キャハッ今度はこれだよ! 呪法・屍王しかばねおう


 ボコンッと地面から倒した筈の邪族が無数に現れ。

 そして邪族が身体を重ねると苦悶の表情を浮かべながら合わさり、次々と合体していく。


 ――ギャァアァア! グォオォオ! イギャギャガャ!


「うゎ…なにこれ」

『禁忌の魔法だー』『やっちゃ駄目なんだぞー』『怖いよー』


 グチャリグチャリと肉片が合わさり、人型へと変化していく。

 一般人が見たら卒倒しそうな光景に、リアちゃんが引いていた。妖精さんもぷるぷるして…抱き締めてあげたい。

 邪族達は、十メートル程の人型に凝縮された。

 黒い肉塊…ドクンドクンと波打つ身体がきしょい。


「きっしょっ。でもやるしかないよね…」


 リアちゃんの足元に紫色の魔法陣が出現。

 これは…魔装だっ!

 リアちゃんの魔装! 楽しみー!


 魔法陣が回転し、光輝くとリアちゃんの足から防具が装着されていく。

 足甲から徐々に上へと装着され、腰、胸元へと装着。紫色の動きやすい軽鎧。

 頭には羽飾りの付いた兜が現れ…最後に翼が現れた。

 うわぁ…うとぅくしぃ…


『ウゴォアアア!』

「魔装…戦乙女ヴァルキュリア。神聖魔法・ホーリーランス」


 紫色の鎧に、真っ白い槍を構える姿は、物語に出てくる女神の騎士みたい。

 可愛いくて、格好よくて…うとぅくしぃ。

 あぁ…良いなぁ…私の黒い陰険地味魔装と違ってキラキラして…

 戦乙女かぁー…超機動、超攻撃特化の魔装かぁー。

 ……モロ私の理想だなぁー。

 ……私の地味魔装も戦乙女型に出来ないかなぁー。

 キラキラしたいなぁ…幼女の加護がまともだったらキラキラ出来たのになぁ…


≪アレスティアー! どうじゃわっちの加護はっ!≫

≪これ、髪の毛のキューティクルが増しただけですよね?≫


≪立派な天使の輪じゃろっ!≫

≪そうじゃねえよ≫


 ……はぁ。

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